今なにしてる         (トミーのリペイント別館)

カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
(お問合せ)tomytmzk@titan.ocn.ne.jp
 

PETORI 17というカメラの巻

2024年09月03日 20時00分00秒 | ブログ

UP予定が無かったので画像が少ないです。大阪のご常連さんからずっと前に来ていました。いつも食玩のヒコーキを入れて頂き恐縮しています。今回は試作で終わったエンテ型(先尾翼)戦闘機の震電でした。私が初めて震電のプラモデルを作ったのは小学一年生だったと思います。三共のピーナッツシリーズと言うのがありまして、単発戦闘機は殆どシリーズされていました。値段は30円だったと思います。変わったヒコーキだなぁと思いましたが、その時は実用機とばかり思っていましたね。

で、このモデルはペトリが1962年頃に輸出したハーフ版の輸出専用機のようです。年代を考慮するとコンディションは良く、PETRI-Sシャッターは正常に作動しています。では、ファインダーの清掃などをして行きます。ファインダー像の上部にEEのメーター針が見えますが、決して見易くはありません。赤枠のセルが脱落していましたので接着をしておきます。

EEメーター針の反対側をレリーズと連動して動くギロチンレバーで押さえるという設計。

 

マニュアル撮影も可能のようですが、じゃ、EEはどこでセットするの? ここら辺が直感的に操作が出来ないペトリらしいところ。絞りの先(左)へセットするとAUTOになります。左の方に書いてはありますね。

シューの溝部分にも汚れがありますので分解をして洗浄します。

 

 

巻き戻しダイヤルの上下ガタの修正はワッシャーを入れますが、何と6枚も入ります。PENでも前期型は同様な修正方式でしたが、設計変更により調整ワッシャー無しで組み立てが出来るようにしています。

巻上げは底部のダイヤルによりますが、機構はなんとカバー側についているのでした。本体側はチャージレバーがあるだけですね。注油をしておきます。

 

ローレット部分に指を当てて巻上げをします。巻上げは軽く意外に軽快に巻けます。

 

 

裏蓋のロックが変な機構です。ダイヤルの回転でロックする方式。しかし、動きが非常に重い。分解清掃とグリス塗布で組みます。

 

一見、蝶番式の裏蓋に見えますね。

 

 

反対側はフックになっている取り外し式です。裏蓋も洗浄してあります。

 

 

きれいに見えたレンズですが、後玉の内側のコーティングの劣化で、清掃でも少し曇りが残りました。

 

国産なのに国内未発売で入手の出来ない輸出専用機の収集も楽しいのでしょうね。

 

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PEN-F系もやってますの巻

2024年09月01日 17時00分00秒 | ブログ

最近、PENの修理ご依頼が少ないです。PENの作業もしておりますので修理のお問い合わせをお待ちしております。で、特に取り上げる大きな話題もありませんが、簡単にUPして行きます。レンズ付きのPEN-F #1476XXですが、巻き戻しダイヤルのレバーがへこんでいますね。

これは、中央のネジが純正ではないためです。このネジでレバーを留めていますので、規格外の高さの低いネジを使うとレバーが下がってしまいます。純正ネジに交換します。

 

PEN-Fは古いですから殆ど分解をされています。駒数盤を留めるネジの下に入るウェーブワッシャーが入っていませんでした。これが入っていないと駒数ギヤに上下ガタが出て、噛合いが外れる可能性があります。追加して組みます。

F用の38mmはヘリコイドグリスが完全に流化していて内部はドロドロです。すべて洗浄脱脂をしてから組み立てます。

 

 

花文字や他の文字も色入れが抜けかかっていますので入れ直しておきました。

 

これはPEN-FV #1062XXですが、初期型なのでシャッターユニットやセルフタイマーユニットも変更前が付いているはずですが、この個体恐らくSSにてタイマーユニットを後期のものに交換されています。すると、留めるネジ位置が変更されているのでネジ孔が合わないのです。そこで、巻き戻し軸部分にタップを立てて取り付けてありますね。

本体の組み立て完成。

 

 

こちらも38mmが付いていました。

 

 

これで完成。

 

 

こちらはPEN-FTブラック #2486XXですが、シューを取り付けていたのでトップ面がへこんでいます。これを修正します。

 

電池室の液漏れがリード線を伝わって基板を侵しています。問題はそれだけではなかったのです。

 

ガスの影響でしょうね。Cds基板も侵されていて、取り出しのターミナルと中央部分から割れておりました。貴重なブラックモデルですから直さないわけにもいきません。ストックのユニットに交換して組みます。

これで完成と思ったのでしたが・・

 

 

