グランドセイコー 5645-8000のオーバーホールです。キャリバー5605Aは薄型ですので、GSとしては8000ケースは非常に薄く、ある意味GSらしさがないですね。
ケースの状態は酷使された個体で良くありません。ケース研磨のご希望ですが、私は手磨きしか出来ませんので、工数が掛かってしまうのでなるべくやりたくないのが本音です。
風防を分離しますが、このケースはベゼルは風防ガラスと一体ですね。ベゼル部分の傷も多いですから新品の風防があれば交換したいところです。
丸一日掛かって手磨きをしました。中央のヘアーラインはもう少し荒くしたいところですが、手持ちの材料では出来ません。研究が必要です。
事前のチェックで竜頭の引き出しがし難い症状がありました。点検するとカンヌキ押エが摩耗をして作動がスムーズでないようでしたが、それだけではないようです。↑の小鉄レバーバネの位置が↙のところに入っていました。
輪列と自動巻きの切替伝エ車を取付けて一番押エをセットします。
日の裏側を組みます。日送車、筒カナ、筒車などを取り付けます。
ゼンマイは半分程度ですが、少し調整をすると良い感じになって来ました。
プラスチックの中枠が割れていますので接着補修をして使用します。
最後に一番仲介車をセットして、ベアリングに注油をした回転錘を取り付けます。
SSベルト装着のため傷が多い裏蓋は軽く研磨をしてあります。メダリオンは、ほぼ残っています。ヘアーラインを入れて洗浄したベルトを装着しました。
珍しい8000番の小型ケースは文字盤のGSを見なければ、なんとなくロードマチック(LM)に見えてしまいますね。1972年4月製。