暑さで夏枯れ状態なのか修理ご依頼は少ないですよ。オーバーホールも早めに出来ますのでよろしくお願いいたします。で、PEN-FTには40万台という謎の異端児もあるのですが、正常なシリアルとしては最後期の頃と思われる36万台#3676XX (1971年3月製)です。私のストックですがO/H後、ご希望の方がいらっしゃればお譲りします。特徴はやはり生産が新しいということで各部の劣化は非常に少ないです。シャッターも消耗していません。一番の特徴は私が「基板別体タイプ」と称しているメーターユニットです。オリンパスはなぜか生産末期になってメーターユニットの設計を刷新しました。設計者の米谷さんご生前の時にこのユニットのことをお尋ねしましたが「そんなものはない」と否定されておられました。でも現物があります。
では、分解洗浄の上組み立てて行きます。巻上げ系もまったく疲労や腐食がありません。
従来のユニットとはCdsのサイズが違い、特徴的であった「逆入射光防止グリット」が無くなっています。しかし、効率とCdsの生産が新しいせいかメーターの応答性は早くなっていると思います。
これが当時のカタログですが、逆入射光防止グリットの説明と↘のイラストが描かれています。これも「製品改良のために予告なく仕様を変更することがあります」ということになりますかね。
生産が新しいのと摩耗や不具合は無いのでメンテナンスで組んで行きます。FからFTでは改良設計にはなっていますが作動原理的な宿命でコントロールレバーが弱く折れるのです。みなさんの個体もいつかは折れます。そこで最後期ではコントロールレバーの形状を見直して折れにくくしていますね。下のユニットが生産の大多数を占めるコントロールレバーです。
ファインダーのプリズムのコーティングは完璧。左上のスクリーンはそれまでの上下に位置決め用の角が省略されて単純な▢になっています。
殆んどの個体は接眼プリズムのコーティングに曇りのダメージを受けていますが、この個体は完璧に残っています。生産が新しいからね。
接眼プリズム押えは元々は3本ネジ留めですが、1本省略されるようになり、製造末期ではビューハウジング本体のネジ加工やプリズム押えの孔加工も省略されています。
露出計の基板は接眼枠右にアース用のネジにより固定されています。生産完了後の補修部品としても使用されており、シリアル№が10~20万台の個体でも、このユニットに換装されている個体があります。使用過程で特に10万台の個体は露出計が不良となることが多く、SSで交換されたものと思われます。作業者によってはアース用のネジ孔(タップ加工)を省略しているものも多いです。
細かな点ですがストロボ接点を留めるネジ頭が大きく変更されています。
大きな当たりはありませんが、細かな梨地のすり傷はあります。決してデッドストックのような個体ではありません。しかし、裏蓋の黒塗装はハードケース入りで使用されていたので非常にきれいです。
生産末期の個体は圧板の取付が従来の4点留めから2点留めになっています。この変更はFTだけではなく、同次期に生産されていたモデルに共通の変更です。
OM-1の発売は1972年7月で、この個体の製造は1971年3月ですから1年半前ということになりますが、実際の生産完了はもう少し早かったはずですから最後期と言ってよろしいと思います。ハーフミラーは新品と交換済み。興味のある方はお問合せください。
トミーのリペイント (tomys800.sakura.ne.jp)