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今日の筆洗

2024年06月01日 | Weblog

「安らかに眠って下さい 過ちは繰返しませぬから」。そう刻む広島市の原爆慰霊碑に2012年9月、塗料がかけられ、30代の広島の男が現行犯逮捕された。曽祖父母が被爆し死亡。「碑文は主語があいまい」という右翼系団体の批判に共感したという▼主語がなく日本が過ちを犯したように読めるとの反発はかねてある。市は「すべての人びと」が戦争という過ちを繰り返さないと誓っていると説明する▼人類の誓いの場であるはずの8月6日の「原爆の日」の式典。今年、パレスチナ自治区ガザを攻撃するイスラエルを招き、ウクライナに侵攻するロシアを招かないのは二重基準だと市が批判されている▼侵攻が始まった2022年以降、ロシアと友好国ベラルーシを招かないのは円滑な式典挙行への影響を考慮したためと市は言う。ロシアとの同席を嫌う大使はいそうだが、イスラエルの場合も心配なしと言えまい。市は22年も当初はロシアを招く方向だったが、日本政府の姿勢が誤解されると外務省が懸念を示したと報じられる。紛争当事国こそ招くべきだった気がする▼塗料をかけた男は有罪判決後、地元の中国新聞の取材に「碑は被爆者にとって特別な存在。当たり前のことに気付けなかった」と悔い、8月6日に碑の前で手を合わせたいと語った▼人の考えは変わる。そう信じ、門戸を開くのがヒロシマでなかったか。