浪漫亭随想録「SPレコードの60年」

主に20世紀前半に活躍した演奏家の名演等を掘り起こし、現代に伝える

サンサーンス作曲グルックの「アルチェステ」エア・ド・バレエによるカプリス

2007年12月29日 | 忘れられた作品作曲家
サンサーンスはもう一世代早く生まれてゐれば、歴史的評価はもっと高かっただらうと言はれてゐるが、なるほどと納得できる作品がいくつもある。今日は、その中の一つ、グルックの歌劇の中で使われるバレー音楽をもとに作った奇想曲を取り出して楽しんでゐる。

このCDを取り出した理由は特にない。一年の仕事が終わって暇な時間ができたからである。

この作品は奇想曲となってはゐるが内容は変奏曲である。自身が洋琴のスーパーテクニシャンだったサンサーンスが、グルックの愛らしいテーマをもとに、一瞬にして完成させたやうな即興曲風の軽いタッチの作品だ。冒頭はいつものやうに華やかに始まる。サンサーンスの変奏の技はベートーヴェンやブラームスのやうに奥深いものではないが、洋琴の色彩感をうまく利用してゐるので、聴いてゐて十分に楽しめる。少なくともショパンの変奏曲よりは数段上だと僕は思ってゐる。

演奏はギヨマール・ノヴァエスのLPへの録音で、控え目な音で真面目に弾いてゐるので、曲のことはよく分かるが、もう少し浪漫的なデフォルメがあってもいいやうな気がする。

盤は、米國VoxによるリマスタリングCD CDX2-5501。


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