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今日の筆洗

2024年06月14日 | Weblog
雑喉場(ざこば)は近世大坂にあった魚市場。上方の落語家、桂ざこばさんは二代目で1988年に襲名した。俳優の松方弘樹さんと共演した刑事ドラマの打ち上げが京都・嵐山で開かれた際、なぜか煮えたぎるしゃぶしゃぶ鍋に背中からはまり、裏返った亀のようにもがき背をやけどしたという▼応急で薬を塗ると皆の制止を聞かず一緒に2次会へ。祇園を上半身裸で歩き徹夜で飲んだが、翌日はさすがに激痛で仕事を休んだそうな▼破天荒で温かい人柄を愛した松方さんは、後の落語独演会のパンフレットに寄せた文で顚末(てんまつ)を明かし、ざこばの由来は「ざんねん、ころんで、ばかをみた」かと思ったとつづった▼ざこばさんがぜんそくで亡くなった。76歳。飾らない語り口でテレビでも人気だった。寂しい▼自伝によると、通天閣に近い大阪の下町に生まれ、小学生の時に両親が離婚。一時期ともに暮らした父親は雀荘(じゃんそう)に入り浸り、やがて線路に飛び込み逝った。母親を助けるため小中学生時代にアルバイト。大阪球場のアイスクリーム売りや新聞配達などに励み、学校はあまり行かなかったという。劇場に通って笑いに親しみ、15歳で桂米朝さんに弟子入り志願し、許された。濃厚な庶民性は苦労にも裏打ちされていたのだろう▼雑喉場は本来、雑魚と呼ばれる大衆魚を扱った。民のための存在。その名にふさわしい落語家の旅立ちを送る。
 
 

 


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