人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

ファビオ・ルイージ ✕ アレクサンドル・メル二コフ ✕ NHK交響楽団でモーツアルト「ピアノ協奏曲第20番」、ベートーヴェン「交響曲第8番」他を聴く ~ N響池袋Cプロ2日目公演

2022年05月22日 07時17分42秒 | 日記

22日(日)。わが家に来てから今日で2688日目を迎え、ロシアでは志願兵の年齢をロシア人で18~40歳、外国人で18~30歳と認めているが、長引くウクライナ侵攻で兵士の死傷や従軍拒否が増え、兵員不足が深刻化していることを背景に、ロシア下院は20日、志願兵の年齢上限を撤廃する法案が提出されたと明らかにした  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     要するに 41歳以上の中高年にも 戦死の選択肢を与えて 戦争を長引かせるわけか

 

         

 

昨日、東京芸術劇場コンサートホールでN響池袋Cプログラム2日目公演を聴きました プログラムは①モーツアルト:歌劇「ドン・ジョヴァンニ」序曲、②同「ピアノ協奏曲 第20番 ニ短調 K.488」、③ベートーヴェン「交響曲 第8番 ヘ長調 作品93」です 演奏は②のピアノ独奏=アレクサンドル・メル二コフ、指揮=N響次期首席指揮者ファビオ・ルイージです

開演45分前の午後1時15分から、Cプロだけの室内楽の演奏がありました モーツアルト「クラリネット五重奏曲イ長調K.581」から第1楽章がクラリネット=伊藤圭、ヴァイオリン=白井篤、田中晶子、ヴィオラ=谷口真弓、チェロ=西山健一の5人によって演奏されました やっぱり、N響は一人ひとりの演奏者が巧い その上でアンサンブルが美しい 室内楽を聴くと、そのオーケストラのレヴェルが判ってしまうので、ある意味では怖いと思います その点、この日の演奏はとても素晴らしかったです

なお、演奏前に指揮者ファビオ・ルイージについて各人が語りましたが、5人の話をまとめると、「ファビオ・ルイージはとてもおしゃれ。蝶ネクタイの色が公演ごとに変わる。白いシャツには彼のイニシャルが入っている。香水を付けているが、彼は聴香師であり、自身の開発した香水=FLブランドを立ち上げ、販売している」という人です どうやら指揮者としてだけでなく、香水の開発・販売能力も高いようです

 

     

 

Cプロは休憩なしのコンパクトな公演ということもあってか人気があり、この日も満席に近い客入り状況でした

オケは左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスといういつものN響の並び。コンマスはマロこと篠崎史紀です

1曲目はモーツアルト:歌劇「ドン・ジョヴァンニ」序曲です この歌劇はウォルフガング・アマデウス・モーツァルト(1756ー1791)が1787年に作曲、同年10月29日にプラハのエステート劇場でモーツアルト自身の指揮で初演されました 冒頭の「序曲」については、「モーツアルトはお酒を飲んでコンスタンツェと冗談を交わしながら、この序曲を一晩で書き上げた」という信じ難いエピソードが伝わっていますが、天才モーツアルトのことなので、音楽はすでに頭の中にあって、それを一晩で音符として書き写しただけなのかもしれません

白の蝶ネクタイのファビオ・ルイージが指揮台に上り、演奏に入ります 彼はタクトを持たず、両手で指示を出します。オペラ指揮者の本領発揮といった指揮ぶりで、ドラマティックでデモーニッシュな演奏を展開しました

2曲目はモーツアルト「ピアノ協奏曲 第20番 ニ短調 K.466」です この曲は1785年にウィーンで作曲されましたが、短調で書かれた最初のピアノ協奏曲です この頃に作曲されたピアノ協奏曲は、モーツアルトが主催する予約演奏会で自演するために作曲されました 1784年から1786年にかけての3年間で第14番から第25番までの12曲のピアノ協奏曲が作曲されています 第1楽章「アレグロ」、第2楽章「ロマンツェ」、第3楽章「アレグロ・アッサイ」の3楽章から成ります

ピアノ独奏のアレクサンドル・メル二コフは1973年モスクワ生まれ。モスクワ音楽院卒。1989年のシューマン国際コンクール、1991年のエリザベート王妃国際音楽コンクールなどに入賞しています

全体を通して聴いた印象は、メル二コフは即興演奏を交えながらかなり自由に弾いていたように思いました ドラマティックというよりはごく自然の感情表現の発露といった印象を受けました 高音部がとても綺麗でした ルイージ ✕ N響がソリストにピタリとつけました

メル二コフはアンコールにプロコフィエフのようなショスタコーヴィチのような軽妙な曲を軽快に演奏しましたが、あれは誰の何という曲だろうか

 

     

 

最後の曲はベートーヴェン「交響曲 第8番 ヘ長調 作品93」です この曲はルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン(1770ー1827)が1811年から翌12年にかけて作曲、1813年4月20日にウィーンのルードルフ大公邸で私的に初演された後、1814年2月27日にウィーンのレドゥーテンザールで公開初演されました

第1楽章「アレグロ・ヴィヴァーチェ・エ・コン・ブリオ」、第2楽章「アレグレット・スケルツァンド」、第3楽章「テンポ・ディ・メヌエット」、第4楽章「アレグロ・ヴィヴァーチェ」の4楽章から成ります

この曲の特徴は 小規模で 全9曲の中で唯一「メヌエット」楽章を持っているところです     この特徴は、ある意味 古典への回帰とも受け取れます

ルイージの指揮で第1楽章が開始されます ルイージは冒頭の集中力に満ちた速いテンポの演奏で一瞬にして聴衆の心を鷲掴みします 集中力に満ちた冒頭の演奏ということでは、曲想はかなり異なりますが、10年以上前にルイージの指揮で聴いたワーグナー「ワルキューレ」冒頭の嵐の渦巻く妥協を許さない厳しい音楽表現を今でも忘れることができません

第2楽章は一転、軽妙洒脱な演奏が展開します 第3楽章はトリオでの福川伸陽(急きょ代役のN響OB)のホルンと伊藤圭のクラリネットが素晴らしい 第4楽章では、ルイージは情熱的な指揮により快速テンポで飛ばします 彼の指揮ぶりを見ていると、何を求めているかがよく分かります 強調したい音があるとそのセクションの方を向いたり、手で示したりして、明確に指示を伝えます そして、リズムを強調する場面と歌わせる場面とでメリハリをつけて表現します

ルイジの指揮で「第8番」を聴くと、同時期に作曲され 当時から現代に至るまで人気のある「第7番」に決して劣らない傑作であることがよく分かります

この日の3曲を聴いて感じるのは、ファビオ・ルイージの指揮は情熱的ではあるが、過度に至らず、常にノーブル(気品がある)だということです N響は9月から最良の人財を首席指揮者に迎えることになります

 

     

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする