今なにしてる         (トミーのリペイント別館)

カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
(お問合せ)tomytmzk@titan.ocn.ne.jp
 

全く不動のローライ35ブラックの巻

2022年12月13日 20時00分00秒 | ブログ

ローライ35系が溜まっているのでもう少し続けます。このブラックモデルは#31701XXとジャーマニーだけども初期ではない個体。外観にへこみは無いですが、潔い良いくらい全く動かない。このくらい動かないと気持ちが良いよね。巻上げ出来ない、シャッター下りない、シャッターダイヤルにメーター指針が連動しない等々・・

Cdsは汎用に交換されている。地板は傷だらけ、レリーズレバーは動かない、リンケージは固着している。

 

ユニットを分離しました。いじり回されて固着しているという状態。スイスの都市の販売店シールが貼ってありますので、海外で分解修理? を受けたものと思われますが・・

 

電池表示プレート(PX13)の両サイドが腐食していることからもこの個体は電池の液漏れを起こして、それでCdsがダウンし各部までガスによる軽微な腐食が伝わって最終的に不動となったものですね。各部を修復して地板をダイカスト本体に組み込みました。シボ革が汚れ放題であった前カバーを洗浄して取り付けます。

傷汚れの多いインジケーターを研磨して取り付けます。

 

 

これで正常な状態に戻りました。現在PM10時を過ぎました。目が見えないので今日は終わります。

 

低速側のシャッタースピードとBがコントロールされない。原因はアンクルの固着です。画像は正常に作動しているところ。

 

洗浄、レバーアテの熱カシメ、メーター窓の研磨接着をしたトップカバーを取り付けます。

 

次はシャッターとレンズ。後玉に外周クモリがありましたが清掃できれいになりました。

 

 

完成したシャッターユニットを本体に取り付けます。

 

 

予め前面プレートとコントロールリングに付いた古い接着剤を清掃してあります。前玉の清掃をしてヘリコイドグリスを塗布で取り付けます。

 

なぜかチャージレバー表面が削られています。意味ないと思うけどなぁ? 外国の方のすることは理解出来ません。

 

巻き戻しダイヤルの回転が重いので分解清掃をします。

 

 

どうしても動きたくなかったみたいな個体でしたが、残念でした。調子良く動くようになりました。

 

 

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ペトリF2のファインダーの巻

2022年12月13日 17時30分00秒 | ブログ

ご常連さんからペトリF2という珍しいカメラが来ました。ファインダーの清掃をご希望ですのでカバーを分離して見ます。巻上げレバーの戻りもゆっくりですね。

 

距離計はオーソドックスな設計で、この頃のペトリは作りは良いようです。しかし、後で距離計の調整では手こずりますが・・

 

各レンズとミラーのカビと汚れがひどい状態で接眼からも二重像は良く見えません。ハーフミラーは中央部分■が金コート。対物レンズ後にフレーム枠ガラスがありますが、この頃のメッキはまず拭けません。しかし、すごい汚れなのでメッキ部分を残して拭き上げをすることにしました。

フレーム枠ガラスと対物レンズの間にカビ汚れがありますので分離して清掃をします。こちらも蒸着のフレームは残して拭き上げをします。

 

まぁ、何とかきれいになって接眼からの見えも良くなりました。問題は無限調整で、調整個所では殆ど変化が無く微調整が出来ないのには閉口しました。

 

製造は意外に古く1957年とのことですね。距離表示がftで、ペトリは輸出が多かったと思いますから里帰り機ですね。シャッターはコパルのMXVでレンズはOrikkor 45cm f2付となっています。この頃のペトリはしっかりとした作りです。

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初期型ブラックのローライ35の巻

2022年12月12日 20時30分00秒 | ブログ

ローライ35系が多く入っていますので作業をしています。作業内容はいつもと同じですのであまり書くこともありません。#3010XXXですので結構初期の個体ですよね。ブラックのカバーには真鍮製とアルミ製がありますが、この個体はアルミの黒アルマイトですので梨地が細かく、少し滑りやすい感じです。また、真鍮製よりは全体に軽いです。内部は金属ギヤの巻上げ関係。初期としては露出計のCdsは元気です。レバーアテを熱カシメして研磨をしたメーターガラスを接着しました。

スプロケット軸上部の遮光紙片はいつごろから入っているのでしょう? この個体には入っていませんでしたが、途中で抜かれている可能性もあるので新しく入れておきます。沈胴のフェルトを調整しておきます。

 

メーターの感度を調整していると・・これは変です。絞りダイヤルに同調して動くメーター指針の動きが逆です。

 

ということは前カバー(シボ革)を分離されているはず。あら、やっぱりです。絞り機構のカムを正しく組まないと逆に動いてしまうのです。

 

シャッターダイヤル側はなんと両面テープ貼り。高級コンパクトに両面テープは頂けません。

 

しかし、基本的には消耗の少ない初期型ブラックです。圧板はディンプルはあるがバネの形状が以後と違います。裏蓋の巻き戻しダイヤルはキズや腐食も無くきれいな状態を保っています。

 

トップカバーのレリーズ横に少し傷がありますが、アルミカバーとしては角アタリも無く状態は良い初期型でした。私としては真鍮カバーなら欲しいですけどね。

 

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オークションレベルのローライ35の巻

2022年12月07日 21時00分00秒 | ブログ

すみません。運転免許の更新だったので、未だに「眼鏡等」が付いていない状態で更新させるため、数日前から作業は控えめにして睡眠時間を取っておりました。今日、お陰様で無事に規制なしで更新することが出来ました。実際の運転は危険なのでメガネをしていますけどね。

