ボクシングレヴュー

「TM」はタイトルマッチ、階級名につく「S」はスーパー、「L」はライトの略です。

今年も

2007年12月31日 | その他
今年も色んな試合があった。
ヒーローになった者、批判を浴びた者、ひどく打ちのめされた者、
納得の行かない判定に憤った者、誇らしく勝者のコールを聞いた者、
病院のベッドで過ごした者、現役を退いた者。

ハードな練習、そしてハードな試合。その割には報われないスポーツ。
例え世界の頂点に上り詰めても、大して稼げずに引退するボクサーの話は、
昔からよく耳にする。逆に、巨万の富を得てもなおリングに上がる
ボクサーたちもいる。彼らを突き動かすものは一体何だろう。


世界王者になり、テレビ番組に呼ばれても、さほど気の利いたことも
言えず、いつしか画面の隅に追いやられていくボクサーもいる。
しかし僕は、そんな彼らのことが好きだ。画面の中心にいる者が
必ずしも世界の中心であるとは言えない。

100万人のゴシップ趣味を満たす人間より、100人の心を
震わせ感動させる人間の方が偉大であると僕は思う。

今年もたくさんの試合に感動を与えられた。しかし中には、
失礼ながら「凡戦」の2文字で片付けてしまった試合もあった。
しかし例え凡戦であっても、そこには「絶対に勝ちたい」という
思いと思いの交錯があったはずだ。見る側として、それだけは
忘れてはならないと自戒する。


今年は当ブログにも、多くの方のアクセスを頂いた。
記録を残しているわけではないし、日によってバラツキもあるが、
延べにすると年間で15万件は越えているのではないだろうか。
有名な人のブログなら一月もあれば記録できそうな数字だが、
僕のような一般人から見れば、やはりこれは大変な数だ。

正直なところ、「亀田」についての記事を書いた時にだけ
膨大なアクセスがあることに辟易していた時期もあった。
しかし、それでも自分なりのペースで書き続けたら、亀田の
「か」の字もない記事を書いた日にも、かなりのアクセスを
頂けるようになった。

人気低迷だ何だと言われても、ボクシングにはそれなりの数の
ファンが付いているのだ。でなければ、こんな素人の書く
さほど面白いとも高度だとも言えないブログに、これほどの
人が集まるわけはない。


皆さんありがとうございました。大した知識もなく、美文を書く
能力もありませんが、来年もボクシングの面白さを出来る限り
伝えていきたいと思います。そして、来年もみんなでボクシングを
応援していきましょう。どうぞよろしくお願いします。

ボクシングニュース

2007年12月30日 | その他
今月後半のニュースをまとめて。


・29日の世界戦結果

 今年最後の世界戦興行が、29日ドイツで行われた。
 WBA世界ライト級の(レギュラー)王座決定戦は、
 ホセ・アルファロプラウェート・シンワンチャー
 2-1の判定に下して新王者に。

 そしてこの日のメイン、IBF世界クルーザー級タイトルマッチは、
 スティーブ・カニンガムが地元の挑戦者マルコ・フックを最終
 12ラウンドTKOに破って2度目の防衛に成功した。

 他にも、前世界王者のトマス・アダメクや、世界挑戦経験者の
 ムハマド・アズーイらも出場した豪華な興行だったようだ。


・崔堯森が試合後に重体

 元WBC世界ライト・フライ級王者の崔堯森が、25日に
 ソウルで行われた試合後に意識不明の重体に。
 試合自体には判定勝ちしたものの、最終ラウンドにダウンを
 喫した崔。病院に運ばれ、開頭手術を受けたという。
 
 その試合の数日後、崔が書いていた日記が公開された。
 絶望と恐怖心の中で、必死に自分を励ましていた崔の心境が
 見て取れる壮絶な内容だった。なお、現時点では、崔が快方に
 向かっているという情報は伝わってきていない。


・内藤のV2戦は

 前王者ポンサクレックとの再々戦の日程が、未だに決まらない。
 当初は「1月にタイで」とも伝えられたが、内藤陣営は何とか
 日本での開催に漕ぎ着けたいようで、交渉は長引いている。

 一時はタイ開催をあっさり飲んだものと思われたが、タイでは
 地元選手の優遇、「敵」に対する嫌がらせが日常茶飯事と言われて
 いるだけに、日本で行った方がいいのは間違いない。何とか
 内藤を有利に(あるいはせめてフェアな環境で)戦わせたいという
 ジム側の気持ちがあるのだろう。


・山木ジムのプロ加盟認める

 世界王者ライカを育成するなど、早くから女子ボクシングの
 普及に尽力してきた山木ジム。日本ボクシング協会は、来年の
 女子ボクシング認可に先立って、通常の加盟金なしで山木ジムの
 プロ加盟を認可することになった。

 これはお互いにとってメリットのあることで、自然な流れだと思う。
 あとは、これまでライカや他の女子選手が獲得してきた世界タイトルを
 協会が認めるかどうか、という問題も気になるところだ。


・ロペスが松田に謝罪

 もう1週間近く前のニュースだが、なかなか書く機会がなかった。
 先日メキシコで再戦した、ルディ・ロペスと松田直樹。松田の
 TKO勝ちとした裁定に不満を抱いたロペスが、試合直後の
 リング上で松田に殴りかかった「事件」について、ロペスが
 地元コミッションを通じて謝罪文を提出した。

 結局「無効試合」という不可解な処分に終わったこの試合だが、
 ロペスのこの丁寧な謝罪文によって、多少なりとも両選手の間の
 わだかまりが融けることになればいいと思う。

来年の世界戦(予定)

