20万台のPEN-FTはまだ改良前のユニットが使われている頃ではありますが、初期に比べれば製造時期的に新しい? という微妙な時期の個体で、主に露出計などを中心に劣化が見られるのですが、この個体はは良いです。たぶん、殆ど使われていない個体で保蔵状態もよろしいです。基本的なところで不具合は無く、自然劣化を中心にメンテナンスをして行きます。
とは言っても細かなところに不具合があります。右側の吊環がグラついています。
では、すべて分解洗浄のうえ、組立てて行きます。まず、吊環を取り付けますが、ここのネジは接着併用ですが、その接着が不完全でした。後期の個体はしっかりとネジが接着されています。まだ市場での不具合情報が反映されていない時期かも知れません。
モルト貼り、スプロケット軸、スプール軸を組み立てて行きます。
シャッターユニットを点検して行きます。殆ど消耗がありません。コントロールレバーにもガタは少なく、シャッターを切った回数が少ないのが分かります。
この頃は、ブレーキカンを留めるナットは真鍮製ですが、ねじは左ネジです。途中での分解歴はありませんが、スリ割りが痛んでいますね。ここは緩みやすいので「力一杯に締める」とか作業指示が出ていたのかな?
チャージギヤの軸に全く偏摩耗が認められません。やはり使用が少ないことが分かります。摩耗が無いので巻上げはスムーズです。
シャッターユニットも改良前ですのでシャッターバネは弱いタイプのユニットです。
この頃は、接眼プリズムのホルダーはアルミ製です。後期は真鍮製。
ファインダーの無限調整と露出計の調整をしました。無限が少し外れていました。これでトップカバーを閉めます。
付属の40mmは絞り羽根に油が回っていましたので分解洗浄のうえ組み立てます。
外観にも全く気になるキズが無く、素晴らしいコンディションの20万台(#2004XX 1968-3製)でした。シャッターユニットが変更される前の個体は、独特の滑らかな巻上げフィーリングがあって、これが本来の感触なんだと思います。中期以降の個体は巻上げゴリツキがひどい個体が多いですからね。