今なにしてる         (トミーのリペイント別館)

カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
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巻上げゴリのPEN-FVの巻

2020年05月05日 20時10分00秒 | ブログ

いつの間にか連休も終盤ですけど、ホームセンターに行きましたら大勢の客が来店していましたよ。陳列商品の能書きを読んでいると、両脇から手が伸びて来る。2mルールなどあったものじゃない。駐車場を出ようとすると入場制限をしていました。みんな行くとろが無いので、家の修繕でもしようということなのでしょうね。早く平静な日常が戻って来ますように。

で、PEN-FV #1346XX (1969年7月製)ですけど、久々に巻き上げの感触がカクカクする個体です。

FVは各部のユニットが変更前の個体が多いのですけど、この個体は変更後のユニットが使われていますね。変更後のシャッターユニットはバネが強化されているので、このような症状が出易いのです。

 

トップカバーを開けてみると・・過去に分解されていますね。それでこのゴリツキですか。

 

巻上げが足りない時があるとのことですが、フィルムを装填した時に起こりやすいとのことで、スプロケットのクラッチ摩耗も疑いますが、それほど摩耗はしていないように見えます。

 

まぁ、巻き上げが重いことが影響している可能性もありますので、洗浄をして組み立てながらチェックをして行きます。

 

ゴリツキの個体はチャージギヤと軸の摩耗が進んでいることが多いですが、なんと、この個体は皮肉にも全く摩耗していません。

 

ユニットに問題はありません。疲労していないユニットです。超音波洗浄をしたスローガバナーを取り付けます。

 

ダミーフィルムで負荷を掛けて巻上げのチェックをします。特に問題は無いようです。

 

光学系はコーティングの劣化があり完全ではありません。

 

 

スクリーンの右側に外側からの突き傷があって(白い点々)その傷に黒い汚れが入って洗浄では取れません。

 

前板関係を本体に取り付けます。

 

 

ここまで巻上げのミスは発生していません。巻上げの感触も改善はしましたが、最良ではありません。

 

最後にフィルムカウンターを取り付けますが、オヤギヤに付いている小ギヤの回転が悪いものがありますので、洗浄と僅かな潤滑は必要です。

 

仮にトップカバーを載せてみると、Sが指標に僅かに合致しておらず、1との中間に近いです。

 

駒数板のストッパーを曲げて調整をしますが、ここがズレているということは殆どないのですけどね。

 

僅かな違いですが。

 

 

オーナーさんより「文字の色入れが抜けているので入れ直して欲しい」とのご要望がありましたが、洗浄をしてみると・・あれ? きれいになっているよ。なんと白い汚れがこびり付いているだけでした。

 

シリアル№は完全に白くなっていましたが、こちらもご覧の通り。この個体はアンダーカバーの三脚穴の内部に白い液体が固化した汚れが付いていました。たぶん何かの液体を付着させたのでしょう。

 

ご希望によって全反射ミラーは新品と交換してあります。PEN-FTは巻き上げのゴリツキがひどい個体がありますが、原因はいろいろな部分の不具合が合成されたもので、どこか一か所の問題ではないのです。修正については多少の経験とノウハウがありますけどね。当初の状態からすれば許容できる範囲の状態になっていると思います。

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