2007年12月29日 | その他
全てBoxrec調べ。
なお、海外の試合は、様々な理由によって日程が変更
されることも少なくない。


1.5  ポール・マリナッジvsハーマン・ヌゴージョ(IBF・Sライト)
1.10 ウラジミール・シドレンコvs池原信遂(WBA・バンタム)
1.10 長谷川穂積vsシモーネ・マルドロット(WBC・バンタム)
1.14 アレクサンデル・ムニョスvs川嶋勝重(WBA・Sフライ)
1.19 スティーブ・モリターvsリカルド・カスティージョ(IBF・Sバンタム)
1.19 ギャビン・リーズvsアンドレアス・コテルニク(WBA・Sライト)
1.19 セルゲイ・ジンジルクvsルーカス・コネクニー(WBO・Sウェルター)
1.19 ルスラン・チャガエフvsマット・スケルトン(WBA・ヘビー)
1.25 オマール・ナルバエスvs相手未定(WBO・フライ)
1.26 クリス・ジョンvsロイネ・カバジェロ(WBA・フェザー)

2.9  ポール・ウィリアムズvsカルロス・キンタナ(WBO・ウェルター)
2.16 フローレンテ・コンデスvsラウル・ガルシア(IBF・ミニマム)
2.16 クリスチャン・ミハレスvsホセ・ナバーロ(WBC・Sフライ)
2.16 リカルド・トーレスvsマイク・アルバラード(WBO・Sライト)
2.23 ウラジミール・クリチコvsスルタン・イブラギモフ(IBF、WBO・ヘビー・統一戦)
2.29 ルシアン・ビュテvs相手未定(IBF・Sミドル)

3.1  イスラエル・バスケスvsラファエル・マルケス(WBC・Sバンタム)
3.2  ジェリー・ペニャロサvsラタナチャイ・ソー・ウォラピン(WBO・バンタム)
3.8  オレグ・マスカエフvsサミュエル・ピーター(WBC・ヘビー・統一戦)
3.15 ファン・マヌエル・マルケスvsマニー・パッキャオ(WBC・Sフェザー)
3.15 デビッド・ディアスvsウンベルト・ソト(WBC・ライト)
3.15 スティーブン・ルエバノvsターサク・ジャンダエン(WBO・フェザー)
4.12 チャド・ドーソンvsグレン・ジョンソン(WBC・Lヘビー)


1月は年初めであるせいか、さほどのビッグマッチはない。
2月に行われるヘビー級2団体統一戦が、来年最初の
ビッグマッチということになるだろうか。

3月にはバスケスとマルケス弟の再々戦、そしてマルケス兄と
パッキャオの再戦という注目カードが予定されている。

個人的には、2月のミハレス対ナバーロというのも興味深い。
ナバーロはこれが4度目の世界挑戦。かなりの頻度でチャンスが
与えられているなあという印象だ。

今年の世界戦(ミドル~ヘビー級)

2007年12月28日 | その他
カッコ内の略称・・・A=WBA、C=WBC、F=IBF、O=WBO
          決=決定戦、暫=暫定、統=統一戦、防=防衛


<ミドル級>
4.28 ●ハビエル・カスティジェホ 判定12R 〇フェリックス・シュトルム(A・防1失敗)
5.19 〇ジャーメイン・テイラー 判定12R ●コーリー・スピンクス(C、O・防4)
5.26 〇アルツール・アブラハム KO3R ●セバスチャン・デマース(F・防4)
6.30 〇フェリックス・シュトルム 判定12R ●ノエ・トゥリオ・ゴンサレス(A・防1)
8.18 〇アルツール・アブラハム KO11R ●コーレン・ゲボル(F・防5)
9.29 ●ジャーメイン・テイラー TKO7R 〇ケリー・パブリック(C、O・防5失敗)
10.20 △フェリックス・シュトルム 引分12R △ランディ・グリフィン(A・防2)
12.8  〇アルツール・アブラハム TKO5R ●ウェイン・エルコック(F・防6)

<Sミドル級>
3.3  〇アレハンドロ・ベリオ TKO3R ●ロバート・スティグリッツ(F・決)
3.7  〇アンソニー・マンディン KO9R ●サム・ソリマン(A・決)
3.24 〇ミッケル・ケスラー 判定12R ●リブラド・アンドラーデ(A・防4、C・防1)
4.7  〇ジョー・カルザゲ TKO3R ●ピーター・マンフレド・ジュニア(O・防20)
6.27 〇アンソニー・マンディン 判定12R ●パブロ・ダニエル・サモラ(A・防1)
10.19 ●アレハンドロ・ベリオ TKO11R 〇ルシアン・ビュテ(F・防1失敗)
11.3  〇ジョー・カルザゲ(O・防21) 判定12R ●ミッケル・ケスラー(A・防5失敗、C・防2失敗)(O、A、C、統)
12.10 〇アンソニー・マンディン KO4R ●ホセ・クラベロ(A・防2)

<Lヘビー級>
1.27 〇ゾルト・エルデイ TKO8R ●ダニー・サンティアゴ(O・防7) 
2.3  ●トマス・アダメク 判定12R 〇チャド・ドーソン(C・防3失敗)
4.28 ●シルビオ・ブランコ 判定12R 〇スティペ・ドレウス(A・防1失敗)
6.9  〇チャド・ドーソン TKO6R ●ヘスス・ルイス(C・防1)
6.16 〇ゾルト・エルデイ TKO11R ●ジョージ・ブレイズ(O・防8) 
9.29 〇クリントン・ウッズ 判定12R ●フリオ・ゴンサレス(F・防4)
9.29 〇チャド・ドーソン TKO4R ●エピファニオ・メンドサ(C・防2)
11.24 〇ゾルト・エルデイ 判定12R ●ティト・メンドサ(O・防9) 
12.16 ●スティペ・ドレウス 判定12R 〇ダニー・グリーン(A・防1失敗)

<クルーザー級>
3.17 ●オニール・ベル 判定12R 〇ジャン・マルク・モルメク(A、C・防1失敗)
4.7  〇エンゾ・マカリネリ TKO1R ●ボビー・ガン(O・防2) 
5.26 ●クジストフ・ブロダルチク 判定12R 〇スティーブ・カニンガム(F・防1失敗)
6.16 ●ワレリー・ブルドフ 判定12R 〇フィラット・アルスラン(A・暫・防1失敗)
7.21 〇エンゾ・マカリネリ 判定12R ●ウェイン・ブレイスレット(O・防3) 
11.3  〇エンゾ・マカリネリ TKO4R ●ムハマド・アズーイ(O・防4) 
11.10 ●ジャン・マルク・モルメク TKO7R 〇デビッド・ヘイ(A、C・防1失敗)
11.24 ●バージル・ヒル(防1失敗) 判定12R 〇フィラット・アルスラン(暫・防1)(A・統)
12.29 スティーブ・カニンガムvsマルコ・フック(F)

