ローライ35ジャーマニーが2台来ています。どちらも外観のへこみなどはなく良い個体です。しかし、#30259XXは不具合が多いのでオーバーホール。#30093XXは限定修理とします。
#30259XXは沈胴がスカスカです。沈胴部分を過去に分解されているようです。
ヘリコイドグリスも抜けています。レンズも汚れがありますのでシャッターを分解清掃します。
軸受けやギヤの洗浄グリス塗布をして組みます。その他、シャッター低速不調を修理しておきます。
沈胴のフェルトは分解されていまして、再組立の時に無理に沈胴チューブをねじ込んでフェルトを痛めています。
B(バルブ)で止まらない。これも多い故障です。ピンセット先のカシメの固着です。たまにBまでシャッターダイヤルを回して固着しないようにした方がよろしいかも知れません。
ローライ35のシボ革剥離はそれほど困難ではないのですが、この個体は親の仇のように剥がれませんでした。前カバーをセットします。
絞りダイヤルとシャッターダイヤルを取付けてシボ革を接着します。
シャッター・レンズを清掃します。チリの混入はありますが、カビなどは無いようです。
多くのローライ35を所有されていたうち2台を残されたとのことでコンディションは良いですね。絞り羽根の腐食などもありません。分解清掃をしておきます。
ヘリコイドグリスを交換してシャッターユニットを本体に搭載しました。フィルムレールを取り付けます。
巻上げカムの偏摩耗もありません。ジャーマニーの初期型ですので↓のロッキングスプリング(駒数板の戻りを留める爪)の下にリーフスプリングが入っていません。多くの個体は巻き上げが20枚を超えると駒数板を止められなくなり、それ以上カウンターが進まなくなります。この個体は現状は大丈夫ですが将来は症状が出るでしょうね。
初期型の巻き戻しダイヤルは金属の組立式。汚れで回転が粘るので清掃とグリス塗布をしておきます。
これはもう一台の#3009338と、こちらの方が初期ですね。こちらはレバーアテと低速不調のみの限定修理をします。カウンター窓の樹脂ガラスは両端しか接着をされていませんので、このように脱落している個体が多くあります。下にある露出メーターのガラスと接しているので、特に問題にはなりませんが・・
カバーの洗浄後、レバーアテの熱カシメと樹脂ガラスを接着します。
レバーアテが欠損して状態で使用を続けると、トップカバーにレバーが直接当たって傷を付けてしまいます。この部分のみの限定修理もお受けしています。