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カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
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電池液漏れの影響ローライ35Sの巻

2022年04月26日 11時10分00秒 | ブログ

すみません。事情で簡単に更新しますね。昨日の都内は夏のような暑さになって、私用で新宿界隈を歩いて疲れ果てて帰宅しました。で、修理ご依頼店様から部品取り用として支給されたローライ35Sですが、基本的に悪くはない個体なのに電池の液漏れによりいろいろな部分に故障を起こしています。まず気になるのはヘリコイドが回転しない(固着)。画像はヘリコイドリングを緩めることに成功した後の画像(前は画像を撮り忘れ)ですが、この個体は過去にヘリコイドを緩めようとして後玉部分を工具で銜えている形跡があります。結局緩めることが出来ずに手放したということです。固着の原因は電池の液漏れにより本体内に気化ガスが充満したことにより真鍮地のヘリコイドが激しく腐食したのです。(ワコーズラスペネ使用https://amzn.to/3vfiNgM )

シャッター内にも漏れた液が侵入していますので完全に分解洗浄をします。

 

 

これで完全に復活しました。幸いレンズの状態も良く調子は良好です。

 

 

ついでに沈胴スライドが緩めなのでフェルトの調整をしました。ローライ35と違ってフェルトの調整は分解個所が多いので、この機会に同時に作業をしておきます。

 

次は電池の液漏れの定番、露出メーター不動です。まさしくジャンク状態ですね。接点がボロボロに崩れて断線しています。

 

ここの接点は本来はスポット溶接ですが、半田付けで行う場合、樹脂の電池室に熱が伝わらないように作業することが肝要です。

 

ファインダー、シャッターガバナーなどをメンテナンスをして巻上げテストをしてみると、巻上げレバーの戻りが悪い。原因の一つがリターンバネの腐食です。これも液漏れの影響。捻じりバネが腐食して抵抗が大きいためスムーズに戻らないのです。これは真鍮ブラシで清掃をしてオイルを引いておきます。

まぁ、その他細々の不具合はありましたが、調子の良い個体に戻ったと思います。すべては電池の液漏れからカメラの状態を落としていたためで、部品取り機として潰してしまうのは簡単ですが、カメラの責任ではない。多少手間は掛かっても復帰できる個体は生かしてあげようと思うのです。

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