<ヘビー級>
1.20 〇ニコライ・ワルーエフ TKO3R終了 ●ジャミール・マクライン(A・防3)
3.10 〇ウラジミール・クリチコ TKO2R ●レイ・オースティン(F・防2)
4.14 ●ニコライ・ワルーエフ 判定12R 〇ルスラン・チャガエフ(A・防4失敗)
6.2  ●シャノン・ブリッグズ 判定12R 〇スルタン・イブラギモフ(O・防1失敗)
7.7  〇ウラジミール・クリチコ TKO6R終了 ●レイモン・ブリュースター(F・防3)
10.6  〇サミュエル・ピーター 判定12R ●ジャミール・マクライン(C・暫・防1)
10.13 〇スルタン・イブラギモフ 判定12R ●イベンダー・ホリフィールド(O・防1)


名うてのベテラン技巧派たちとの苦しい戦いを切り抜け、今年いよいよ
自分の時代を築いていきたかったミドル級の統一王者テイラーだが、
パブリックに逆転KO負け。新王者パブリックには、ドイツの破壊王
アブラハムとの統一戦も期待される。凄まじい殴り合いになりそうだ。

熱狂的な人気を誇る2人の王者が激突した、スーパー・ミドル級。
若くて強いケスラー優位の声も多かったが、カルザゲのベテランの味が
ケスラーを翻弄した。今年のヨーロッパでは最大のビッグマッチだった。
その影で、眼疾を克服し世界戦3勝を挙げたマンディンの活躍も見逃せない。

ライト・ヘビー級では、何と言っても若き逸材・ドーソンに注目したい。
欧州にこもって地味に防衛を重ねるエルデイ、ウッズらとの統一戦の実現は
期待薄だが、それよりも年末に2階級制覇を達成した強打者ダニー・
グリーンとの戦いを見てみたい。

ヘビー級のすぐ下にあって、相変わらず注目度が低いのがクルーザー級。
ベル、モルメク、ヘイ、マカリネリなど好選手は少なくないのだが・・・。
今月29日に世界戦出場が決まっている、ドイツの有望株マルコ・フックの
活躍に期待したいところだ。

最重量のヘビー級は、今年もまた盛り上がりに欠けた。筆頭格のクリチコは
楽勝すぎてスリルに乏しく、他の王者は存在自体が地味。そんな中、WBCの
暫定王座に就いたピーターは久々の野性味溢れるファイターとして期待されたが、
初防衛戦ではダウンを3度奪われる散々な出来。多くの課題を残した。

今年の世界戦(フェザー~Sウェルター級)

2007年12月27日 | その他
カッコ内の略称・・・A=WBA、C=WBC、F=IBF、O=WBO
          決=決定戦、暫=暫定、統=統一戦、防=防衛


<フェザー級>
2.23 〇ロバート・ゲレロ TKO9R ●スペンド・アバジィ(F・決)
3.3  〇クリス・ジョン 判定12R ●ホセ・チェオ・ロハス(A・防7)
7.14 〇スティーブン・ルエバノ KO11R ●ニッキー・クック(O・決)
7.21 〇ホルヘ・リナレス TKO10R ●オスカル・ラリオス(C・決)
8.19 〇クリス・ジョン TKO9R終了 ●武本在樹(A・防8)
10.6  〇スティーブン・ルエバノ 判定12R ●アントニオ・デイビス(O・防1)
11.3  〇ロバート・ゲレロ TKO1R ●マルティン・オノリオ(F・防1)
12.15 〇ホルヘ・リナレス KO8R ●ガマリエル・ディアス(C・防1)

<Sフェザー級>
1.3  〇エドウィン・バレロ TKO1R ●ミチェル・ロサダ(A・防1) 
3.17 ●マルコ・アントニオ・バレラ 判定12R 〇ファン・マヌエル・マルケス(C・防5失敗)
4.20 ●マルコム・クラッセン 判定12R 〇ムゾンケ・ファナ(F・防1失敗)
5.3  〇エドウィン・バレロ TKO8R ●本望信人(A・防2)
7.21 〇アレックス・アーサー TKO10R ●コバ・ゴガレッジ(O・暫・決)
8.31 〇ムゾンケ・ファナ KO9R ●ハビエル・オズワルド・アルバレス(F・防1)
11.3  〇ファン・マヌエル・マルケス 判定12R ●リカルド・フアレス(C・防1)
11.17 〇ホアン・グスマン 判定12R ●ウンベルト・ソト(O・防2)
12.15 〇エドウィン・バレロ TKO3R ●サイド・サバレタ(A・防3)
12.15 〇アレックス・アーサー 判定12R ●スティーブン・フォスター(O・暫・防1)

<ライト級>
2.3  ●ヘスス・チャベス KO3R 〇フリオ・ディアス(暫)(F・統・防1)
2.17 〇マイケル・カツィディス TKO5R終了 ●グラハム・アール(O・暫・決)
4.28 〇ファン・ディアス(A・防6) TKO8R終了 ●アセリノ・フレイタス(O・防1失敗)(A、O・統)
5.11 △ホセ・ミゲール・コット 引分12R △プラウェート・シンワンチャー(A・決)
7.21 〇マイケル・カツィディス 判定12R ●シーザー・アモンソット(O・暫・防1)
8.4  〇デビッド・ディアス 判定12R ●エリック・モラレス(C・防1)
10.13 〇ファン・ディアス(A・防7、O・防1) TKO9R ●フリオ・ディアス(F・防2失敗)(A、O、F・統)
11.10 〇ホエル・カサマヨル 判定12R ●アルマンド・サンタクルス(C・暫・決)
12.29 プラウェート・シンワンチャー vs ホセ・アルファロ(A・決)

