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今日の筆洗

2022年07月04日 | Weblog
あやふやな記憶で申し訳ないが、倉本聰さん脚本のテレビドラマ「たとえば、愛」(一九七九年放映)だったと思う。桃井かおりさんがカレーライスを食べる場面があった。こんな内容のせりふをつぶやく。「あたし、前の日に作ったカレーが好きなのよね」▼食中毒の心配もあって、あまり勧められないが、そのうまさはどなたもご存じだろう。一晩、寝かせた分、味にコクや深みが増す。ウクライナでも似たことを言うらしい。カレーではなく、根菜のビーツを煮込んだボルシチ▼ウクライナ関連の本に「一番おいしいボルシチは作ってから一日置いたもの」とあった。ああ、カレーと同じなんだ。ウクライナに住む人との距離がぐっと縮まる気がする▼ボルシチが国連教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産に登録された。ウクライナ政府が同国発祥の料理として申請し、その価値が認められた▼ロシアでも家庭料理であり、ロシア発祥のイメージもあったが「ボルシチ戦争」ではウクライナが勝利したか。ロシア側はこの登録に「ボルシチを独り占めしようとしている」と腹を立てている▼ロシアの家庭でもうまいのは前の日のボルシチとやはり言っているのだろうか。想像し、悲しくなる。ロシアが侵攻し、苦しめているのは同じ料理をうまいと言い、笑顔になる人々である。その痛みが分からないはずがなかろうに。