人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

コルネリウス・マイスター+藤村実穂子+読売日響でマーラー「交響曲第3番ニ短調」を聴く~理想に近い演奏 / 秋山和慶氏「指揮の心構え」を語る~朝日新聞コラム「人生の贈りもの」から

2017年12月13日 07時51分30秒 | 日記

13日(水).わが家に来てから今日で1169日目を迎え,トランプ米大統領が11日,人類を再び月へ送ると明記した新たな宇宙計画を発表したが 予算措置などには触れなかった というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

      アメリカの宇宙船が月に行く前に トランプ大統領のツキが堕ちてるのは明白だな

 

                     

 

昨日,夕食に「豚肉と野菜の味噌炒め」「生野菜サラダ」「トマトとエノキダケとウインナのスープ」を作りました 「豚肉~」はピーマンを時間差をおいて炒めるのが鮮度を保つコツです

 

     

 

                     

 

昨日の朝日朝刊 文化・文芸欄のコラム「語る  人生の贈りもの」で東京交響楽団桂冠指揮者・秋山和慶氏が取り上げられていました 朝日の吉田純子編集委員のインタビューにより数回にわたり連載されます 第1回目の今回は,指揮に対する心構えなどについて概要次のように語っています

「オーケストラの練習でも,あまり言葉を使わない.腕を振る速度,大きさ,手の表情などで,無尽蔵のニュアンスを伝えるのが指揮という仕事だ 楽員たちには本番まで気分良く,かつ真剣でいてもらわなければならない.自分自身が誰よりも準備していなければ,時間を無駄に浪費し,志気の低下を招く 時間を守ることも仕事だ.楽員たちとも,緊張感のある距離感を保ち続ける必要がある.理想は終演後 お客様に『いやあ,いい音楽を聴いたね.そういえば,振っていたのは誰だっけ?』と言いながら帰ってもらうこと 『秋山がこんな風に振ってた』なんて言われるようじゃまだまだ.自分を消し,作曲家の世界をどれだけ高い純度で人々の心に届けることができるのか.そんなことばかり考えて,50年が過ぎたような気がする

私は10数年前の秋山さんが東京交響楽団の音楽監督の時からずっと同楽団の定期会員(サントリー会員,オペラシティ会員)を継続していますが,彼の指揮でコンサートを聴くたびに音楽作りが素晴らしいと思っています 秋山さんのことでよく言われるのは,「明快なタクトさばき,譜読みの速さと正確さ,無駄のないリハーサル進行」等ですが,その昔 音大出の友人から教えてもらったエピソードが忘れられません それは,ある現代曲の合唱の練習中,どうしても出だしが合わなくて若い指揮者が困っていると,それを見ていた秋山さんがタクトを引き取って,「それじゃあ,やってみましょう」と言い,タクトを振り下ろすとピタッと合ったという話です これはおそらく,小澤征爾,山本直純,秋山和慶各氏の共通の師匠である桐朋学園の齋藤秀雄氏の指揮法の為せるワザだったと思いますが,それにしても凄いと思います

それと,無名の指揮者の演奏を聴いた後で「振っていたのは誰だっけ」というのはどこにもありそうな話ですが,世界的に名の知れた秋山さんのような指揮者が「振っていたのは誰だっけ」と思わせるのは,それこそ至難の技でしょう 「指揮者が自分を消し,作曲家を浮かび上がらせる」というのは,没個性とは別のことだと思いますが,優れた指揮者にとっては最大のテーマなのかも知れません

 

                     

 

昨夕,サントリーホールで読売日響第573回定期演奏会を聴きました 一旦コートを自席に置き 廊下に出て,どこでプログラム冊子を撮影したらインスタ映えするかな,とうろうろしていたら,「あらっ」と声をかけられました.この夏,フェスタサマーミューザでずっと近くの席だったSさんでした   読響サントリー会員ではないはずなので 訊いてみたら,マチネ・シリーズからの振り替えだとのことでした 次回は来年の「都民芸術フェスティバル」でお会いしましょう,ということで別れました

さて,この日のプログラムはマーラー「交響曲第3番ニ短調」です 出演はメゾ・ソプラノ=藤村実穂子,女声合唱=新国立劇場合唱団,児童合唱=TOKYO FM少年合唱団,フレーベル少年合唱団,指揮=読響首席客員指揮者コルネリウス・マイスターです

 

     

 