<Sライト級>
1.20 〇ジュニア・ウィッター TKO9R ●アルツロ・モルア(C・防1)
1.20 ●ファン・ウランゴ 判定12R 〇リッキー・ハットン(F・防1失敗)
2.4  〇ラブモア・ヌドゥ TKO11R終了 ●ノーフェル・ベン・ラバー(F・決)
3.10 △スレイマーヌ・ムバイエ 引分12R △アンドレアス・コテルニク(A・防1)
4.28 〇リカルド・トーレス 判定12R ●アルツロ・モルア(O・防1)
6.16 ●ラブモア・ヌドゥ 判定12R 〇ポール・マリナッジ(F・防1失敗)
7.21 ●スレイマーヌ・ムバイエ 判定12R 〇ギャビン・リーズ(A・防2失敗)
9.1  〇リカルド・トーレス TKO11R ●ケンドール・ホルト(O・防2)
9.7  〇ジュニア・ウィッター KO7R ●ビビアン・ハリス(C・防2)

<ウェルター級>
2.10 〇シェーン・モズリー 判定12R ●ルイス・コラーゾ(C・暫・決)
3.3  〇ミゲール・コット TKO11R ●オクタイ・ウルカル(A・防1)
6.9  〇ミゲール・コット TKO11R ●ザブ・ジュダー(A・防2)
7.14 〇カーミット・シントロン KO2R ●ワルテル・マティセ(F・防1)
7.14 ●アントニオ・マルガリート 判定12R 〇ポール・ウィリアムズ(O・防8失敗)
11.10 〇ミゲール・コット 判定12R ●シェーン・モズリー(A・防3)
11.23 〇カーミット・シントロン TKO10R ●ジェシ・フェリシアーノ(F・防2)
12.8  〇ユーリー・ヌズネンコ 判定12R ●フレデリック・クローズ(A・暫・決)
12.8  〇フロイド・メイウェザー TKO10R ●リッキー・ハットン(C・防1)

<Sウェルター級>
1.6  ●ホセ・アントニオ・リベラ TKO9R 〇トラビス・シムズ(A・防1失敗)
2.3  〇コーリー・スピンクス 判定12R ●ロドニー・ジョーンズ(F・防1)
5.5  ●オスカー・デラ・ホーヤ 判定12R 〇フロイド・メイウェザー(C・防1失敗)
5.19 〇セルゲイ・ジンジルク KO11R ●カルロス・ナシミエント(O・防3)
7.7  ●トラビス・シムズ 判定12R 〇ホアキム・アルシン(A・防1失敗)
7.28 〇バーノン・フォレスト 判定12R ●カルロス・バルドミール(C・決)
12.1  〇バーノン・フォレスト TKO11R ●ミケーレ・ピッチリーロ(C・防1)
12.7  〇ホアキム・アルシン TKO12R ●アルフォンソ・モスケラ(A・防1)


パッキャオ、バレラ、モラレス、マルケスらが鎬を削った
フェザー級。その頃に比べると顔ぶれが大きく変わった。
安定王者ジョンを筆頭に、ゲレロ、リナレス、ルエバノ。
いずれも実力者だが、少し地味な感じもする。次代のスター候補
リナレスのブレイクに期待したい。

フェザー級で活躍した選手たちがスーパー・フェザー級に上がって
激闘を繰り広げていた昨今だが、中心人物であったバレラとモラレスが
相次いで引退。代わって台頭してきたのがバレロだ。来年はマルケスと
パッキャオの再戦が予定されている。そこにバレロがどう絡めるか。

ライト級の状況がちょっとややこしい。IBFは2月の統一戦で
暫定王座が消えたものの、WBO、WBCには暫定、WBAには
スーパー王者(フリオ・ディアス。統一戦に勝ったことで昇格)がおり、
5月に引き分けに終わったレギュラー王座の決定戦が今月29日に
再び行われる。

IBFのスーパー・ライト級王者がコロコロと変わった年でもあった。
ウランゴからハットン、ハットンが返上し決定戦でヌドゥ、そして
ヌドゥからマリナッジ。他団体の王者も現時点では必ずしも安泰とは
言えないが、その分今後が楽しみでもある。

対照的に、ウェルター級は今年最大の激戦区の一つになった。
コット、ウィリアムズ、マルガリート、モズリー、ジュダー、
ハットン、シントロン・・・。スーパー・ウェルター級を獲った
メイウェザーがウェルターに戻ったことが、それに拍車をかけた。
それにしても、WBAにはいつの間に暫定王者が生まれたのだろう。

スーパー・ウェルター級では、抜群の身体能力でリベラを翻弄して
目を引いたシムズがあっさり陥落。一方、同い年(36歳)の
フォレストが2階級制覇を達成し、5年振りの戴冠。再び輝き出した。
また、引退へのカウントダウンが進む千両役者のデラ・ホーヤは、
来年どう動くのだろうか。

今年の世界戦(ミニマム~Sバンタム級)

2007年12月26日 | その他
カッコ内の略称・・・A=WBA、C=WBC、F=IBF、O=WBO
          決=決定戦、暫=暫定、統=統一戦、防=防衛


<ミニマム級>
4.7  〇新井田豊 判定12R ●高山勝成(暫)(A・統・防5)
4.28 〇イバン・カルデロン 判定12R ●ロナルド・バレラ(O・防11)
6.4  〇イーグル京和 判定12R ●八重樫東(C・防4)
7.7  ●ムハマド・ラクマン 判定12R 〇フローレンテ・コンデス(F・防4失敗)
9.1  〇新井田豊 判定12R ●エリベルト・ゲホン(防6)
9.20 〇ドニー・ニエテス 判定12R ●ポーンサワン・クラティンデーンジム(O・決)
11.29 ●イーグル・デーン・ジュンラパン 判定12R ○オーレイドン・シットサマーチャイ(C・防5失敗)

