浪漫亭随想録「SPレコードの60年」

主に20世紀前半に活躍した演奏家の名演等を掘り起こし、現代に伝える

マタチッチのブルックナー第7番 世紀の名演奏と言ふけれど

2009年08月01日 | 指揮者
昔、マタチッチがN響を振ってゐるのを何度か観た。だから、マタチッチはN響などを相手に世界を放浪してゐる旅芸人風の指揮者だと思ってゐた。その後、マタチッチファンがどんどん増殖し、いつの間にかマタチッチは巨匠と呼ばれるやうになってゐた。1975年の「第九」と最後のブルックナーがとても印象に残ってゐる。

マタチッチはいつもフレンドリーな表情でテレビに登場し、不細工な動作ながらも壮大な響きを創り出してゐた。しかし、今日聴くブルックナーではその雄大なテンポ感覚と、細部の思わぬパートの強調や金管樂器の華やかな響きとのミスマッチがとても気に障る。特に、チェコフィルハーモニーの金管群の響きは、僕にとってのブルックナーのイメージを壊すに十分だ。ヨッフムのブルックナーの第7番を聴いて体が震えるくらい感動した僕には、このマタチッチの演奏はうわべの華やいだ分だけ陳腐に聴こえる。残念でならない。

金管樂器をお持ちでそこそこお吹きになる方は、こういった刺激的なブルックナーを好まれるのだらう。どっしりとした重厚な響きではなく、軽快で歯切れの良い管楽器の響きは、ほらしか吹けない僕にはその良さがよく分からない。

盤は、コロムビアによるリマスタリングCD COCO70414。
ブルックナー:交響曲第7番
チェコ・フィルハーモニー管弦楽団
コロムビアミュージックエンタテインメント

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