では、続いて腕時計をやります。前回の56グランドセイコーの基礎キャリバーを搭載する、セイコーロードマチック(LM)です。70年代の近代的な自動巻きユニットで薄型軽量で高性能が特徴です。特にこのモデルはワンピースケースとして裏蓋が無いため非常に薄型で、ウィークポイントのカレンダー機構も省略されていますので揺動レバーも使われていません。シンプルな絹目のアラビア数字文字盤で、現在でもLMの中では人気のあるモデルで、オークションなどの落札価格も高いですね。素材は特に欠点の無い個体で、これをO/Hしようと思います。なお、ご希望の方があればお譲りを致します。(15,000円税、送別)
機械の眺めは前回と同じですね。すべて分解洗浄をしてあります。下が香箱の蓋を取って、ゼンマイが見えるようにしたところ。
前回同様に、香箱車から組立てて行きます。地板のホゾ穴は前回のGSは赤いルビーが入っていましたが、順高級機のこの個体は23石ですから省略されています。
連日同じ機械ですから、注油個所やオイルの種類などは暗記していますのでサクサクと組立てて行きます。機械は、腐食もなく非常にきれいです。
時針が取り付く筒車を取り付けます。前回のようにカレンダー機構は一切ありません。
カレンダー機構が無いので5601A(カレンダー付5606A)の組立が終りました。ワンピースケースのため、裏蓋を開けての歩度調整ができませんので、充分調整をしておきます。
絹目にアラビア数字でカレンダーなしのシンプルな文字盤ですね。針を取り付けて歩度調整をします。カレンダーの無いモデルは、12時での切換調整をしなくて良いので楽ちんなんですね。
一応、ケースに収めています。機械単体で調整をしても、ケーシングをして機械を固定すると微妙に地板に歪を与えるのか歩度が変化します。ワンピースケースの厄介なところ。まだ、ベゼルは圧入していません。
あっ、そうだ。巷ではバレンタインデーだったらしいですね。かみさんから義理頂きました。チョコレートは大好きでしたが、現在は控えていますので・・
でね。時代によって、時計が薄型化して来たという画像。まぁ、この中では、そんなに古いのはないのですが、丁度、技術革新の時期ですかね。一番右の6619は1967年。60年代のハマグリのように厚く、重く、回転錘がゴロゴロとしています。真ん中、6106はニュー5 DXとして同じ1967年に登場した新しい機械。厚みが薄くなって若干小径。じつは、私が高校生の時に買ったのが21石版の6119Aでした。腕に馴染んで6振動で正確でした。左は今回取上げたLMと同じ機械の5606で1968年に登場して来ます。この数年で、機械は大きく進歩していることが分かりますね。
LMと6619との比較。
LMと6106との比較。
(お譲り先が決まりました。ありがとうございました。)
http://www6.ocn.ne.jp/~tomys800/
このケースはワンピースですから風防を専用工具で絞って取り出しますのでプラ製ですね。細かな傷でしたらサンエーバールなどて磨くことが出来ます。
人気のモデルですからデッドストックの風防を入手するのは難しいでしょうね。汎用は使えませんので純正か社外ヨシダ(S-90)を探すことになります。
もし、風防を入れ替える場合、直径、厚みは何ミリの風防を購入すればいいのでしょうか?
すみませんが、ご教示ください。
チャンピオン気に入って頂いてうれしいですね。LMは6振動の新型機械ですから性能は良いですが、今回のモデルは薄型、シンプルをコンセプトにしたモデルですので、同じLMでも、もっとガッチリとしたケースのモデルの方がお気に入りではないかと思いますよ。
その前に、セイコーマチックなどを経験されると良いかも知れません。
ペンギンさん。
LMの初期型でしたら揺動レバーの歯車が金属製ですので、耐久性があるのかも知れませんね。殆どが早送り禁止時間帯に無理に切り替えたことが歯車にストレスを与えた結果でしょう。
デッドのSSベルト、良く見つけましたね。この頃はケースがベルトとセットでデザインされているので、汎用や革ベルトではしっくり来ないケースもありますね。輪列より、自動巻き機構の歯車に力が掛かっている関係で、二枚車や伝エ車が磨耗している個体があります。早めのメンテナンスが必要でしょうね。
早速のご返事有難うございます。
LMはKSなどと同じ56系ですから、
部品取りにされてしまうのですね。
レストア目的とはいえ、状態の良い
個体が少なくなるのはちょっと悲しい
です。
最近はLMの70年初期の本体と
デッドストックのLM用SSベルトを購入
いたしましたので、早速オーバーホールを
お願いしようと思います。昔のものが復活
するのは最高の喜びです。正直、TOMYさんの
お仕事に敬服しております。
ところで本日もそうですが、最近は降雪の時期で
寒い毎日ですね。TOMYさんもお体ご自愛くださいませ。
こういうときは暖かい鍋良いですね。
先日はチャンピオンお譲り頂き、誠にありがとうございました。
すごく気に入ってまして、届いてから愛用させて頂いております。
今回のロードマチックもいいなぁ…と思いながらも、
腕に付けてるチャンピオンを見ながら踏みとどまってる状況です。
これからもブログの更新楽しみにしてます♪
その節はありがとうございました。
そうなんですね、カメラ好きは時計好きに決まっていますから、最近は、ペンと同時進行で機械式時計をはじめていらっしゃる方が増えています。
セイコーの中でも、50年代、60年代、70年代で、それぞれの代表的なモデルがありますので、50年代の性能よりはアンティークを楽しむか、60年代の百花繚乱時期を楽しむか、70年代の機械式最後の完成期を楽しむかでターゲットのモデルが変化しますが、カメラと一緒で、次々と欲しくなるのですね。幸い、対象が小さいですから保管場所に困らず(私は200個ぐらいで困ってますが)、朝の気分で使い分けも楽しいことですね。
LMは60年代の技術の蓄積から誕生した、新しい発想の設計だと思います。自動巻き専用設計ですから、薄型で高性能。この機械特有の配慮はありますが部品点数も少なく、組立て易い機械です。LMは56GSやKSの部品取り(揺動レバー他)になることが多く、現在では良い状態を保っている個体が減って来ましたね。
殆どの個体がO/Hなしで油がカラカラの状態で動いています。はやめのメンテナンスがよろしいと思います。
大変お久しぶりです。以前ペンをいくつかオーバーホールしていただき、大変満足しておりますが、最近時計を修理されているとの事で、小生もいくつか時計をオーバーホールしていただけましたらと考えております。LMは最近ひとつ入手しました。まずはこれをお願いしてみようと思います。56系は日送り機構が弱いようですが、購入したものはまだ機能しております。近いうちにご相談いたします。後ほど宜しくお願いいたします。