今なにしてる         (トミーのリペイント別館)

カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
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初めてのPEN-FTの巻

2019年03月27日 15時49分42秒 | ブログ

すみません。中古屋さんの手直しやらをやっていましてUPをサボりました。では始めますか、サボっている間にgooブログの入力画面が変わっていて焦りました。この方は私が時計の修理をご指導してから一緒に腕時計のレストアをやっている方ですけど、PEN-FTをお持ちでなかったとのことです。そこで、やるとなるととことんやる性格の方ですので、オークションで集めて来ましたよ。これ以外にもFTブラックも入手されたとか。まぁ、恐れ入りましたです。で、中で良さそうな個体を選んで1台仕上げるということですが、手前は#2710XXで後ろの2台は30万台です。普通であれば30万台から選ぶところですが、この27万台が外観が非常にきれいで使用感や小傷がありません。よってこの個体を採用することとしました。しかし、シャッターは不動で、何か原因があると思います。

トップカバーを開けて見ると・・未分解機ですね。

 

 

27万台はメカ的には30万台以降とほぼ変わらないのですが、ハーフミラーのメッキが異なります。銀メッキですので腐食が進んでいます。また、事前のチェックで露出メーター単体の感度が落ちているようです。

 

シャッターですが、ハンマーが完全に固着しています。ブレーキナットが緩んでいるためです。逆に言えば、早い時期に故障となったために使われずに良い状態を保っていたのかも知れませんね。メカは直せばよいだけの話ですから・・

 

ダイカスト本体側は洗浄組立を終えていますが割愛します。やはりブレーキナットが緩んでいます。

 

 

スローガバナーのアンクル押エバネが折れています。(左が正規)

 

 

巻上が出来ない原因はまだありました。2回巻上げ防止レバーが固着して解除されません。

 

 

原因はレリーズバーが曲がっていて、2回巻上げ防止レバーと干渉しているためです。

故障の推理はこうです。まずお約束のブレーキナットが緩んで巻き上げが出来なくなった。そこで短気を起こしたオーナーさんがレリーズボタンを力一杯に押し込んだ。最後は、修理をしようと底蓋をあけていじっているうちに押エバネを折ってしまった。そんなところですかね。

修理が終わったシャッターユニットとスローガバナー。

 

 

あら、スローガバナーからコントロールレバーが外れた形跡がありますね。プーリのダブルナットが緩み気味かもしれません。

 

 

シャッターユニットを本体に搭載して裏蓋を取り付けます。

 

 

早期の故障が幸い? してか、メカの摩耗は殆どない個体です。

 

 

軽く磨きましたが、接眼枠は新品時はこのようにピカピカなのです。

 

 

露出計の校正をして最後にシボ革を貼ります。27万台は30万台以降と殆ど使用は変わりませんが、接眼プリズム押えはアルミ製(以後真鍮製)とハーフミラーのメッキの違いです。

 

セルフタイマーの作動をチェックするとシャツターを押し切らない不具合がありました。

 

 

レリーズイタ(リンケージ)の逆ネジ位置が工場調整から動いていますね。ネジ自体は緩んでいないので故意に変更したか、分解をしようとしたものかは不明。これによってセルフでシャッターが切れなかったもの。

 

設計変更後の30万台38mmは程度の良いものが多いのですが、この個体はかなり使い込まれていてヘリコンドグリスが抜けてガタガタですね。

 

 

38mmは洗浄、グリス交換O/Hをしてあります。この個体の梨地クロームはテカリがなくマットな感じに見えますよね。これは人の手で磨滅をしていないからです。小傷も殆どなく素晴らしい新品時のメッキの状態。早い時期に故障となって仕舞い込まれていた個体だから残ったのでしょう。同じオーナーさんから追加で2台届いています。

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