<Lフライ級>
1.25 〇ウリセス・ソリス TKO8R終了 ●ウィル・グリズビー(F・防3)
4.14 〇エドガル・ソーサ 判定12R ●ブライアン・ビロリア(C・決)
5.4  〇ウーゴ・カサレス TKO2R ●ウィルフレド・バルデス(O・防5)
5.19 〇ウリセス・ソリス TKO9R ●ホセ・アントニオ・アギーレ(F・防4)
7.28 〇エドガル・ソーサ 反則10R ●ルイス・ラサルテ(C・防1)
8.25 ●ウーゴ・カサレス 判定12R 〇イバン・カルデロン(O・防6失敗)
9.16 〇エドガル・ソーサ TKO9R ●ロレンソ・トレホ(C・防2)
9.22 〇ファン・カルロス・レベコ KO8R ●ネーッ・サシプラパー(A・決)
8.4  〇ウリセス・ソリス TKO8R ●ロデル・マヨール(F・防5)
10.13 〇ファン・カルロス・レベコ KO5R ●ウンベルト・プール(A・防1)
11.24 〇エドガル・ソーサ TKO4R ●ロベルト・レイバ(C・防3)
12.1  〇イバン・カルデロン 判定12R ●ファン・エスケル(O・防1)
12.8  ●ファン・カルロス・レベコ 判定12R 〇ブライム・アスローム(A・防2失敗)
12.15 〇ウリセス・ソリス TKO9R ●バート・バタワン(F・防6)

<フライ級>
3.3  〇ビック・ダルチニアン TKO12R ●ビクトル・ブルゴス(F・防6)
3.10 〇オマール・ナルバエス 判定12R ●ブライム・アスローム(O・防10)
3.19 ●ロレンソ・パーラ(剥奪) TKO3R ○坂田健史(A・防6失敗)
4.6  ○ポンサクレック・ウォンジョンカム TKO7R ●清水智信(C・防17)
7.1  ○坂田健史 判定12R ●ロベルト・バスケス(暫)(A・統・防1)
7.7  ●ビック・ダルチニアン TKO5R 〇ノニト・ドナイレ(F・防7失敗)
7.18 ●ポンサクレック・ウォンジョンカム 判定12R ○内藤大助(C・防18失敗)
9.14 〇オマール・ナルバエス TKO4R ●マーロン・マルケス(O・防11)
10.11 ○内藤大助 判定12R ●亀田大毅(C・防1)
11.4  △坂田健史 引分12R △デンカオセーン・カオヴィチット(A・防2)
12.1  〇ノニト・ドナイレ TKO8R ●ルイス・マルドナド(F・防1)

<Sフライ級>
1.3  ○クリスチャン・ミハレス TKO10R ●川嶋勝重(C・防2)
2.24 〇フェルナンド・モンティエル 判定12R ●Z・ゴーレス(O・防3)
4.14 ○クリスチャン・ミハレス 判定12R ●ホルヘ・アルセ(C・防3)
5.3  ●名城信男 判定12R ○アレクサンデル・ムニョス(A・防2失敗)
7.13 ○クリスチャン・ミハレス TKO10R ●菊井徹平(C・防4)
7.14 〇フェルナンド・モンティエル TKO10R ●セシリオ・サントス(O・防4)
9.24 ○アレクサンデル・ムニョス 判定12R ●相澤国之(A・防1)
10.4  〇フェルナンド・モンティエル TKO12R ●ルイス・メレンデス(O・防5)
10.13 〇ディミトリー・キリロフ 判定12R ●ホセ・ナバーロ(F・決)
10.20 ○クリスチャン・ミハレス TKO10R ●フランク・ゴルジュ(C・防5)

<バンタム級>
3.17 〇ウラジミール・シドレンコ 引分12R ●リカルド・コルドバ(A・防4)
3.30 〇ジョニー・ゴンサレス TKO9R ●イレーネ・パチェコ(O・防2)
5.3  〇長谷川穂積 判定12R ●シンピウェ・ベチェカ(C・防4)
6.29 〇ウラジミール・シドレンコ KO7R ●ジェローム・アヌール(A・防5)
7.7  〇ルイス・ペレス TKO7R ●ヘナロ・ガルシア(F・決)
8.11 ●ジョニー・ゴンサレス KO7R 〇ジェリー・ペニャロサ(O・防3失敗)
9.29 ●ルイス・ペレス TKO7R 〇ジョセフ・アベコ(F・防1失敗)

<Sバンタム級>
3.3  ●イスラエル・バスケス TKO7R終了 〇ラファエル・マルケス(C・防3失敗)
3.16 〇セレスティノ・カバジェロ TKO9R ●リカルド・カスティージョ(A・防3)
3.17 〇ダニエル・ポンセ・デ・レオン 判定12R ●ジェリー・ペニャロサ(O・防4)
7.14 〇スティーブ・モリター TKO9R ●タカラニ・ヌドルブ(F・防1)
8.4  〇セレスティノ・カバジェロ 判定12R ●ホルヘ・ラシエルバ(A・防4)
8.4  ●ラファエル・マルケス TKO6R 〇イスラエル・バスケス(C・防1失敗)
8.11 〇ダニエル・ポンセ・デ・レオン TKO1R ●レイ・バウティスタ(O・防5)
10.27 〇スティーブ・モリター 判定12R ●ファーサン・3Kバッテリー(F・防2)
12.1  〇セレスティノ・カバジェロ TKO8R ●マウリシオ・パストラーナ(A・防5)
12.8  〇ダニエル・ポンセ・デ・レオン 判定12R ●エデュアルド・エスコベド(O・防6)


最も軽いミニマム級では、新井田、イーグル、高山(暫定)と、
日本のジムは3人の王者を抱えていたが、今年は高山とイーグルが脱落。
一方、最近の勢いを象徴するかのように、コンデスとニエテスという
2人の王者が誕生したのがフィリピン。

ミニマムと並び地味な存在のライト・フライ級だが、カサレス、ソーサ、
ソリス、レベコ、アスロウム、カルデロンなど、実力者の名前が目立つ。
ミニマムを卒業し2階級制覇を達成したカルデロンと、階級を下げて
悲願の王座獲得を果たしたアスロウムの対比も印象に残った。

