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今日の筆洗

2024年06月08日 | Weblog
 ドラマ、映画の『踊る大捜査線』は織田裕二さん扮(ふん)する主人公、青島俊作ら一線の刑事と、警察組織を率いる高級官僚との確執も描く▼都道府県警察やそれを司(つかさど)る警察庁で要職を歴任する「キャリア官僚」。劇中では手柄を争い、保身に走り、現場を軽視し、会議室にこもり指揮をとる▼青島の有名な台詞(せりふ)「事件は会議室で起きてんじゃない。現場で起きてんだ」は勝手な上層部への叫び。柳葉敏郎さん演ずるキャリア官僚室井慎次は青島らに味方し上司と衝突するが、例外である▼キャリア官僚である鹿児島県警トップ、本部長が身内の犯罪を隠蔽(いんぺい)しようとしたとかつて部下だった県警の前生活安全部長が訴えた。前部長は職務上知り得た秘密を退職後に漏らしたとして逮捕されたが、在職中の警官の盗撮事件で指揮役の本部長が「泳がせよう」と言って摘発しようとしなかったことに失望。自身の定年退職後も事件が表に出ないので文書を記者に送ったと裁判手続きの中で明かした▼前部長は県警採用のたたき上げ。「自己保身を図る組織に絶望した」と言うが、本部長は隠蔽の指示を否定する。『踊る大捜査線』でも警官の不祥事を上層部が隠そうとする話があったが、前部長の話が事実なら映画顔負けである▼劇中、良心派官僚の室井は「組織の中で生きる人間こそ信念が必要だ」と言った。本部長にそれはあったのだろうか。