ファンタジアランドのアイデア

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子ども1人1台のタブレットの利用方法 アイデア広場 その1047

2021-11-25 17:30:08 | 日記


 文科省は、2025年までに小中学生全員に1人1台タブレットもしくはパソコンの配備を目指していました。それを、2020年度中に、小中学生全員に1人1台情報端末の配備を行うことにしました。そして、タブレットもしくはパソコンの配備は終了したのです。さらに、もうすぐにデジタル教科書が作られます。すると、小中高の教科書が、タブレット1枚に収納されることも可能になります。1つのタブレットに、小学校1年から高校3年までの学習内容を系統的に配置も可能になるわけです。このタブレットに、学習書や補助教材もインストールできることも可能になるでしょう。デジタル教科書ができれば、誰でも、どこでも、どのような進度の速さでも学べるようになります。さらに、デジタル教科書にオンラインが接続されれば、教育の範囲はさらに広く便利になります。学習意欲のある子供は、どんどん前に進むことができます。教育のデジタル化では、学習履歴データが自動的に記録されます。これが個人のレベルでも国のレベルでも利用できれば、大きな教育イノベーションになります。
 デジタル教科書ができれば、タブレット端末などを使って、家庭でもテストを受けられることも可能です。デジタル教科書にオンラインが接続されれば、教育の範囲はさらに広く便利になります。このような教育デジタル化が進めば、クラウドサービス利用して教育と学習プロセスが自動的に記録することも可能です。もし、このようなことが実現すれば、文科省が行う全国学力テストなども、必要なくなります。1年ごとに子どもの学力を調査するのではなく、子ども達が学習に取り掛かった瞬間に、子ども達の学力を把握できるわけです。2020年の学校再開後の学力テストでは、下位層の成績の落ち込みが顕著だったと言われています。教育のデジタル化が実現していれば、より具体的に、どの地域のどの子ども達の成績が低下しているのかをすぐに調べることが可能です。状況により、きめ細かな学習支援ができるようになります。というバラ色の日本教育の光景が浮かぶわけですが、現実は厳しいようです。
 OECDの2018年調査では、ネット環境が整っている学校の割合が日本は36.5%でした。一方、欧米や北欧諸国では、80%を超えていたのです。OECD調査では、教員のデジタルを活用した指導力も、日本が加盟国では最低水準と指摘されています。欧米諸国では端末や通信環境の整備を支援し、コロナ過でもすぐにオンライン授業に切り替えることができました。日本が、全ての子ども達にタブレットを配布したからと言って、すぐに授業に生かせるとはいかなかったようです。高知県内のある公立小では、外部とのメールがやりとりできませんでした。「セキュリティーが厳しすぎて教員から児童に資料を送ることができない」という現象が生まれました。この自治体は、ネットの設定を変える予定がありませんでした。タブレットが、その機能を十分に発揮できない環境で使用するように、強いられているわけです。
 もっとも、このように制約の多い自治体だけではありません。福島県新地町の新地小学校では、3年ほど前にネット端末の配備を完了していました。2020年春の休校時には、速やかに双方向授業を実施し、授業の遅れを最小限にとどめています。新地小学校では、児童が端末を持ち帰って事前に予習する「反転授業」をも行っていました。この流れで、スムーズにコロナ禍の休校に対応できたということです。この小学校では、民間のICT支援員の方に、デジタルの技術面を補ってもらっています。教員が授業内容に集中でき安心してICTを組み込める環境を整備していたわけです。新地小学校では、オンラインを活用した海外交流など活用の幅が広がっています。新地町には火力発電があり、そこからの税収が、豊かな学校教育を実現させているともいえます。火力発電に厳しい風が吹いていますが、何とか乗り切ってほしいものです。
 グローバル化や高度情報化の現代社会を生き抜くためには、いくつかの能力が必要です。生きていく力を身に付けさせることが、教育の役割になります。その力は、PISAの理念から次の3点になります。「①自律的に活動する②道具を相互作用的に使いこなす③異質性の高い集団のなかで役割を果たす」ことです。特にその中でやるべきことは、②道具を相互作用的に使いこなすという流れから、デジタル機器の性能と活用ということになります。そのヒントになるものが、日本のモノづくりの現場にあります。
 ニッパーは、電子機器や情報端末の製造現場で部材や原材料を切断するために使われます。このニッパーで一人の作業員が一日に切断する回数は数千回にも及ぶものです。この道具を使う現場では、長持ちし作業員の切断時間も極端に短くする切れ味が重要になります。一回の切断に0.5秒多く時間がかかれば、工場全体として巨大なロスの発生につながります。数日で使えなくなる粗悪品では、道具として役に立たないのです。5万回から10万回の使用に耐えられるから、3週間以上も使用できるものを厳選して使うようになります。それでも、交換は必要になります。もう一つは、食品機械の例になります。食品機械にとって最も重要な点は、洗浄作業が極めて簡単にでき、操作が容易であることになります。食品機械の操作は、慣れないパートやアルバイトの方がやる場合も多くなります。この方たちが、簡単にできる仕組みを作ることが求められます。さらに、これらの機械を海外に輸出する場合、故障が少なく、修理が容易なものを作ることが必要です。海外では簡単な操作でなければ、故障やトラブルの原因になります。そして、修理が終わるまで、その機械は使えないことになるわけです。要は、タブレットを道具として使うならば、子ども達が使いやすいように、自治体や学校がその環境を整えることが求められるわけです。
 最後になりますが、学ぶ子ども達の評価は、デジタル化が進めば、容易になっていくかもしれません。たとえば、九州大学では、教育データの活用に取り組んできました。今回のコロナ禍においても、その取り組みが生かされているのです。19000人の学生と8000人の教員に、学習管理や教材配信システムが提供されています。現在開講中の4800科目で、データの活用が可能になっています。教育のデジタル化は、学生の質疑の応答や教材へのアクセス記録を容易に収集し活用できる環境を整備しつつあります。将来的には、小学校から大学、そして社会人教育までの教育データを本人の同意のもとに蓄積する構想をもっているようです。デジタル教育の導入により、学習履歴をデータベースとして蓄積が可能になり、そのデータを利用する仕組みができるわけです。客観的な教育効果のデータを得られ、生徒や学生だけでなく、教員の客観的な指導力の評価も可能になるというものです。
 もう一つの課題は、変化を克服できる能力になります。世界は、驚くスピードで大きな変化を続けています。変化の時代は、何が起こっても、自分の力で生きていけるような問題解決能力を持つことが求められます。変化の時代は、お手本がありません。お手本がない世界で必要なことは、挑戦することです。いろいろな方面に挑戦し、挑戦する中で課題を見つけることになります。課題を克服することは、楽しい仕事になります。その解決に生きがいを見出すことができれば、人生はハッピーになれます。その意味で、今回のコロナショックは、大きな課題を突き付けられたことになります。この課題を解決する人や企業、そして自治体が次の飛躍を獲得することになります。今回のタブレット配布は、最初の1歩です。次の2歩から3歩と進むにつれて、子ども達が自由にタブレットを使いこなす環境を、全国の市町村が整えてほしいものです。