フィルムの巻上げテストでスプールが滑ってフィルムが巻けない症状。分解をしてみると、右が組まれていたバネで標準バネ(中央)からカットされています。左は当方オリジナルの強化バネです。これは稀に見ますが、この部分は過去に分解を受けていませんので、工場で組み立てた時、バネが強くてスプールの回転抵抗が大きいのでカットして合わせた。のではないかと思います。しかし、条数を減らしてしまうと経時的にバネの張力が弱くなってしまうのでしょう。今回は標準バネに交換して解決します。

色々問題のある個体でした。これで完成です。

 

 

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310番台のローライ35ドイツの巻

2024年08月28日 09時00分00秒 | ブログ

疑問点の多いローライ35 #3106XXXのフィート機です。まず、電池室に電池が入りっぱなしで液漏れが発生していましたが、接片の腐食は免れていました。次に固着したフィルターを外せ。とのことでしたが、ローライ35の場合、力任せにフィルターを回すと回転範囲を規制する爪が折れてしまうのです。前玉に負荷を掛けないように裏技で外したところ。

シャッターユニットを沈胴チューブに留めるネジ3本のうち2本が脱落していて1本はネジ部で折れています。? どうやったらネジ部が折れるのか??

 

最大の関心は前面から見てファインダーにカビや汚れが多く見えること。ドイツ製はガラス一体ではないの? 四角の樹脂ケースに3枚のレンズが組み込まれています。このような仕様の個体は見たことがありませんが、分解された形跡はないのでオリジナルと思いますが・・

保管が良くなかったようです。うっすらとクローム層に腐食がありますが、経験的に落とすことが出来ると思います。

 

では、通常のメンテナンスをして行きます。スプール・スプロケット軸の清掃グリス塗布とスローガバナーのメンテナンスをします。

 

チャージギヤの清掃組立。

 

 

オリジナルか社外かは分かりませんが、盛大なカビのファインダーを清掃して取り付けます。

 

巻き戻しレバーのプレートを取り付けます。

 

 

シャッターを分解洗浄をして組み立てます。レンズのカビが各面に発生していました。清掃できれいになりました。以前は組立作業中はラヂオを聞いていたのですが、最近は放送が面白くなくなりましたね。自分とパーソナリティーの世代が離れ過ぎたからでしょうね。で、YouTubeを流して作業をしています。お気に入りは「宮甚商店」で、私と同世代でバイクや旧車がお好きと趣味が合います。古い五球スーパーのラヂオをレストアしたり秋月の安いスピーカーで遊んだり、電気のスキルのある方が羨ましいです。

で、ここですよ。固着したフィルターを力任せに外そうとすると、このストッパー爪が折れてしまうのです。そんな人いないだろうって? 居るんですよ。いくつも交換しました。

 

特に問題はなくシャッターユニットが仕上がりました。これを組み込めば終わりと思ったのですが・・

 

フィルムを装填して巻上げテストをしましたが、何故か巻上げクラッチが外れる。また、7~8枚で巻けなくなってしまう。???   クラッチ部の点検は問題なし。巻き戻し軸の回転が固着気味を発見。分解洗浄の上、注油で組み立てます。

しかし、巻き上げ停止は改善しない。よ~く観察すると・・。巻き戻しレバーの先端部分が陥没気味で軸と干渉していました。これを修正して問題解決。しかし、この部分はカメラを立てて置く時、机などに当たる部分ですから、意外に発生をする不具合かもしれません。恐らく、前オーナーさんは、フィルムが巻けなくなるので原因が分からす手放した可能性もありますね。feet機ですから外国の方かな? 乱暴に机に置かないように。

まぁ、良くなりましたね。しかし、シャッターユニットの留めネジの脱落と折れは何だったのでしょう? もう一台続けるかな?

 

続けてローライ35Tブラック#6367XXXをやっておきます。事前の点検でメーターが作動しない。

 

トップカバーを外しますが、カバーの化粧ネジが痛んでいますので過去に分解されています。よく見ると、巻き上げレバーのリターンスプリングの掛かり位置が変です。スローガバナーに掛かっていますが、正解は左のフックです。

メーターを短絡させると作動します。するとCdsが怪しい。あぁ、ここですね。メーターユニットをコンパクトに纏めるため、配線が素子の足をそのままむき出しで使用されているので、電池からのガス(古い電池が入れっぱなしだった)により腐食するのです。これはローライ35のウィークポイントですね。

配線をやり直しました。メーターは作動します。

 

 

 

では、通常の作業をしますが、ローライ35Tは新しいのでこの他は特に問題はないでしょう。何かあればUPします。

 

