人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

ジョディ・カンター&ミーガン・トゥーイー著「その名を暴け #Me Too に火をつけたジャーナリストたちの闘い」を読む ~ ニューヨーク・タイムズの2人の女性記者の調査報道

2022年05月24日 07時15分22秒 | 日記

24日(火)。わが家に来てから今日で2690日目を迎え、米ニューヨーク州のジェームズ司法長官の報道官は20日、トランプ前大統領が同氏一族が経営するトランプ・オーガニゼーションの事業慣行を巡る調査に関し、書類提出を求める召喚状に従わなかったことで科された11万ドルの罰金を払ったと明らかにした  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     「罰金を払ったから調査に協力しなくてもいい」ということにはならない 提出しろ

 

         

 

昨日、夕食に「比内地鶏炊き込みご飯」「ちぎり厚揚げと豚バラの和風炒め」「生野菜サラダ」「冷奴・ウニ醬油かけ」「白舞茸の味噌汁」を作りました 「ちぎり厚揚げ~」は炊き込みご飯によく合います

 

     

     

 

         

 

一昨日 ミューザ川崎に行ったついでに、「フェスタサマーミューザ  KAWASAKI  2022」のオーケストラ・セット券(引換券)を11枚の個券と引き換えてきました すでにオープニング・コンサートのチラシが出来ていました

 

     

     

 

         

 

ジョディ・カンター&ミーガン・トゥーイー共著「その名を暴け  #Me  Too に火をつけたジャーナリストたちの闘い」(新潮文庫)を読み終わりました 著者の2人は共に「ニューヨーク・タイムズ」の記者で、本書は2019年9月にアメリカで出版された「 SHE  SAID 」の全訳です 2017年、米国の映画界で「神」と呼ばれるほどの権力を誇る有名プロデューサー、ハーヴェイ・ワインスタインが、女優や自社の従業員らに数々の性的虐待を行ってきたことを暴き、ピューリッツァー賞を受賞した「ニューヨーク・タイムズ」の2人の女性記者の調査報道の記録です

 

     

 

2人の女性記者は何か月もかけて、性的被害について口を閉ざしている女性たちに取材し、秘密情報の裏を取り、性的虐待がただの噂ではないことを突き止め、報道する準備を着々と進めていきます 2人の記者は、ワインスタインがいかにその優位的立場を利用して弱者を餌食にしてきたか、被害女性たちがなぜ黙らされてきたのか、弁護士はどのような働きをしたのか、などを調査報道で相次いで明らかにしていきます そんな彼女たちの動きがワインスタイン側に伝わると、彼の一流の弁護団が調査を妨害しようとして、様々な手段を講じるようになります しかし、2人の記者は編集者のレベッカ・コルベットや編集長のディーン・バケットなど、真実の報道を第一に考えるジャーナリストたちの励ましや後押しをもとに、それを跳ね返していきます この報道がきっかけとなって多くの被害女性が声を上げ、世界中で#Me  Too 運動が始まりました

被害女性がなぜ黙っていたのかといえば、「業界一の権力者の言うことをきかなければ、良い役がもらえない、あるいは役を降ろされてしまうかもしれない」という恐怖心があったからです ワインスタインはそういう女性の心理につけこんで行為に及んでいたのです

また、加害者側の弁護士は不都合な真実を表面化させないため、示談に持っていき、被害女性にお金を支払った上で「被害の内容は今後 一切 外部に漏らさない」という誓約書を書かせることで決着させようとします なぜなら、彼らにも多額の弁護士報酬が入るからです その点、被害女性の気持ちなど全く考えていません

2人の記者が取材と報道で一番悩んだのは、被害女性の証言が得られても、彼女たちから「記事に実名が出ると、今後の自分と家族の生活に支障が出るので困る」と言われることでした 「匿名」報道だと記事の信ぴょう性が弱くなりますが、2人の記者は無理強いはできませんでした しかし、「自分が黙っていることで、さらなる被害者が出る」と危機感を抱き、実名を出しても良いという女性も出てきます。そしてその輪が広がっていきます

2020年2月、ワインスタインはニューヨークの裁判所で2006年にミリアム・ハーレイをレイプした罪と、2013年にジェシカ・マンにオーラルセックスを強要した罪で、有罪の評決が下され、前者で20年、後者で3年、合計23年の禁固刑となりましたが、ロサンゼルスでも起訴されていて、そこでも有罪判決が出ると見られています

本書では2018年に、当時のトランプ大統領から連邦最高裁判事に指名されたブレット・カバノーから1980年代(高校生の時)に性的暴行を受けたと告発した大学教授クリスティン・ブレイジー・フォードの証言についても扱っています また、悪名高きトランプの破廉恥行為にも言及しています

本書を読むと、ジャーナリストは、声を上げられない弱者の立場に立って真実の報道をしなければならない、ということが伝わってきます また、単なる憶測ではなく必ず裏をとって確実な証拠や証言をもとに報道しなければ読者の信頼は得られない、そのために調査報道を行うということも伝わってきます 600ページの大書ですが、迫真のドキュメンタリーなので あっという間に読み終わりました    キャリー・マリガン、ゾーイ・カザン他の出演により来年映画公開予定とのことなので楽しみです

 

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