今なにしてる         (トミーのリペイント別館)

カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
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アバンギャルドなシチズン・スクエアカスタム

2012年12月05日 22時32分25秒 | インポート

Dscf032101 私の趣味でセイコーの機械が多いのですが、ご常連さんが長く愛用されている時計が来ています。シチズンのスクエアカスタムというモデルで、ケースは巨大な真四角です。キャリバーcal5203 27石ですから、高級モデルでしょうね。しかし、入手された時から秒針が無くなっていたとのことで、それも含めて、全体のO/Hをしています。機械を分解してみると・・・セイコーとは随分と設計が異なりますね。セイコーはセオリーとおりで、シチズンは独創的なように感じます。部品点数が多く、高級なメカですね。

Dscf032001 欠落していた秒針を部品取り機から調達します。曲がりや腐食を修正研磨しておきます。

Dscf031022 あぁ、最初の画像を飛ばしてしまいました。ご覧のように無骨ともいえるぐらい真四角でケースもタイガー戦車みたいです。カレンダーの位置が特殊なデザインですね。グレーの文字盤は過去の分解で状態が良くありません。すでに秒針が失われています。これでは、時計が動いているのか、止まっているのかが分からず不便ですね。

Dscf032201 で、なんで秒針が無いかというと、この機械は特殊な設計で、秒針を秒カナ(画像)という部品で動かしていますが、上が組み込まれていたもの。先端が折れて短くなっています。たぶん、分解時、秒針を外す時に無理な力を掛けて折ってしまったのでしょう。よって秒針は捨てられた。

Dscf032301 秒カナはここに入ります。しかし、普段慣れているセイコーの機械とは全然眺めが違います。リューズの巻き芯は、中間でジョイントされる構造で、角型ケースに格納するための工夫です。

Dscf032401 自動巻き機構を組み込まれた受けを取付けます。これが、ピタッと各ホゾに収まります。シチズンの加工精度の高さですねぇ。

Dscf032501 ひっくり返して表のカレンダー機構。うぁ、複雑でしたね。慣れないと難しいです。曜車をセットしてから文字盤を取付けます。

Dscf032601 完成した機械。仮に秒針だけ載せて作動を見ています。ケースは研磨をしましたが、平面が大きすぎるので研磨も大変です。超音波洗浄をしましたら、接着の風防ガラスが剥離しました。これじゃ、防水も何もあったものじゃないね。

Dscf032701 同じ角型でもセイコーとの比較です。まぁ、どちらが沢山売れるか分かるような気がします。しかし、角型の場合は、どちらもケースと機械(裏蓋)の組み立ては、上下2ヶ所のフックによって行われるのは構造的に仕方のないのでしょう。普通の丸型ケースのように、ねじ込み式の裏蓋などと比較して、防水性能は圧倒的に劣ります。よって、水が浸入している個体が多いのです。

Dscf032002 すみません。ケーシング途中の画像を消してしまいました。オーナーさん念願の秒針も付いて完成です。このモデルは1969年製ですが、文字盤と針のデザインは、60年代に近代的なデザインとして良く使われていた印象があって、国立競技場の電光掲示板の時計も、こんなデザインだったような気がします。機械自体は薄型ですが、60~70年代までの日本の流行は、ケースが大型で厚いものが主流でしたので、このような巨大なモデルが発売されたのかなぁ? とか思います。ベルトの幅は20mmと、当時としては大きいですね。デザインは、おしゃれなドレスウォッチ風なんですけどね。


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