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今日の筆洗

2024年06月06日 | Weblog

 ホトトギスの声を週末に訪ねた三重県伊賀市の山里で聞く。この地ではまだウグイスも盛んに鳴いており、「春告鳥」と田植えの季節を告げる「時鳥」の掛け合いがのどかである▼無粋者には「ケキョケキョ」としか聞こえぬが、ホトトギスの鋭い鳴き声にはその声を言葉にうつす「聞きなし」が豊富にある。「テッペンカケタカ」「ホンゾンカケタカ」「トッキョキョカキョク」「トモニチヨニ」…▼<信濃なる須賀の荒野(あらの)にほととぎす鳴く声聞けば時すぎにけり>。万葉集の東歌(あずまうた)にある。この「時すぎにけり」も鳴き声の聞きなしという説があるそうだ▼この方がその声を耳にすれば、やはり「時すぎにけり」と聞こえるかもしれぬ。岸田首相である。今国会での衆院解散をあきらめたとの観測が広がる。自民党派閥の裏金問題の逆風で、同党が勝てそうな衆院解散・総選挙のタイミングはとっくに「すぎにけり」か▼早期の衆院解散・総選挙で勝利し、その勢いのまま、9月の自民党総裁選でも勝利するというのが首相の計算だったのだろうが、解散を総裁選以降に見送るとなれば岸田さんの戦略は成り立たず、再選はいよいよ厳しくなる▼衆院解散先送りが本当なら、総裁選に向けた党内の動きは本格化するのだろう。出馬を目指す方々にはホトトギスの声がすでに「テッペン(総裁)賭けた闘い」と聞こえているはずである。