今なにしてる         (トミーのリペイント別館)

カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
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生きてますよの巻

2020年05月01日 00時30分00秒 | ブログ

例年なら5月の連休はもてぎのクラシックレースに出掛けるのに、今年はどこへも行けませんね。しかし、私たちは未来から振り返った時、歴史的な出来事を経験しているのかも知れませんね。まぁ、その頃私はいませんけど・・で、ローライ35系の作業を続けています。今日は一度組み上げたローライ35Sの巻上げ時に擦れるような異音がする個体を再分解していました。当初、異音は分解作業前に認識しており軽微なので個体差で作動に問題なしと判断していましたが・・巻上げで周期的に発生することから、カムやギヤの歯の損傷を疑い関連のギヤをすべて分解してみましたが、目視で明らかな損傷のあるギヤは見つかりませんでした。一つを除いて・・

これはスプロケット軸を駆動するギヤですが、6時の付近の歯に接触したような摩耗がありますね。周期的に発生する・・

 

修理は推理とはよく言ったものです。原因を見つけました。スプロケット軸のギヤが嵌る部分が曲がっています。それによってスプロケットギヤが偏心して回り、周期的な異音(接触音)を出していたのでした。ジャンク機より交換部品を調達しましたら、なんと、曲がって先端部分の軸径が太く、軸のみの交換は不可で、ギヤとセットの交換となりました。どちらから設計変更されたものかは研究が足りずに分かりません。

この個体(35TE)はフィルムカウンターが進まない。ローライ35系はカウンター不具合が多いと感じます。この個体の場合は巻上げカムやリンケージの摩耗によってカウンターギヤを駆動させる爪の移動量が足りないようです。こちらもセットで交換をして改善させました。

これも多い不具合です。露出メーターの電池接点が腐食してメーターが作動しません。

 

このように配線を修理しておきます。

 

 

これも多い不具合で、使い込まれた個体は沈胴のスライドが緩くなって、レンズを下に向けると自重で下がってくるような個体があります。沈胴がスムーズにかつ抵抗感を持って前後する構造は、受け側のリング内径にフェルトが挟まっていて、ちょうどピストンリングのような役目をしているためです。フェルトは一般に市販されているものより圧縮率が高く、市販のフェルトで代用するとホールド感が弱く具合が良くありません。そこで、フェルトの下に入っている調整用の紙の厚さを変えて調整ることにします。厚みは0.08mm程度ですので、一般的なコピー用紙は0.09mmですから今回はそれを使います。それでも緩い場合は、もう少し厚紙を使ったりしますが、すると今度は沈胴する鏡胴を挿入することが非常に困難となって、無理に挿入しようとするとフェルトが飛び出して来てしまい挿入が出来ません。まぁ、ここら辺は試行錯誤により得た挿入方法などのノウハウも多少ありますけど皆さんも研究してみてください。

 

 

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