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今日の筆洗

2024年06月13日 | Weblog
 「碧素(へきそ)」とは聞き慣れぬ言葉だが、細菌感染症を防ぐ抗生物質のペニシリンのことである。戦争中、日本では敵性用語であるとして「碧素」に言い換えられた▼「碧」とはペニシリンを生む青カビの青緑色を指す。この人も6千株のカビやキノコを試し、結果、京都市内の米穀店の白米についた青カビから人類の健康に役立つ「碧玉(へきぎょく)」を見つけた。1973年のことである。血中のコレステロールを下げる物質「スタチン」を発見した化学者の遠藤章さんが亡くなった。90歳▼高脂血症の治療に大きな効果があるほか、心臓疾患や脳卒中の発症率を下げる。「奇跡の薬」「世界で一番売れている薬」。その呼び名の通り、その発見は世界中のあまたの命を救った▼6千株のカビなどに当たった話もそうだが、「頑固」な性分とご自分でもおっしゃっていた。当初の実験では「スタチン」はラットに効かなかったそうだ▼ラットに効かぬものは人にも効かないというのが当時の風潮だったが、頑固者はあきらめない。ニワトリ、イヌ、サルで試し、その効果を実証してみせた。あの昔話はニワトリではなくキジだが、コレステロール退治に向かう、あきらめない桃太郎が浮かぶか▼ノーベル賞候補といわれながら、縁がなかった。「人の役に立つ」。若き日に立てた、その願いは実った。おそらくご自分でも想像できなかったほど大きく。
 
 

 


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