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ヤシカ・ラピードを何とかするの巻

2024年08月27日 16時00分00秒 | ブログ

先日中止をしましたヤシカ・ラピードですが、「何とかせよ」とのことですのでレンズは出来るだけ清掃をして使うことにします。いつも思うのですが、このカメラはシャッターに辿り着くのに多くの部品を外さなければなりませんので面倒かな? レンズと絞りダイヤルはグリスが抜けてクルクル回ります。EV窓は曇って見えません。

∞の位置はどこでもセット出来てしまいますので分解前に記録しておきます。

 

とりあえず前面カバーを取り除いてシャッターユニットを取り出します。ボディー間のモルトは完全に劣化していてダイカストも劣化気味です。

 

中玉ユニットを取り外します。困るのは過去に分解をした方がことごとくイモネジのスリ割を壊しているので分離に苦労しました。真鍮製のイモネジなので、スリ割にドライバーが合っていないとスリ割の片側が簡単に折れてしまいます。現在はスリ割付のイモネジは入手困難です。

 

 

絞りユニットを取り外します。

 

 

ヘリコイドグリスが流化して絞り羽根に大量に付着していますので分解洗浄をします。

 

やっとコパルSVユニットに辿り着きました。基本的にしっかりとしたシャッターですから問題はないと思いますが、大量の油で作動不良、セルフタイマーも不動です。

 

さっさと洗浄注油をして組み立てました。本体に取り付けます。

 

メーターが作動しているのは大変貴重です。ファインダーは金コートは拭くと剥離をしますから拭きません。接眼レンズのみ清掃します。前面の保護ガラスは前期は本物のガラスですが、この個体はアクリル板ですので後期でしょうか。アクリル板が変色や傷が多い場合はフロートガラスを切り出せば、ガラス製に置き換えられます。

前面カバーに内側から小さな突き傷がありましたので(どうやったらそうなるの?)修正をしてシンクロの配線を繋ぎます。

 

P位置でスチールボールによりクリックが利くはずですが作動不良でしたので修正しておきます。幸い、極小のスチールボールは紛失していませんでした。

 

各部の操作もグリスが利いてしっかりとしました。ハーフカメラなのにがっちり大きく重い妙なカメラです。

 

 

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彩雲を見て来ましたの巻(2)

2024年08月27日 11時00分00秒 | ブログ

画像が何枚か救出できましたのでUPをしておきます。彩雲は胴体の外板を貼り終えた状態。翼は回収されているのか今後の進捗に期待です。

 

発動機から機体を見ます。

 

 

零戦や隼は1000馬力級のいわゆる軽戦闘機クラスですが、中島飛行機が大東亜決戦機「疾風」用に開発した複列18気筒の2000馬力重戦級発動機「誉」を搭載しています。機体と同時に回収されたオリジナルの発動機は状態が悪いため、同型発動機を取り付けてあるため、オリジナルとは細部が異なるようです。

意外に華奢に見える発動機架。材質はクロモリ鋼ですが、取り付けられているものはオリジナルではなく、形状も異なるとのことです。

 

翼との隙間から胴体内部を見る。空気抵抗減少のため極端に細い胴体に3名の搭乗員と撮影用の日本光学や小西六が製造した航空写真機や無線機などが搭載されるので非常に狭いです。後部には7.7mm機銃も装備します。これで長時間の偵察行はつらかったでしょうね。

外板を沈頭鋲できれいに貼られていますが、あくまでも展示用で、実際の飛行強度は無いのではと思います。

 

山本五十六長官がニューブリテン島で撃墜された時の不時着状況を模型で再現。山本長官の搭乗位置は主操(右)の後ろの指揮官席であったと思われますので直後の機体を切断された状態だったか?

零戦五二型の画像を救出しました。やはり定番の姿。靖国神社の遊就館に展示されている零戦も、当館のオーナーが寄贈されたものとのことです。

 

反対側から見ます。後ろに隼が見えます。

 

 

発動機のカウリング下部を取り外して「栄」発動機を見ます。画像を撮り忘れましたが右側には現存で唯一作動する二一型用発動機もありました。カウリングの塗色は黒に見えますが、模型の世界では若干青みを入れた色とすることが多いです。撃墜王、坂井三郎氏著作によれば、当時の低品質の塗料で塗られたカウリングは、ラバウルに配備されて直射日光に当たると、容易に顔料の色素が抜けて変色したとあります。

ブルーインパルスのF86です。昔の東宝映画では怪獣に叩き落されたりしていましたね。

 

外部展示(放置?)の自衛隊で運用されたカーチスC-46Dです。入間基地では近年まで現役だったと思いましたが、現在は所沢の航空記念公園に展示されてもいます。

 

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