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今日の筆洗

2022年07月16日 | Weblog
戦場カメラマン一ノ瀬泰造はカンボジア内戦取材中の一九七三年、ポル・ポト派支配下のアンコールワット潜入を試み、消息を絶つ▼当時二十六歳。友人に残したメッセージ「うまく撮れたら東京迄(まで)持って行きます。もしうまく地雷を踏んだらサヨウナラ!」は、よく知られる▼八二年に遺体が確認されたが、生前、ニコンの一眼レフカメラを使用。その一号機「ニコンF」でベトナム取材中にはカメラを銃弾が貫通した。ベトナムのサイゴン(現ホーチミン)発の友人への手紙で、別のカメラの不調を嘆いたこともある。「ニコンF2修理に出して戻ってきたけど、まだ直って無く、頭にきています」▼プロが愛したニコンの一眼レフカメラの開発停止が報じられた。既存商品の生産や販売は続けるが、開発は他社同様に新タイプ「ミラーレス」に軸足を移すようだ▼一眼レフは、カメラ内の鏡に反射した景色をファインダー越しに見る。新タイプは鏡がなく、小型になる。ニコンF発売から六十年余。既に新たな時代に入ったらしい▼一眼レフ誕生前もニコンのカメラは、朝鮮戦争の戦場カメラマンに評価された。他のカメラが凍る極寒の地で正常に動き、米紙ニューヨーク・タイムズが記事で称賛。従来の日本製のイメージ「安かろう悪かろう」を変えたという。これからも日本の技術は、過酷な現場で支持され続けるだろうか。