で、オークションなどに出品されている使われ放題のままのようなローライ35 #32995XX(シンガポール)が来ましたよ。トップカバーのへこみ、巻き戻しレバーの化粧ネジが規格外で右のカバー固定ネジが欠品しています。全体に手垢汚れがあります。

シャツターは低速不調、ファインダー汚れ、沈胴はスカスカ、ヘリコイドの抜けている。典型的なオークション品質。

 

結構へこんでいますね。金属が陥没部分は戻りませんが、出来るだけ修正しましょう。

 

 

SINGAPOREなのでファインダーはレンズを分解して清掃します。画像はケースとレンズを清掃して組み立てているところ。

 

スプール軸などの清掃潤滑をして、完成したファインダー組み込みます。

 

 

あぁ、この個体もオレンジの0点が白化していますね。これ多いです。

 

 

洗浄したトップカバーにレバーアテを熱カシメしてレリーズのスライダーと研磨をしておいたメーター窓を接着します。

 

沈胴チューブを分離してフェルトの調整をします。工場で白い帯紙を入れてありますね。

 

 

シャッターとレンズの状態は意外に悪くありません。しかし、レンズはチリ汚れは構造上仕方ありませんので清掃をします。

 

過去にも見た記憶がありますが、巻き上げレバーの止ネジが何となく地味な感じ・・。全体が梨地のメッキです。普通は左の旋盤の挽目最小ですね。これオリジナルなのか、或はリプロ品なのか? 良く知りません。分かる方教えてください。

欠損の化粧ネジは当方で試作をしたネジを使うことでオーナーさんからご了解頂いています。

 

露出計の調整をしようとメーター窓の指針(〇付針)の動きを見ると絞りダイヤルと同調していない部分がある。前カバーを分離してリンケージとASAコントロールカムを見ると隙間が空いている。この範囲が同調していない訳です。

 

リンケージを分離して別の部品と比べてみます。カムと当たる付近の形状が一致しません。何かの負荷によって曲がったものか? 過去にかなりいじられている個体ですので何かがあったのかもしれません。今回は形状を修正します。

 

トップカバー背面の化粧ネジは当方のオリジナルを使い、荒れて見えたカメラがオリジナルに戻って来ました。ネジを緩める時に着けたと思われる傷が余計ですけどね。ダミーフィルムを入れて巻き上げテストをします。

 

このカメラの入手方法はお聞きしていませんが、概ねオークションなどに出品されている個体は、いわゆる「使いっぱなし」の状態が多いと思いますが、トップカバーのへこみも気にならない程度に修復して、機能と外観も良好な個体となりました。専用ケースに収まれば立派な良いローライ35です。

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カメラ店様経由のローライ35の巻

2022年12月02日 20時30分00秒 | ブログ

その前に、巻き上げが出来ない状態のローライ35Sを見ます。原因は巻き止めレバー(白い樹脂)の動きが悪く、シャッターが切れた後でも巻き止めが解除されないのが原因でした。一度分解をして清掃のうえ再組立をします。

 

巻き止めレバーのテンション用バネを掛けるのにコツが要ります。これで良好な作動となりました。

 

 

で、本題。カメラ店様経由のローライ35ジャーマニーのオーバーホールをしますが、現状は故障をしているわけではありませんので通常作業となると思います。#30447XXですから初期型にはなるんでしょうか。しかし、内部のギヤなどは樹脂になっていて以降の仕様になった頃です。HONEYWELLのダブルネーム機できれいな個体ですが、巻き上げがかなり重い印象です。ご指示はft表示をm表示に変更、メーター窓ガラスの汚れ改善、レバーアテ交換などありますが、ヘリコイドグリスも完全に抜けています。

のスプール軸受けの潤滑グリスが固形化していて回転抵抗となっています。こういうのも珍しいです。クリーナーでは溶けずに取り除けないので、楊枝でしっかり取り除いて新しいグリスを塗布します。

 

ジャーマニーですのでファインダーはプリズムで黒い絆創膏のようなテープで巻いてあるのが面白い。

 

内部のメンテナンスを終えてカバーを付けると露出計の針が振れない。原因は、画像の透明テープは過去に貼り直されたもので純正ではなく、絶縁が完全ではないためショートを起こしたのでした。貼り直しをします。

 

シャッターとレンズのメンテナンスと沈胴の作動も多少気になりますのでフェルトを調整しておきます。

 

シャッターも過去に分解を受けています。

 

 

前玉を分解して行きます。ダイヤルと距離指標は別パーツなので∞の表示位置を微妙に調整することが出来ます。(35Sは出来ません) ftからmへの変更はリングを上下逆にセットします。

 

レンズの状態は良好でした。

 

 

このシャッターは画像のように、外気と完全に遮断されていません。

 

 

フィルムを装填してのテスト中、巻き戻しでダイヤルが抜けてしまいました。ダイヤルを止める「Cリング」は初期型は何故か隙間が広く、経時的にバネが弱っていることから外れてしまうようです。左のは以後の改良されたリングで隙間が狭くなって保持力が上がっています。Cリングとしてはこちらが普通と思いますけどね。改良型に交換をして組みます。

レンズの無限調整後、指標の∞を精密にセットしてダイヤルを締めます。

 

 

初期型ジャーマニーとしては外観のへこみも無く非常にきれいな個体でしたね。

 

 

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