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今日の筆洗

2022年05月21日 | Weblog
一九八一年夏の甲子園で準優勝した京都商業高校に、日本式の通名でなく本名で出場した在日コリアン選手がいた。韓裕、鄭昭相の両外野手▼ノンフィクション作家金賛汀氏の本『甲子園の異邦人』によると、韓選手は民族意識を重んじる父親の意向で幼い頃から、鄭選手は「本名があるなら」と自ら考え小学三年から名乗った▼差別もあるなか、過去に本名を名乗った在日コリアン球児を金氏は知らない。京都商の宿舎には同胞から激励の電話や手紙が寄せられた。決勝の相手は通名ながら同じ出自を隠さず、後にプロ入りする金村義明選手が看板の報徳学園。同胞らは熱くなった▼四十年たっても日本は生きにくいのか。在日コリアンが住む京都府宇治市のウトロ地区に放火したなどとして起訴された男(22)が先の初公判で起訴内容を認めた。拘置所で地元紙の取材に「韓国人に恐怖感を与えることを意識していた」と語った。特定の民族を標的としたヘイトクライム(憎悪犯罪)との指摘もある▼金氏の本によると、八一年の甲子園の直前、鄭選手の父親は息子が本名のままだと出場機会を失うのではないかと監督に相談した。以前に部関係者から通名を勧められても我を通したが、本名が二人もいてはどうかと学校は考えるかもしれない−▼無数の理不尽を知るがゆえの、本来は不要な憂慮。抱かせ続ける社会は健全ではない。
 

 


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