では、ローライ35に戻りますね。クセナー40mm付きのシンガポール製ローライ35です。希少な個体なので直さなければならないのですが全く動きません。まず、巻上げレバーのクラッチが掛からずレバーがプラプラして巻けません。最近、使用中のデジカメのピント性能が落ちたようでピンボケですが、電池室の接点が腐食しています。この腐食具合は内部に色々な劣化を及ぼしているはずです。
まず、メーターが動きません。回路が腐食していますので修復します。巻上げレバーがプラプラになる故障は、ピンセット先の黒い樹脂部品のクラッチがスムーズに上下作動をしていないからです。
これは稀にある不具合ですが、シャフトが電池液漏れのガスによって腐食し、表面が荒れて樹脂部品がスムーズに動かなくなっているのです。シャフトは交換出来ませんので、研磨によって荒れを修復します。
シャフトを修正してクラッチがスムーズに動くようになりました。過去の分解でスプール軸とチャージギヤとのタイミングが大きく狂わされていましたので修正をしてあります。
露出メーターの回路を修復して光源の増減にメーターが振れています。クラッチを修理しました。ファインダーを分解清掃してスローガバナーのメンテナンスをしてあります。
沈胴の動きが気になるので沈胴チューブを外してフェルトを調整します。沈胴レールの取付ネジの緩みがありましたので増し締めしてあります。
ピンセット先の遮光紙の組み込み位置が間違っていました。過去に分解されているということ。
なんでこんなにヘリコイドグリスを詰めるのだろう。相手側にも大量に塗布されています。いくら詰めてもネジ部のグリスしか利かないのに・・
電池の液漏れを起こした個体のレンズはトラブルになっていることが多いです。通常の汚れではない曇り方ですね。各面に汚れはありますが主に後玉です。
トップカバー裏も液漏れの影響を受けて真鍮面が腐食しています。問題は、レリーズに嵌っているピン(スライダー)が全く固着で動きません。このままですとレリーズが使えず、無理をすると私のようにレリーズを1本壊すことになります。表面から叩き出して抜き、洗浄とグリス塗布で組み立てます。(その前にカバーの洗浄と腐食部分に黒塗料で補修)
最近、主にジャーマニーの個体でカウンターの固着(戻らない)が目につきますので点検します。巻き戻しダイヤルは回転が重いので分離清掃と白化した樹脂を黒に戻しておきました。