今日は病院の診察で新宿に行ってましてが、相変わらず人が多くて疲れました。外国人も多く見受けますが、外国人男性とペアの日本女性は何故かきれいな人が多いなぁと思いましたね。自分に自信があるからでしょうか? 若い日本男児にも頑張っ貰わないとね。
で、この時計はTAKANO PRECISION となっていまして、腕時計ファンの方以外はあまり知られていない「タカノ」というメーカーの製品です。この個体は以前にご常連さんから頂戴しました。タカノ(高野精密工業(株))は1957年から1962年まで腕時計を製造していたメーカーです。伊勢湾台風により工場が被災をしてリコー(理研光学工業(株))に吸収合併をされたとなっています。製造期間が短かったために現存の個体も少なく、まぼろしのメーカーとか言われています。1959年には世界一薄い腕時計「シャトー」を発売しますが、今回のモデルはそれ以前の西ドイツのラコー社と技術提携をしたLACO型になるようです。機械は17石で、状態は使い込まれてケースの小キズと文字盤の劣化が目立ちます。
伊勢湾台風と聞くと私は小学交の低学年でしたが、親が話していたのを覚えています。昭和30年代は大きな被害を及ぼした台風が多かった記憶です。関東地方でも広場の木が倒れるなど普通でしたからね。そうそう、百恵ちゃんのドラマ「赤い運命」だったか、冒頭シーンに伊勢湾台風の映像が映し出されていましたね。
裏蓋を開けて見ると、おぉ、特徴的な受けの機械ですが、設計はオーソドックスなようです。機械留めのネジが片方折れていますよ。手巻きの機械は機械留めのネジにストレスが掛かって折れることが多くあります。
幸い、湿気の侵入は無かったようで、ネジも固着しておらず取り出すことに成功しました。では、まずケースを軽く磨いてから機械をオーバーホールしていきます。
ここから撮影設定間違えました。光ものはきれいに写りません。意外にきれいな機械で、ネジのスリ割りも痛んでいないですから未分解かなと思ったのですが。では、テンプから分解して行きます。
香箱のフタをピンセットでこじって開けたようですね。ダメですよ。
すべて分解洗浄しました。ホゾ穴の摩耗は少ない良い機械です。
同時代のセイコー・マーベルと比べると、地板の加工は少し荒い感じですかね?
設計はオーソドックスで受けとの合いもかっちりとしています。
裏押えがなんとも繊細な形状をしているので折れていなかったのはラッキーでした。使い込まれるとガタが多くなる小鉄車や日ノ裏車も良好です。
チラネジ付のテンワもあるようですが、この個体はチラネジナシのタイプです。耐震装置に注油をして動きだしました。
組んだままですと、かなり進み方向でしたので調整をして行きます。片振りは全く良好です。この時代の機械としては優秀な方でしょう。
文字盤の劣化が惜しいです。針の仕上げはRが付いていて高級です。しかし、秒針はホゾ穴の拡大があって留まりませんでしたので、ピンバイスで締めて取り付けました。
軽く磨いたケースにセットしました。折れていた機械留めネジは頭が大きくて長いタイプで代用がありませんので、スーパーのものを仮に着けておきます。
一日歩度を見ましたが、非常に正確で恐れ入りました。タカノは高級時計というのは伊達ではなかったようです。
次は自社開発の薄型「シャトー」を組み立ててみたいですね。