浪漫亭随想録「SPレコードの60年」

主に20世紀前半に活躍した演奏家の名演等を掘り起こし、現代に伝える

ローラ・ボベスコのモーツァルトの協奏交響曲

2007年02月25日 | 提琴弾き
ローラ・ボベスコはヴィヴァルディの「四季」の輸入LP盤で知った女流提琴家だ。そのLP盤は僕の趣味に合わないといふことで処分したやうな記憶がある。なんとも個性の無い演奏だったやうに記憶してゐるのだが、今、もう一度聴き直してみたいと思ってゐる。

ヌヴー、ヘンデルなどの初期モノラルLP盤を所蔵してゐたが、これらも震災後、中古レコヲドショップに二束三文で引き取ってもらった。後に女流提琴家がこれほどのブームになることは予測していなかった。今、同じものを入手しようとしたら福沢諭吉が束になって飛んでいくだらう。

今日、久しぶりにボベスコのレコヲドに出会った。このCDアルバムにボベスコが入ってゐることを今日まで意識してゐなかったのだ。偶然見つけたボベスコの演奏を聴いてみた。伴奏はカール・リステンパルト指揮ザール室内管絃團で、録音年は1957年となってゐる。

そこには健康そのもののモーツァルトがあった。ただ、音色は硬質で、ゴールドベルクやマルツィのモーツァルトを好む僕としては、やはり今回も気に入らない。カッポーネの渋いヴィオラ特有の音色とボベスコの直線的な表現はしっとりと溶け合わない。たしか、ヴィヴァルディの「四季」でも同じやうな印象だった。

日本国内には根強いボベスコ・ファンが居るといふ。僕には生演奏を聴く機会が無かったので、ボベスコの本当の良さが分からないのが残念だ。生を聴いた人たちはイマジネーションがレコヲドの貧相な響きを補うのだらう。

今度、別宅のLP棚を整理して、ボベスコの「四季」を探してみようと思ふ。もし見つかればきっと高値で売れるはずだ。

盤は、新星堂とEMIによるCD SGR2005。


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