個人的に、今年最も印象的なKOシーンが生まれたのがフライ級。
数々の相手を葬ってきた豪打のダルチニアンを倒した、ドナイレの
カウンターは実に見事だった。また、超安定王者ポンサクレックを
攻略した内藤の殊勲も記憶に新しい。もちろん、雑草の粘り強さを持つ
坂田、11度防衛のナルバエスも忘れてはいけない。

日本人が次々と敗れたのがスーパー・フライ級。王座を失った名城を
含め、今年は4戦全敗。川嶋を倒して勢いづいたミハレスの活躍が
目立った一年でもあった。来年は、同じくメキシコの実力者である
モンティエルとの統一戦に期待がかかる。

バンタム級で大きな飛躍が期待された長谷川が、ジム移籍問題で一時
ブレーキ。その間にシドレンコが防衛回数を増やした。一方、強打で人気の
ゴンサレスが、老雄ペニャロサにまさかのKO負け。同じく、凄まじい
強打を披露して2階級制覇を達成したペレスも、あっさり陥落した。

スーパー・バンタム級の歴史に残る激闘となった、マルケスとバスケスの
2連戦。防衛回数を伸ばしたカバジェロ、デ・レオンらの試合よりも強く
ファンの心に刻まれたはずだ。そのデ・レオンに挑んだ2人のフィリピン人。
ホープと目されたバウティスタは惨敗、ロートルと思われたペニャロサが
大善戦。ボクシングとは分からないものだ。

今年の日本ボクシング界(世界編)

2007年12月25日 | その他
今年、日本のジム所属選手が出場した世界戦は以下の通り。


1.3  ○エドウィン・バレロ TKO1R ●ミッチェル・ロサダ
     (WBA・Sフェザー 防衛1)
1.3  ○クリスチャン・ミハレス TKO10R ●川嶋勝重
     (WBC・Sフライ 防衛2)
3.19 ●ロレンソ・パーラ TKO3R ○坂田健史
     (WBA・フライ パーラは王座剥奪、6度目の防衛に失敗)
4.6  ○ポンサクレック・ウォンジョンカム TKO7R ●清水智信
     (WBC・フライ 防衛17)
4.7  ○新井田豊 判定12R ●高山勝成(暫定)
     (WBA・ミニマム 統一戦、防衛5)
5.3  ●名城信男 判定12R ○アレクサンデル・ムニョス
     (WBA・Sフライ 名城は2度目の防衛に失敗)
5.3  〇エドウィン・バレロ TKO8R ●本望信人
     (WBA・Sフェザー 防衛2)
5.3  〇長谷川穂積 判定12R ●シンピウェ・ベチェカ
     (WBC・バンタム 防衛4)
6.4  ○イーグル共和 判定12R ●八重樫東
     (WBC・ミニマム 防衛4)
7.1  ○坂田健史 判定12R ●ロベルト・バスケス(暫定)
     (WBA・フライ 統一戦、防衛1)
7.13 ○クリスチャン・ミハレス TKO10R ●菊井徹平
     (WBC・Sフライ 防衛4)
7.18 ●ポンサクレック・ウォンジョンカム 判定12R ○内藤大助
     (WBC・フライ ポンサクレックは18度目の防衛に失敗)
7.21 ○ホルヘ・リナレス TKO10R ●オスカル・ラリオス
     (WBC・フェザー 決定戦)
8.19 ○クリス・ジョン TKO9R終了 ●武本在樹
     (WBA・フェザー 防衛8)
9.1  ○新井田豊 判定12R ●エリベルト・ゲホン
     (WBA・ミニマム 防衛6)
9.24 ○アレクサンデル・ムニョス 判定12R ●相澤国之
     (WBA・Sフライ 防衛1)
10.11 ○内藤大助 判定12R ●亀田大毅
     (WBC・フライ 防衛1)
11.4  △坂田健史 引分12R △デンカオセーン・カオヴィチット
     (WBA・フライ 防衛2)
11.29 ●イーグル・デーン・ジュンラパン 判定12R ○オーレイドン・シットサマーチャイ
     (WBC・ミニマム イーグルは5度目の防衛に失敗)
12.15 ○ホルヘ・リナレス TKO8R ●ガマリエル・ディアス
     (WBC・フェザー 防衛1)
12.15 ○エドウィン・バレロ TKO3R ●サイド・サバレタ
     (WBA・Sフェザー 防衛3)


偶然だが、今年はバレロに始まりバレロに終わった世界戦だった。
そのバレロと坂田が年間3試合を消化し、いずれも負けなし
(坂田は1引き分けを含む)。

世界王者のまま丸々1年を過ごしたのは、バレロと新井田の2人。
また、今年は坂田、リナレス、内藤と、3人の新王者が誕生。
バレロを含め、現在の日本のジムの世界王者は計6人。
相変わらず人数は多いし、みな確かな力を持っている。
イーグルが王座を失ったのは意外だったが・・・。

個人的に印象に残っているのはやはりポンサクレックvs内藤、
そしてラリオスvsリナレス、新井田vsゲホン辺りだろうか。

フセイン・フセインvs久高寛之

2007年12月24日 | 国内試合(その他)
世界4位のフセインを明白な判定で破り、久高は散々だった今年を
いい形で締めくくった。

4月に行われた日本王座決定戦(暫定)。有利を予想されていた
久高だったが、吉田健司を相手に自分のボクシングが出来ず敗北。
その後は所属するグリーンツダジムのゴタゴタの煽りを食ったのか
タイ、フィリピンと敵地で連戦し、強敵相手に善戦したものの
いずれも判定負け。これで3連敗となってしまった。


しかし、この試合で久高は、精神的に強くなったことを示して見せた。

序盤はフセインが前に出てプレッシャーをかける。それに対し、
久高は無理に前へ出るでもなく、かといって臆することもなく
よく足を使いながらパンチを放つ。相変わらずのスピード。
また、フセインの前進が止まったと見るや自分から仕掛ける場面も。
上々の立ち上がりだ。強打者フセインも、世界ランカーらしい
力強さを感じさせるまずまずの出足。

