「どう見たって、私たち一族違うでしょうが!」
満樹の後ろで、京子が云う。
「京子、落ち着け」
満樹が制止して、云う。
「そうだ。とりあえず、髪の色が違うところからだな」
「まだ、そのくだり続ける?」
ふたりとも、兄妹の単語への否定。
「いやー、仲がいいわ、西と東!」
ツイナは微笑ましい顔。
「俺も仲間に入れてほしい!」
云って
さて、と、ツイナは坐る。
満樹は、改めて訊ねる。
「視る、とは、どう云うことだ?」
満樹が訊く。
「いったいどう云う風に、」
「海一族に伝わる魔法のようなものだ」
「魔法・・・」
満樹は首を傾げる。
「海一族式と云うと、占いに近いのか?」
「それは、企業秘密だよ」
ツイナは、ふたりを見る。
「名まえは?」
「名まえ・・・」
「ここまで来たんだ。偽名なしで頼むよ」
満樹は京子を見る。
少し考えて、云う。
「東一族の満樹」
「ふーん。お兄さんは満樹、ね」
ツイナは、その後ろを見る。
京子も口を開く。
「西一族の・・・京子」
「京子、か」
「いったい何を視るんだ?」
「難しいことじゃない」
ツイナは云う。
「単純に、俺たち海一族に危険か、危険じゃないか」
「危険なわけないじゃない!」
京子が云う。
「私はお兄ちゃんを探しに来ただけなんだから!」
「それが、本当かどうか・・・」
ふっ、と
ツイナの瞳の色が変わる。
「な、何??」
ツイナは京子を見る。
そして満樹も。
・・・・・・。
・・・・・・。
「――嘘、じゃ、ないようだな」
一瞬変わった空気に、京子は息をのむ。
「人探し、か」
ふ、と、ツイナは息を吐く。
「ふたりとも、合格!!」
「合!!!」
「格!!?」
(頑張れ受験生)
「おめでとう!!」
「合格、か。うん、合格?」
「合格! 海一族の村をうろうろしてよし!」
「とりあえず、よかったわ!」
「狩りは禁止!」
「判っているわよ!!」
「漁はよし!」
「しないし!!」
「いやーおもしろい」
「からかってる?」
笑うツイナに、満樹と京子はあきれる。
「いや、面白いと云うか、うらやましいと云うか」
ツイナが云う。
「やっぱり俺も、お前たちと兄妹だったらいいのになー」
「だから兄妹じゃないって」
行くか、と、満樹は京子を促す。
「じゃあ、失礼します!」
京子が云い、満樹は両手を合わせ、礼をする。
と
「あれ?」
その開いた手に、ツイナが気付く。
「そのアザ・・・」
「あざ?」
「手のひらの」
「ああ、これか?」
満樹は手のひらを見せる。
「私にもあるのよ」
京子も手のひらを見せる。
ツイナは首を傾げる。
「そのアザ、俺にもあるんだけど・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・本当だ」
3人は、互いに手をかざし、見る。
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「ひょっとして、」
はっと、気付いたかのように、ツイナは深刻な顔をする。
「俺もやっぱり兄弟なのかな!?」
「「もういいよ!!」」
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