すみません。オークションで中古のアルミホイールを入手しまして、それに新しいタイヤを履かせに行ったりして時間を取られて作業が進んでいません。中古店様からのローライ35のご依頼は、どうしても商品性から初期型のドイツ製(ジャーマニー)が多いわけですけど、私はカメラを製造していた経験から、製造移管先のシンガポール製が劣っているとは思いません。部品の製造もシンガポール製となった後期の個体は分かりませんけど・・稀にシボ革の表面がベトベトになって蝋のように溶けだしている個体もありますからね。まぁ、所有者としてはMADE IN GERMANY BY Rollei の彫刻に満足感を得る気持ちは理解出来ますけどね。この個体はシンガポール製#62049XXと随分と後期の個体ですが、巻上げギヤの腐食を見ても状態はよろしくなく、特に巻き上げが非常に重い傾向にあります。その他、定番の不具合がほとんど出ています。
ファインダーの汚れ(クモリ)も進んでいますのでレンズを分解して清掃をして行きます。
これも多い不具合。レリーズピンがグリスの硬化により張り付いて抜けて来ません。先日、他の個体で同じ状態の時にレリーズで無理に押しましたら布表皮からワイヤーが飛び出してきてレリーズを壊してしまいました。愛用していた15cmの短いレリーズは現在は手に入らないので困りました。今回はピン抜きで叩き出します。
ブラックモデルには仕様が異なるものがありますね。上下カバーの材質がアルミ製で、それに梨地を打ってから黒アルマイトを施した仕様と、この個体のようにトップカバーはアルミ製ですが裏蓋底部は真鍮製で、どちらも塗装を施してあります。真鍮製の場合は塗装をすることになるので、トップカバーが黒アルマイトでは見栄えが変わってしまうので塗装をしてあるのだと思いますが、あるいは裏蓋が別の個体の部品だったりして・・この辺りのお話は研究家の方でないとリペアマンの私には分かりません。アルミ製のため、特に窓枠部分は軽い打撃でも変形をしてしまいます。軽く修正をしておきます。
時代が新しい分、シャッターユニット(レンズ)の状態は悪くはありません。レンズのチリは大量にありますけど。シャッターは羽根を駆動させるバネはここにあります。
個体によってセッティングリングの入っている枚数(厚み)が異なりますが、この個体は2枚ですが、多い場合は4枚ほど入っています。0.10mm.0.15mm.0.20mmの組合せで厚みを調整。
普通は取れることはないですが、この個体の場合はフィルムインジケーターのプレートが接着剥がれでクルクル回ってしまいます。危なく見逃すところでした。接着をします。
Tessarレンズの製造番号記載が無くなり、Made by Rollei となったのは、少し間が抜けた印象ですね。巻上げも断然軽くなって良い個体となりました。