以前の久高であれば、相手がどんどん前に出てくると後手に回ったり、
得意のカウンターを狙うあまり手数が少なくなったりすることがあったが、
今回は「攻め込み過ぎず、下がり過ぎず」といった良いバランスだ。

2ラウンドには、右のカウンターでフセインを下がらせ、一気に
攻勢を仕掛けた。しかし、3ラウンドにはフセインがボディを中心に
パンチを浴びせ、緊張感を保ったまま試合は進む。

4ラウンド、これは容易ならざる相手だと悟ったのか、足を使うなどして
展開を変えようとするフセイン。5ラウンドも、ただ前に出るのではなく
引き気味に構えてカウンターを狙うような動きを見せた。
しかし、「押せば引く、引けば押す」今日の久高の距離感は抜群で、
なかなか狙い通りには行かない。このラウンドには再び久高がラッシュ。

何とか流れを変えたいフセイン、6ラウンドには再びプレッシャーを
強める。しかしそれは中途半端で、今度は逆に久高がプレッシャーをかけ
フセインを下がらせる。7ラウンドにはまたカウンター狙いとなった
フセインだが、久高はそれに乗らない。何発か速いパンチをまとめた後、
すぐに相手の反撃に対処。

8ラウンドはフセインが奮起し、ほぼ互角の打ち合い。
9ラウンド辺りから、久高の動きに乱れが出始める。フセインの
ボディブローが効いてきたのだろうか。ディフェンス勘が鈍る。
以前なら気持ちが途切れてズルズル行ってしまったかもしれないような
場面だったが、時に足を使い、時に反撃し、何とかここを乗り切った。

最終ラウンド。手数を増やして迫るフセインだが、それも長くは
続かない。そしてゴングが鳴った。判定は大差。圧倒するとまでは
行かなかったが、ペースはほぼ終始久高が握っていた。


勝者コールを聞いた瞬間、感涙にむせぶ久高。苦しかったこの一年、
そして強敵と対する不安。様々な感情がこみ上げてきたのだろう。

本来の高い素質に加え、この試合では「絶対に勝つんだ」という
強い意志が感じられた。日本の有力選手としては異例の、外国での
厳しいマッチメイク。しかしそういった苦境を経験し、久高は
間違いなく強くなった。いよいよ来年が楽しみだ。


今年の日本ボクシング界(国内・東洋編)

2007年12月23日 | その他
今年行われた日本タイトルマッチ、および日本のジム所属選手が
出場した東洋太平洋タイトルマッチは以下の通り。


ミニマム(日本)
5.5  ●三澤照夫 負傷判定7R 〇黒木健孝(三澤は初防衛に失敗)
9.22 〇黒木健孝 TKO5R ●半田友章(防衛1)

ミニマム(東洋)
3.18 〇和賀寿和 KO2R ●チャーンサックノーイ・サックルンルアン(決定戦)
11.3  〇和賀寿和 判定12R ●ガオフラチャーン・シットサイトーン(防衛1)

Lフライ(日本)
4.15 ●増田信晃 判定10R 〇嘉陽宗嗣(増田は6度目の防衛に失敗)
8.13 〇嘉陽宗嗣 判定10R ●大神淳二(防衛1)

Lフライ(東洋)
6.24 〇ファニト・ルビリアル KO5R ●中島健(防衛1)

フライ(日本)
4.1  〇吉田健司 判定10R ●久高寛之(暫定王座決定戦、後に正規王者に昇格) 
7.2  〇吉田健司 負傷判定6R ●小松則幸(防衛1)
12.8  〇吉田健司 判定10R ●佐藤常二郎(防衛2)

フライ(東洋)
3.18 〇ジョジョ・バルドン 判定12R ●長縄正春(決定戦)
8.19 ●ジョジョ・バルドン 判定12R 〇長縄正春(バルドンは初防衛に失敗)

Sフライ(日本)
2.12 ●菊井徹平 判定10R 〇河野公平(菊井は2度目の防衛に失敗)
6.2  〇河野公平 負傷判定9R ●三枝 健二(防衛1)

Sフライ(東洋)
4.9  〇相澤国之 TKO6R終了 ●全鎮萬(初防衛、後に返上)
10.6  〇河野公平 判定12R ●エデン・ソンソナ(決定戦)

バンタム(日本)
4.15 〇三谷将之 TKO2R ●寺畠章太(防衛2)
11.23 〇三谷将之 判定10R ●菊井徹平(防衛3)

バンタム(東洋)
1.13 ●マルコム・ツニャカオ 判定12R 〇ロリー松下(ツニャカオは3度目の防衛に失敗)
4.1  〇ロリー松下 TKO9R ●サミンナム・ウォーウィッタナノン(防衛1)
8.12 〇ロリー松下 TKO12R ●三谷将之(防衛2)

Sバンタム(日本)
4.9  ●山中大輔 判定10R 〇下田昭文(山中は2度目の防衛に失敗)
8.4  〇下田昭文 判定10R ●塩谷悠(防衛1)
12.1  〇下田昭文 判定10R ●小林秀徳(防衛2)

Sバンタム(東洋)
4.1  〇ウェート・サックムアングレーン 判定12R ●中岸風太(防衛3)
6.3  〇ウェート・サックムアングレーン 判定12R ●玉越強平(防衛4)

フェザー(日本)
3.3  ●梅津宏治 判定10R 〇粟生隆寛(梅津は初防衛に失敗)
7.7  〇粟生隆寛 判定10R ●秋葉慶介(防衛1)
11.3  〇粟生隆寛 判定10R ●上野則之(防衛2)

Sフェザー(日本)
1.6  〇小堀佑介 TKO3R ●大之伸くま(防衛3)
5.19 〇小堀佑介 TKO7R ●村上潤二(防衛4)
9.15 〇小堀佑介 判定10R ●三浦 隆司(防衛5)

Sフェザー(東洋)
5.19 〇小堀佑介 TKO7R ●村上潤二(決定戦、後に返上)
9.8  〇内山高志 KO8R ●ナデル・フセイン(決定戦)

