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現在は「続・夢幻章伝」掲載中。

「続・夢幻章伝」34

2021年05月07日 | 物語「続・夢幻章伝」
なんだか疑われているアヅマツ。

「他一族だからって、すぐに、疑うのはよくないわ!」
「そうだ! 何の根拠があってだな!!」

「なんか、うち(ハラ家)の占いで、美味し弁当持ちし者災いをもたらすなり、って」

「ちょっ! ヤイノ!! 何で知ってるんだよぉ!!」

「美味し弁当!?」
「どう云うことよ!」

「族長さんが山で食べた弁当おいしかったって」

「だからなんで知ってるんだよぉ、ヤイノ!! そして云うな!!」

「俺たちの弁当のことか!?」
「ちくしょー、あの親父め!!」

マツバの怒りは、西一族の父親に向けられた。

「食のおいしさは万国共通よ!」

マツバは立ち上がる。

「美味し弁当の何が悪いの!」

「何か入ってたんじゃない? 弁当に」

ヤイノは特製スパイスを朝粥に入れる。

「な、何かってヤイノ!?」
「何かって何だ!」
「怖いよキコキコ!」
「いつかの日の怪しい料理を思い出すぅうう」

「夢幻章伝」砂一族篇にて。

「いいよ、朝粥に入れても」

この怪しいスパイス。

「そう云うことじゃないヤイノ!!」

ユウマも立ち上がる。

「食べ終わったかみんな!? 降り立つぞ現場に!」

「まだだけど」
「熱くてオイラふうふうキコキコ」
「食後の休憩もほしい」

「ええい、お前ら、うちの作物荒らしの犯人じゃないかと云っとるんじゃぁ!」

ユウマはイメージでちゃぶ台をひっくり返す。

"(ノ-""-)ノ~┻━┻"

「現場は判ったわよ、見えてるもの」

「降り立つんだよ、現場に!」

ユウマは何かを唱える。

白きふわふわをまといし金色の
野に降り立つべし

ユウマの手は、空を仰ぐ。

「それは、谷一族の村でやるべきじゃない?」
「そうだな。谷とか砂とかかぶりすぎだ、ここ」

仕方ない、と現場(畑)へと足を踏み入れる。

「出ませんように、同僚」
「それもそれでどうなんだろキコキコ」
「いざと云うときはアヅチを(以下略)」

無残にも食い荒らされた作物。
おいしいところだけを食われている。

「虫や鳥も判ってるって云うもんね、作物のおいしい時期」
「オイラの同僚を虫と一緒にしないでキコキコ」

アヅチは作物にそっと触れる。

「お腹減ってたのかな、あいつら・・・」

マツバとへび呼ロイドは顔を見合わせる。
アヅチの背中を見る。

「・・・・・・」
「・・・・・・」

「今もひもじい想いをしてないか・・・」

「・・・・・・」
「・・・・・・」

「寒い想いをしてないか・・・」

「・・・同僚たちの心配をしてくれて、ありがアヅチ」
「いや、なんか、きしょいんですけど」

わいわいするアヅチマツバへび呼ロイドユウマヤイノのもとへ
誰かが近寄ってくる。

「どうした、ユウマ」
「あっどうも」

年上の男性。
年齢は父親ぐらいだろう。

「観光と見回りに!」
「美味し弁当を持ちし者、」
「わっ! ばかヤイノ!!」

うんうん、と、男性は頷く。
どうやら、同じく見回りのようだ。

「この人たちは南一族で、スタンプラリーで来たそうで」
「そうか」
「アヅチにマツバ、ついでにへび呼ロイド」
「へび・・・」
「こちらは、ロ=フタミさん」
「それって家名でしょ」
「当たり前だろ、年上なのに名まえで呼び合わないんだから」
「さっき私は家名を云われてイラッときた」
「だから、ヤイノ!!」

「スタンプラリーと云うが」

男性は頷く。

「手伝いだな?」

「「はい???」」

「害虫駆除の」

「「はいー!???」」




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