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今日の筆洗

2024年06月07日 | Weblog
十年一昔。10年たてばもう昔と考える人がいるほど、その歳月は長い。竹下登元首相が若い時、いつか首相になりたいと宴席で「10年たったら」と戯(ざ)れ歌を歌った話は知られる▼<講和の条約 吉田で暮れて 日ソ協定 鳩山さんで 今じゃ佐藤で 沖縄返還 10年たったら 竹下さん トコズンドコ ズンドコ>▼佐藤政権の内閣官房副長官だったころでまだ現実の首相候補でないから歌は永田町で笑って許された。「10年たったら」は厳密な時期でなく「遠い将来」といった意だろう▼政治とカネの問題を巡る政治資金規正法の改正で、修正を重ねた自民党案が衆院を通過した。政策活動費の使途の領収書は10年後に公開するらしいが、なぜ10年後なのか。法に違反した時の公訴時効は5年だから領収書で不正が分かっても罰せられないという野党の批判はもっともと思える。細則未定で10年後公開の領収書が黒塗りだらけの恐れもある▼守るべきプライバシーもあろうが、速やかに多くの情報を公開してこそ信は得られる。政治資金パーティーの券購入者名の公開基準額引き下げなど自民は努力した気かもしれぬが、企業・団体献金は温存。自民は変わったとまでは評せまい▼十年一日は、長い間少しも変わらないことをいう。同じやり方を辛抱強く守るなど肯定的な意味でも使うが、世の中、変化してこそ永らえる場合もある。