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今日の筆洗

2022年07月23日 | Weblog
新型コロナウイルスの流行で盛んになったのは、飲食店からのテイクアウト。起源は江戸時代のうなぎという説がある▼魚食文化に詳しい冨岡一成氏の著書『江戸前魚食大全』によると、儒学者海保青陵(かいほせいりょう)は一八〇六(文化三)年の随筆集『東贐(あずまのはなむけ)』に、うなぎの蒲(かば)焼きを持ち帰る方法を書いている。おからを煎(い)り、軽く醤油(しょうゆ)で味付けして熱くし、重箱に詰めて店に持って行く。これに蒲焼きを入れてもらい持ち帰れば、家で熱々が食べられるという▼今日は土用の丑(うし)の日。あいにく、コロナの感染拡大第七波を迎えている。店より家でうなぎを食べる人が多くなるのだろうか。昨日、自宅に届いた新聞折り込みチラシでは近所の店がうな重などを宣伝し、お持ち帰り用の割引券もついていた▼ある大手スーパーの事前予約件数は昨年より多いという。物価上昇のさなか。「日々の買い物は節約志向でも、特別な日にはぜいたくを楽しむのでは」と担当者は言う▼コロナ禍では消費喚起のため、お得な商品券を自治体が発行したが、江戸前魚食大全によると、商品券もうなぎが起源らしい。天保年間に百拙老人の名で書かれた随筆集に贈答用「うなぎ切手」が出てくる。贈り主が事前に代金を払い、もらった人は好きな時に食べる▼「切手」が生まれたのも、うなぎ人気ゆえ。それが疫病流行下で衰えないのも、長い歴史を思えば分かる。