今なにしてる         (トミーのリペイント別館)

カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
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歴戦の勇士PEN-S 2.8の巻

2017年03月20日 20時31分35秒 | ブログ

セイコー・エルニクスは部品が揃うまでペンディングにします。

その間に、以前にもPEN-Sのオーバーホールをご依頼頂いたオーナーさんから、まだPEN-S 2.8 #2680XXが来ています。しかし、外観がかなりよろしくないですね。本体のブラック塗装は殆ど剥離しています。塗りたくなりますね。

シャッターリングにも腐食が出ていて汚れも蓄積しています。

 

 

内部は比較的きれい。シャッターユニットの取付けネジが外された形跡がありますので、過去に修理を受けているようです。シャツターは正常に作動しています。

 

裏蓋も汚れが目立ちます。底部角にへこみが有ります。

 

 

裏蓋の先端部分は変質したモルトが悪さをして錆が出ており、そのまま固着しています。では、全体のオーバーホールをして行きますが、特に問題は無いのではと予想します。

 

たった今完成しましたのでUPして行きます。過去にシャッター分解歴は分かっていましたが、あまり丁寧には組立されていませんね。

 

ファインダーの反射ミラーがここまで腐食しているのは珍しいです。

 

 

白いネジの緩み止めは壊されていますので分解は間違いないです。で、ここで疑問。シャツターの製造は39.12(1964年12月)と捺印されていますが、カメラ本体は1962年-6月となっています。ということは、シャッターを載せ替えたということですね。因みにPEN-Sの生産開始は1960年-6月とのことです。

載せ替えたシャッターユニットに特に問題はありません。すべて洗浄をして組立をして行きます。

 

シャッター完成。多少、シャッター羽根の摩耗はありますが、調子は良いシャッターです。

 

とにかく50年分の汚れが付いているようなダイカスト本体とカバーですから、洗浄に時間が掛かります。劣化して軟化したモルトが再度固まった状態です。

 

モルト下の塗装部分は完全に剥離してしまいます。丁寧に洗浄したところ。

 

 

細かな部品もすべて洗浄をすれば、後は問題なく組立をして行くだけです。

 

 

カム板(シャツターリング)は腐食が進んでいましたが、磨き出して洗浄しましたのでピカピカしています。

 

レンズのヘリコイドはピッチが細かい初期型です。意外にレンズは素晴らしくきれいで、持病の後玉コーティングも完全です。レンズも移植された可能性もありますね。

 

洗浄によって、殆ど剥離していた彫刻文字の塗料が完全に抜けてしまいました。

 

文字は艶消し黒で、「S」は調色をして入れておきました。

 

 

初期の個体はメッキの梨地が細かく、光り気味ですが、使用過程での磨滅もあって撮影が上手く出来ません。完成してみると、やはりダイカスト本体の塗装剥離が目立ちますね。塗装して差し上げれば良かったかと思いますが、オーナーさんは実用本位の方で、特にご希望がありませんでしたので、今回はこのままとします。見かけはあまり良くない個体ですが、意外にシャッター・レンズは良好な個体でした。

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