今なにしてる         (トミーのリペイント別館)

カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
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きれいなPEN-Fの巻

2022年12月21日 21時00分00秒 | ブログ

 

そろそろPENが集まって来ましたのでPEN-Fをやっておきます。#1998XXと巻上げ機構などが改良された良い時期の個体です。外観もきれいで、あまり使用された個体ではないです。未分解とも思いましたが、アンダーカバー裏に修理記録のラベルが貼られていました。何をしたのでしょうね。

フィルムレールもそこそこ腐食も無くきれいです。やはり、あまりフィルムを通していませんね。

 

トップカバーを開けてみると・・接眼枠右の劣化したモルトが取り除かれています。全反射ミラーを清掃したようです。

 

プリズムのコーティングがひどい汚れです。これは清掃をするとコーティングが剥離する可能性があります。

 

ダイカストボディー他を洗浄しました。では組み立てて行きます。

 

 

スプロケットは樹脂になっている頃で、樹脂がくすんでいましたので軽く研磨をしてから組み立てます。

 

スプール軸を組み立てます。

 

 

シャッターユニットも摩耗は少ないです。チャージギヤを分解清掃をしてグリスを塗布して組み立てます。

 

シャツターユニットをボディーに搭載しましたので裏蓋を取り付けます。(シャッター幕の保護)

 

問題はブレーキです。まったく利いていません。分解をするとOリングの破片が出て来ました。

 

Oリングホルダーの内周が激しく腐食をしていてOリングも切れています。切れるのは珍しいです。これではブレーキは機能しません。

 

腐食の内径を研磨すると寸法が変わります。それを合わせてOリングの寸法を合わせて行きます。バイクのドラムブレーキのブレーキシュー交換時にアタリを合わせるのと一緒です。

 

ちょうど良い抵抗に調整をして組み立てます。

 

 

これでシャッターは完成。あとは前板関係をやります。

 

 

トップカバーだけでなくシボ革も剥がされていましたね。硬いもので無理に剥がして傷が多いです。私はこのような傷は付けません。古い接着剤を取り除いておきます。

 

この個体のような状態のプリズムのコーティングはアルコール系のクリーニング液を使用してはいけません。全部剥がれてしまいます。使用する中央部分は辛うじて残ったという感じ。

 

Fはプリズム面がピント面になります。見えるかな? のところに菌糸状のカビがありますので清掃をしておきます。

 

接眼プリズムは外気に近いのでコーティングのダメージが大きいです。こちらもアルコール系では剥がれるので非アルコール系の使用により剥離を免れました。

 

全反射ミラーにもカビがあります。この程度であれば清掃できれいになりますので再使用とします。

 

前カバーを取り付けてシャッターダイヤルをセットしました。シボ革を接着します。

 

値札のようなラベルが貼られています。修理記録でしようね。

 

 

フリクションの増大により、ミラーがアップで停止するという状態の個体でした。現状の作動は良好となりました。

 

 

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