TOBA-BLOG

TOBA2人のイラストと物語な毎日
現在は「続・夢幻章伝」掲載中。

「約束の夜」236

2020年08月07日 | 物語「約束の夜」
「くっ・・・」

京子の短刀。

その痛みに、センはその場所を押さえる。

不覚だったのか。
思いのほか、血が流れる。

「礼儀を知らない、孫たちだ」

「ほら、俺の子たちは見込みがあるだろう」

満樹とマサシ、京子。
今はその3人で、センの相手をしている。

けれども、それで互角、なのか。

「まだまだよ!」

マサシの声。
満樹も、センの懐を狙う。

「血のつながりか」

センが云う。

「さすが、息が合っている、と云うか」

とどめをさせなくてもよい。
いや、
とどめをさすのは無理だ。

せめて、ここから逃げ出したい。

京子も短刀を持ち直す。

センにケガを負わせたこのチャンスを逃すわけにはいかない。

「ふぅん」

センは手に短刀を握っている。
京子の投てき用とは違う。
小回りのきく、短刀。

片方のその手で満樹の剣を塞ぎ、
片方の素手で、マサシを捉える。

「2対1でも、この力!?」
「年寄りにしては、ずいぶんと力があるのね!」

3人の力が拮抗する。

「簡単にいったらおもしろくないだろう」

センが云う。

「仮にも裏一族をここまでにしたんだからな」

「くっ・・・!!」

満樹とマサシは弾き飛ばされる。

が、

すぐさま、立ち上がる。

満樹は再度、センを狙う。

「・・・・・・!!」

満樹の剣の前に、センの小刀。
剣を止められ、

る、前に

満樹は踏み込む。

剣を違う方向へ。

「何!!?」

「やった!?」

マサシは声を出す。

「まだだ!!」

もう一度。

満樹の手が、センの小刀を持つ手を捉える。

「やるな!」

満樹の剣が、センを貫く。

「・・・・・・!!」

満樹は身体を翻す。

「あーあ」

センは息を切らしながら、自身の身体を見る。
血が流れている。

「これで、2回やられた」




NEXT