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TOBA2人のイラストと物語な毎日
現在は「続・夢幻章伝」掲載中。

「続・夢幻章伝」57

2021年07月27日 | 物語「続・夢幻章伝」
「ふあ~」

ちょっとお高いホテルの
凄くふわふわのベッド&枕。

ふわふわすぎて眠れないなんてことは無く
熟睡のうえで目覚めるマツバ。

「こういう所って
 何で枕沢山あるのかしらねぇ」

遮光カーテンを明けると
柔らかく差し込む朝日。

「さあ、ホテル自慢の美味しい朝食ビュッフェでも
 食べに行くとしよ……う、か」

振り向くと、そこにはアヅチ。
ベッドサイドにおいてあるソファーに
神妙な面持ちで座るアヅチ。

「………」

そして、何とも言えない表情で
アヅチを見やるへび呼ロイド。

「何やってんの、あんた達」

「お、俺は………俺は、」

わなわなと震えるアヅチ。

「アヅチ落ち着くキコキコ」
「俺は、そんなつもりでは!!!!」

北一族編1日目。
マツバはあっという間に北一族でのスタンプを1個ゲット。
やったぜ!!

へび呼ロイドの同僚をどうにか助けないといけないが
同時進行でこなしている
水辺スタンプラリー大会だって大事なイベント。

さっさと夕食や風呂を済ませ
秒速で眠りについたマツバをよそに
スタンプまだ貰っていないアヅチは
何となく焦り始める。

「俺も明日の競技に一つは参加しないと」

なんだか出遅れている感。
例えば2日目にすでに二つ終わらせて
マツバを追い抜きたい気持ちすらある。

「簡単なので良いんだよ。
 マツバの線香花火大会みたいな地味な奴でも」
「細々した大会が沢山あるから
 選びたい放題キコキコ」
「どれどれ~」

旅先の妙なテンション。
何となく出遅れているという不安。
ありすぎる選択肢。

アヅチの目はグルグルと回る。

「え、分からん。
 なんだかどれもコレジャナイ感が」

「これにしたらどうキコキコ?」
「いや、いいと思うんだけど、でもな~」
「じゃあ、こっちキコキコ」
「う~ん、それなら、
 さっき止めたあっちの選択肢が」

そして更けていく時間。
眠いけど、深夜の変な高揚感。

「これ、どうかな?」
「えええ!?
 いけるって、いけるってアヅチ」
「俺みたいな奴が出るの
 ちょっとどうかと思われない?」
「思われない、思われないキコキコ!!」
「ええっと、それじゃあ、これで!!」
「旅の恥はかきすてキコキコ!!!」
「イエーイ!!」

今の時代。本当に便利になりましたよね。
どこにいても、どんな時間でも
ス●ホがあれば
指先一つで、
簡単にお申し込みが出来ちゃう!!!

「よっしゃ、申し込み完了。寝るか!!」
「そうだねキコキコ。
 明日が楽しみキコキコ!!!」

~朝~

アヅチのス●ホに
大会参加受付のメールが届く。

昨晩、
ちょっと変なテンションで
申し込みを済ませてしまったやつ。

「なによ、どれどれ?」

マツバが覗き込む画面に
表示される文字。

“大通りサンバ大会出場受付受領”
~大会を盛り上げよう、あなたのサンバで~

「俺はぁあああああああ!!!」
「おいらも、いけるよとか
 言ってゴメンキコキコォオオオ!!!」

はあん、とマツバは納得がいく。

「夜中のネットショッピングで
 訳分かんないの買っちゃったという
 よくあるあれね!!」

「そうだよ!!」

アヅチは叫ぶ。

「よくあるあれだよ!!!!!!!」




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