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今日の筆洗

2022年07月05日 | Weblog

一九六六年発表の絵本を見れば、その姿は真っ黒なネズミに近い。ロシアの人気キャラクター、チェブラーシカのオリジナルの姿である▼ネズミのような姿を大きく変え、チェブラーシカに茶色の毛、大きな耳とくりくりとした目を与えたロシア・アニメ界の巨匠が亡くなった。レオニード・シュワルツマンさん。百一歳。六九年の人形アニメ映画『こんにちはチェブラーシカ』で美術監督として、チェブラーシカのデザインを担当した▼若いころは工場で戦車を造っていたそうだ。苦労して、アニメの道に入り、『雪の女王』など数々の名作を世に残した▼動物行動学者のコンラッド・ローレンツによると大きな目が全体よりやや低い位置にある顔を見ると、人はかわいいと感じるそうだ。だから、赤ちゃんの顔はかわいく見える。シュワルツマンさんのチェブラーシカにも当てはまるだろう。そのデザインなしで、チェブラーシカは世界的な人気を得ることができたかどうか▼ロシアのウクライナ侵攻に強く反対していたと聞く。かわいい姿とは裏腹に、チェブラーシカは孤独である。親もいない。自分が何者かも分からない。電話ボックスの中でぽつんと過ごす日々。その孤独もワニのゲーナと出会い、友だちになることで解消される▼そんなチェブラーシカをこしらえた人である。友を遠ざけ、傷つける侵攻を許すわけもない。