今なにしてる         (トミーのリペイント別館)

カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
(お問合せ)tomytmzk@titan.ocn.ne.jp
 

状態良くないPEN-Wの巻

2022年04月06日 13時30分00秒 | ブログ

祖父様から譲られたPEN-W #1058XX (1964-11製)ですが、保存状態が良くありません。湿気による腐食が顕著です。同じお店に3回シャッターの修理を依頼されたそうですが、シャッター羽根の動きがスローモーです。

 

ファインダーも曇ったままですのでシャッターのみの限定修理を依頼されたのでしょうか?

 

巻き戻しダイヤルがここまで腐食している個体は珍しいです。

 

 

トップカバーを留める皿ネジの片方の頭が壊れています。

 

 

本体側に残ったネジを取り除きます。

 

 

シュー下の腐食も激しいです。

 

 

ファインダーは分解されていないようです。

 

 

壊れた巻き戻し側のネジ穴が拡大しています。これで皿ネジが利くか?

 

 

吊環部が陥没していますので修正をしておきます。

 

 

こんな感じで外装はかなりひどいです。シャッターは羽根が止まってしまいました。

 

 

シャッターを点検すると・・チャージのリンケージを受けるコロが入っていません。小さな部品ですので慣れていない方が分解すると知らずに紛失することが多いです。

 

不調のシャッターですので地板から洗浄後に点検します。

 

 

ハウジング裏とプレートの合間に油が付着していることが多いので、必ず分離して清掃します。

 

ブライトフレームはフィルムの剥離が激しいです。

 

 

レンズが緩んでいました。締め込むと絞り環の動きが重くなります。故意に緩く締めてあったものか?

 

絞り羽根自体の動きには問題がありません。腐食の除去と清掃、グリスの塗布をします。

 

 

欠落していたコロを追加して組みます。

 

 

新しいヘリコイドグリスを塗布してレンズを組み立てます。

 

 

状態的にはかなり腐食が進んで良いコンティションとは言えませんが、家に伝わった特別なカメラですから大切にしてください。

 

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昭和38年製PENの巻

2022年04月04日 11時15分00秒 | ブログ

私の記憶では昭和38年は翌年の東京オリンピックに向けて日本中が活気に満ちていた時代です。多摩川から砂利を採取する立川レミコンという企業があって、連日、ダンプカーが連なって都心のオリンピック施設の建設現場に砂利を運搬していました。道路がダンプの荷台から漏れた泥水で真っ白になっていましたよ。このPEN#3735XXは昭和38年3月に生産された個体です。PENのファインダーに使われている樹脂は白く劣化しているものが多いです。表層が劣化しているのです。

通常作業なので簡単にUPします。当然、過去に修理を受けていて無限が合っていないなどの症状がありますが、ファインダーの接着がすごいことになっています。

 

透明な接着剤を使用していますが、もう少し丁寧な作業は出来ないものでしょうか?

 

 

シャッターのハウジングが激しく腐食しています。

 

 

シャッターは分解をして洗浄のうえ組み立てます。

 

 

60年間の汚れを洗浄しました。しかし、私がPENの修理を始めた頃は、シボ革を洗浄するときれいなグレーが現れたものですが、最近は洗浄後でも黄ばみが残ります。材質も劣化しているのです。

 

本体の組立とシャッターを組み込みます。

 

 

ファインダーの樹脂の白化ですけどね。一皮むくしかないですね。しかし、コンパウンドで磨くと、妙にピカピカになってしまいますので、違和感がなくグレー色が鮮やかになるように磨きます。ここは今回、私のサービスで行った作業で必ず行うものではありません。意外に工数が掛かるのです。

レンズは比較的良好です。後玉の曇りはありませんがコーティングの拭き剥がれはあります。元々のオリジナルではないのかも知れません。

 

駒数窓にクラックがありますが、今回は交換しません。

 

 

内部もきれいになっています。

 

 

ファインダーの白化以外はダメージの少ない個体でしたので良いコンディションになったと思います。

 

 

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ローライB35+C35の巻

2022年04月01日 17時56分59秒 | ブログ

PEN関係はこの後やりますからちょっと待ってね。B35の方を先にやります。廉価版のせいで材質が柔らかいのでしょうか? ローライ35のメーター窓に比べてB35の窓はキズが目立つ個体が多いですね。デメキンのせいかな? 画像ではきれいに見えますが、傷と曇りがあります。

このレンズはCリングで個体されているだけで接着はされていません。分解して研磨をします。

 

B(バルブ)が利きません。のレバーの動きがスローモーです。また、シャッターダイヤルの回転が渋いので洗浄注油をしておきます。

 

 

ガバナーの歯車軸の動きが粘っているのです。洗浄注油をします。

 

 

殆んどの個体で露出計の感度低下があります。調整抵抗をパスするようにトリマー一杯にしておきます。

 

 

ファインダーの清掃をしましたが画像を撮り忘れました。シャッターとレンズの清掃をします。前面の化粧リングは白濁劣化で割れが発生しています。

 

レンズの清掃。ヘリコイドグリスが劣化していますので清掃交換をして組みます。

 

 

B35は完成です。次はC35です。

 

 

と言ってもC35の方はコンデションが良く不具合はありませんのでメンテナンスが中心です。ファインダーは汚れていますので接眼レンズを取り外して清掃をします。

 

B35にある露出計ユニットが入らないので空間があります。

 

 

シャッターユニットとレンズの清掃をします。ローライ35と違い絞りリングが付いています。こちらの方が操作しやすいかな?

 

シャッターの設計は基本的にローライ35と同じです。共通部品もあります。

 

 

あまり使用されていない個体ですので、沈胴のスライドは不良と言うことも無いのですが、折角ですから調整をします。とは言ってもローライ35のようにフィルムレールが取り外せませんから、シボ革を剥がして本体からユニットを取り外す必要があります。

樹脂製の巻き戻しダイヤルの回転が渋い個体が多いです。ホコリ汚れなどが付着しているからです。分解して清掃をします。このC35は私が欲しいくらい良いコンディションです。お探しの方はお勧めします。

 

鉄道模型もやっていましたので「B〇〇」と言われると国鉄の入れ替え用機関車B20を思い浮かべてしまいます。私は大型のSLよりタンク車、特にBタンクが好きです。画像は今は無き「つぼみ堂」のBタンクで、当時は完成品より安く入手が出来るキットを購入して組み立てたものです。このモデルは5台ぐらい所有しています。

これも、つぼみ堂の「木曽森林鉄道」で使われたアメリカ製のボールドウィン。レストア途中で、もう何十年か作業が止まっています。現在はもっと進んだ製品が存在しますが、フリーランスに近いおおらかなキットが好きです。

 

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