浪漫亭随想録「SPレコードの60年」

主に20世紀前半に活躍した演奏家の名演等を掘り起こし、現代に伝える

ラファエル・クーベリック23歳 モルダウの初回録音 

2008年07月14日 | 指揮者
短期出張の繰り返しで長らくブランクができてしまったが、その間、移動途中や旅先で書き溜めたものがある。旅先に持参した数々のCDの中からいくつかご紹介したいと思ふ。

旅に出る前に聴いたクーベリックの洋琴伴奏のことを思い出しながら有名なモルダウを何気なく聴いてゐた。カーネギーホールでの父との協演の3年後のSP録音だ。「親の七光りか何かで樂界にデビューした」といった冷ややかな批評を浴びたであらう時期の、倫敦での録音だ。オケは天下のチェコフィルハーモニーで、セルとカザルスによるドヴォルザークの録音も同時期だったと思ふ。弱冠23歳のクーベリックを登用したことはかなりセンセーショナルなことだったと推察できる。

興味本位で聴いてみたが、やはりクーベリックの音楽はこの時代から父親とは異なり、感情に走らない冷静さを持ってゐる。しかし、婚礼の場面などは民族色なのかクーベリック色なのか知らないが、粘りのある引きずるやうなどっしりとしたリズムを刻み、テンポの加速も控え目ながら適所に用いられる。アンサンブルも当時としては精緻であるが、録音では金管と絃のバランスが絃に偏ってゐるため、晩年の壮麗な響きを知る人には物足りなさを感じるかも知れない。

1991年に来日して多くの人々を感動の渦に巻き込んだクーベリックとチェコフィルハーモニーの同じ顔ぶれで半世紀以上前の演奏を聴けるのだから、なんとも不思議な感覚にとらわれる。

現在、初回のSPレコヲドの復刻はEUのArchipelによるANDRRCD9032で、最晩年の来日公演は下のCDで、それぞれ聴くことができる。

スメタナ:連作交響詩「わが祖国」
ラファエル・クーベリック
ALTUS

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