オケは左から第1ヴァイオリン,ヴィオラ,チェロ,第2ヴァイオリン,その後ろにコントラバスという対向配置ですが,これは珍しい編成(通常はヴィオラとチェロが逆)です 木管楽器は4管編成.コンマスは長原幸太です

私はマーラーが大好きですが,中でも「交響曲第3番ニ短調」は最高に好きな作品です この曲は,第1楽章「力強く,決然と」,第2楽章「メヌエットのテンポで,つとめて中庸に,そう急がずに」,第3楽章「くつろいで,スケルツァンド,慌てずに」,第4楽章「非常に遅く,神秘的に」,第5楽章「テンポは愉し気に,表情は悪戯っぽく」,第6楽章「遅く,静けさを湛えて,感じて」の6つの楽章から成ります

1980年ドイツ・ハノーファー生まれの指揮者コルネリウス・マイスターが指揮台に上がり,彼のタクトによって第1楽章が8本のホルンで開始されます このホルンが素晴らしい マーラーはこの楽章を「牧神は目覚める.夏が行進してくる」と呼んでいますが,まさに行進曲です.また,トロンボーンのソロが手放しで素晴らしい 打楽器のアクセントも素晴らしい

この楽章を聴いていて感じたのは,「適切なテンポ設定」と「音楽の自然な流れ」です マイスターは,普通は目立たないフレーズをわざとクローズアップしたり,急激にテンポを変えて聴衆を扇動したりすることはしません もちろん,指揮者はその作品を解釈して指揮をする訳ですから,演奏に何らかの意図が反映しているはずですが,その意図を感じさせません 私はマーラーのこの曲に明確なイメージを持っていますが,彼の指揮による読響の演奏はそのイメージに極めて近いものだと感じます

第1楽章が終わったタイミングで,P席の左サイドに児童合唱団58名が,右サイドに新国立劇場合唱団(女声)50名が入場し,ヴィオラ首席・柳瀬省太とチェロ首席・富岡廉太郎の間の後方に藤村実穂子がスタンバイします 全体の曲の流れから,入場のタイミングとしては第1楽章と第2楽章の間がベストなのだと思います 第2楽章を経て,第3楽章では遠方からポストホルン(郵便馬車のラッパ)が聴こえてくるのですが,2階正面左サイドの扉が開けられ外で演奏されます ポストホルンの演奏は難しいようで,残念ながら演奏に安定感が欠けていました.すごく惜しいです

第4楽章で藤村実穂子によるメゾ・ソプラノ独唱がニーチェの「ツァラトゥストラはかく語りき」から採られた詩「おお人間よ,よく聴け」を歌い出した時,感動で背筋が寒くなりました.何と表現力の豊かな歌手でしょうか ワーグナーの聖地バイロイトで活躍していたというキャリアはダテではありません 続いて第5楽章では児童&女声合唱が「少年の不思議な角笛」から採られた詩を歌いますが,この合唱が素晴らしい 世界に通用する合唱指揮者・三澤洋史の指導の賜物です

私がこの曲で一番重要視しているのは第6楽章です 第5楽章から間を置かずに続けて演奏されるこの楽章は,弦楽合奏によって穏やかな音楽が紡ぎ出されますが,この演奏が素晴らしい 中盤から管楽器が加わり,いっそう深みのある感動的な音楽が奏でられます 数か月前に聴いたパーヴォ・ヤルヴィ指揮NHK交響楽団による演奏と比べると違いがはっきりします ヤルヴィの指揮はジェット旅客機時代の超高速演奏だったのに対し,コルネリウス・マイスターの指揮は20世紀初頭のマーラーの生きていた時代のテンポ感を反映した堂々たる演奏でした

結論を言います.この日のマイスター+読売日響のマーラー「交響曲第3番」の演奏は,私が今まで生で聴いた中で最も理想に近い演奏でした この演奏によって,私の中でコルネリウス・マイスターという指揮者の評価が高くなったことを告白せざるを得ません

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2 コメント

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ポストホルン (Unknown)
2017-12-13 11:33:54
N響ですら、無難にコルネットで代用したくらいです
ポストホルン(多分バルブ付きだったと思いますが)、あれを不安定と言うのは、どうでしょうか
私は立派な演奏だったと思います
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余程難しいのでしょう (tora)
2017-12-13 16:26:45
どなたか存じませんが,コメントありがとうございました.
聴く側は気楽ですが,演奏する側にとってポストホルンは相当難しいようですね.勉強になりました
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