TOBA-BLOG

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現在は「続・夢幻章伝」掲載中。

「約束の夜」62

2018年04月20日 | 物語「約束の夜」

「西、一族・・・」

先ほどの夕紀の言葉を、京子は繰り返す。
準備してもらったベッドに横になり、ぼんやりと天井を見る。

つまり

山一族の与篠は

西一族の父親と、山一族の母親の子、と云うことになる。

西一族と山一族は、お互い敵対しているのだ。
その一族同士の子となると、非常に珍しい存在となる。

「与篠は、・・・」

それで十分狙われる理由になる。が

連れ去られたのか、
自ら裏一族のもとへと赴いたのか

それは、本人しか判らないこと。

京子は、ため息をつき寝返りをつく。

なら、

自分に満樹、ツイナが狙われたのは・・・?

ただ、手のひらにアザと云うことだけではなく
本当に何か出生に秘密が・・・??

「一度、西に戻るか・・・」

兄の耀も、何か出生の秘密があって、まさか裏一族に??

「ふう」

明日、満樹とツイナに相談してみよう。
もう寝よう。

「でも、とりあえずは、」

京子はむくりと起き上がり、部屋の中を見渡す。

「この甘い香りがする花たちはいったい何なのよー!!」

なんなのよー!!

よー!!

(※エコー)

京子が使っている部屋には、
黄色~橙色の、トランペット型の花を咲かせた大型の植物で
埋め尽くされているの図。

「気持ち悪くて、寝れないわー!!」

「それは、ブルグマンシアだ」
「ブルグマンシア??」
「もしくは、ダチュラ」
「ダチュラ??」

って、

「満樹!?」

「俺も起きてるよー!」
「ツイナ!」
「京子さぁ、独り言うるさいんだもん」

隣の部屋との壁が薄いんだか、心の声が全部タダ漏れだったのか。

「こっちの部屋にも、その花がたくさんあるぞー」
「なんなのよ、これ。気持ち悪い」

「よく見るとそうでもないかと思うけど」
満樹が続ける。
「この香りに当てられると、ふわっと意識なくなる」

「げげっ!!」

夕紀&与篠、侮れない。

みんなも、どんな香りかなー??

なんでもかんでも、香りを確かめないように!!

「京子、西に行くのか?」

「・・・うーん」
「西なら俺も行ってみたい!」
「でも、満樹は、」
「俺は西には入れないな」

西一族と東一族は敵対。
当然のことである。

「別行動か」

「それが、不安」

「でも、母親に自分のことを訊いてきたいんだろう?」
「・・・うん」

京子は天井を見ながら云う。

「ねえ、満樹、ツイナ」

「何?」
「何だ?」

「満樹とツイナも、一度、一族の村へ戻って」

「え?」

ツイナの訳が分からないと云う戸惑いに、
満樹が答える。

「自分のことを確かめてこい、か?」



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