露出を落とさないと写らないので・・カメラ店様から来る個体は現役機以外に、片足が棺桶に入っているような長期放置機もあります。個体数の限られたカメラですから、不動機の掘り起しによって個体数を増やし市場に出回るので、それも意味のあることだと思います。PEN-FVの発売は1967年2月のようですが、この個体#1188XX (1968年1月製)は改良前のユニットが使われている前期型ということでしょうか。長期放置でトップカバーも腐食が始まっています。もちろん全く動きません。
カバーを開けると分解歴は無いようですね。それほど使われずに古くなって放置されたという感じです。
一度、ユニットを分離して不具合を確認しました。不動の原因はほぼ分かりましたが、頭を黒塗装したM1.4X1.5のネジが出て来ました。私はFTに使われているネジを見ればどこのネジかは分かりますがFTには使われていないネジです。
頭をつや消し塗装されていることから「あっ、あそこだ」付属の38mmのアトカバーのネジだ。やっぱり。撮影中にミラーボックス内に落ちたのでしょう。
とにかく汚れ放題なのでダイカストから完全に洗浄して組み立てて行きます。この頃はスプールユニットを留めるネジが真鍮製で頭の大きなスリ割ネジのため、分解はネジロックが利いているので無理に緩めると簡単に折れてしまいます。
PEN-FとPEN-FTの初期までの№2プリズムは保管状態が悪いと腐食します。
メンテナンスをしたリターンミラーユニットを組み込んだ前板関係を本体に組み込みます。
全反射ミラーも腐食しています。新品と交換したいところですがプリズムにも腐食がありますので清掃で再使用をします。
セルフユニットも変更前のタイプが付いています。巻き上げた時の感触は良くありませんが、変更後のユニットのようにレバーのロックが掛からないという不具合はありません。この個体もレバーが水平ではないので調整をしておきます。
組立は完成。ファインダーのピント調整やストロボ発光テストをします。
同じ保管状態で付いていた38mmをオーバーホールします。各レンズの曇りと絞り羽根に油が回っています。未分解かと思いましたが、ネジ部に傷があり分解されていますね。この個体#2729XXは変更前の設計です。
無理やり起こして現役復帰させたようなものかな。これで現存数が増えました。
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