ライト(日本)
4.21 〇長嶋建吾 判定10R ●石井一太郎(防衛2)
10.20 〇長嶋建吾 判定10R ●リッキー・ツカモト(防衛3、後に返上)

ライト(東洋)
4.23 〇ランディ・スイコ 判定12R ●中川知則(防衛1)
8.25 〇ランディ・スイコ KO8R ●鮫島康治(防衛2)

Sライト(日本)
4.14 〇木村登勇 TKO4R ●飯田聖州(防衛9)
7.21 〇木村登勇 TKO7R ●中村徳人(防衛10)

ウェルター(日本)
4.20 〇湯場忠志 KO1R ●古川明裕(決定戦)
8.18 〇湯場忠志 負傷判定7R ●新井雅人(防衛1)
12.6  〇湯場忠志 KO1R ●牛若丸あきべぇ(防衛2)

ウェルター(東洋)
2.12 〇丸元大成 TKO9R ●竹中義則(防衛1)
7.14 ●丸元大成 KO6R ●レブ・サンティリャン(丸元は2度目の防衛に失敗)

Sウェルター(日本)
4.5  〇石田順裕 TKO6R ●川崎タツキ(防衛1)

Sウェルター(東洋)
10.26 〇日高和彦 判定12R ●野中悠樹(決定戦)

ミドル(日本)
3.25 〇江口啓二 KO3R ●氏家福太郎(防衛1)
7.21 〇江口啓二 判定10R ●淵上誠(防衛2)
10.20 〇江口啓二 TKO4R ●叶栄治(防衛3)

ミドル(東洋)
3.17 〇佐藤幸治 TKO9R ●アダム・ベラ(決定戦)
8.4  〇佐藤幸治 KO2R ●デビッド・コスワラ(防衛1)
12.15 〇佐藤幸治 KO3R ●小松学(防衛2)

Sミドル(東洋)
11.20 〇クレイジー・キム KO6R ●ズリフィカール・ジョーイ・アリ(暫定王座決定戦)

Lヘビー(東洋)
1.30 ●西澤ヨシノリ 判定12R 〇ヒース・ステントン(西澤は初防衛に失敗)
7.17 ●ヒース・ステントン 判定12R 〇クレイジー・キム(ステントンは初防衛に失敗)

クルーザー(東洋)
6.11 ●高橋良輔 TKO8R 〇ドミニク・ベア(高橋は初防衛に失敗)


吉田、ロリー、下田、粟生、小堀、湯場、江口、佐藤が
タイトル戦3連勝。KO数で見ると、佐藤が3KOでトップ。
2KOでロリー、小堀、木村、湯場、江口が並ぶ。

また、王者として今年の正月を迎え、そして来年の正月を迎えるのは
三谷、小堀、木村、石田、江口、(やや変則的ではあるが)キムの6人。

印象的なタイトルマッチとしては、両者が持ち味を出し合って
熱戦となった山中vs下田、アゴの先端を捉える漫画のような
KOシーンが生まれた小堀vs大之伸、そして、注目度の高さでは
今年1、2を争ったと思われる梅津vs粟生、湯場vs牛若丸などがあった。


エディ賞は大竹トレーナーに

2007年12月22日 | その他
優秀なトレーナーに贈られる「エディ・タウンゼント賞」。
今年は、協栄ジムの大竹重幸氏に授与されることが決まった。
大竹氏といえば、佐藤修や坂田健史といった世界王者を育成
したばかりではなく、協栄ジムの「顔」の一人ともなっている
ベテランだけに、まだ受賞していなかったのは意外だ。

なお、昨年までの受賞者は以下の通り。
カッコ内は、育成に関わった主な選手。


1990年 松本清司(柴田国明、川島郭志ほか)
1991年 アレキサンドル・ジミン(勇利アルバチャコフ、オルズベク・ナザロフほか)
1992年 桑田勇(大場政夫ほか)
1993年 大久保純一(辰吉丈一郎ほか)
1994年 積田進(上山仁ほか)
1995年 福田洋二(竹原慎二ほか)
1996年 竹本吾一(山口圭司ほか)
1997年 田中栄民(小林光二、小林智昭ほか)
1998年 柳和龍(畑山隆則ほか)
1999年 津々見敏英(畑中清詞、中野博ほか)
2000年 島田信行(辰吉丈一郎ほか)
2001年 三浦利美(セレス小林、トラッシュ中沼ほか)
2002年 該当者なし
2003年 川島利彦(嶋田雄大ほか)
2004年 松本好二(川嶋勝重ほか)
2005年 山下正人(長谷川穂積ほか)
2006年 藤原俊志(名城信男ほか)

ロペスvs松田は無効試合に

2007年12月18日 | その他
松田が所属する、帝拳ジムHPからの情報。

先日メキシコで行われたルディ・ロペスと松田直樹の再戦。
当初はロペスの目の上の傷が悪化したとして、松田のTKO勝ちが
宣言されたが、この傷はバッティングによってひどくなったとする
ロペス陣営が猛抗議。結局WBCが再協議するという形になり
勝敗が保留されていた。

その結果、WBCはこの試合を「ノーコンテスト(無効)」と判断。
これがWBCのフェザー級挑戦者決定戦だったこともあり、
両者に再々戦を指示することになりそうだ。


レフェリーが宣した結果を覆すことに対する賛否はあるだろうが、
個人的にはこれで良かったと思う。というのも、先日の再戦は、
両選手が必ずしも持ち味を存分に発揮したとは言えない内容
だったからだ。

再々戦では、お互い慎重になり過ぎることなく、持ち味を出して
戦ってほしい。そして、誰にも文句を言わせない、はっきりとした
結果が出ることを期待したい。

年間賞決まる

2007年12月18日 | その他
今年の年間賞が決まった。受賞者は以下の通り。


最優秀選手   内藤大助(宮田)         
技能賞     ホルへ・リナレス(帝拳)     
殊勲賞     坂田健史(協栄)         
敢闘賞     新井田豊(横浜光)        
努力賞     湯場忠志(都城レオスポーツ) 
KO賞     湯場忠志(都城レオスポーツ) 
        ホルへ・リナレス(帝拳)         
新鋭賞     下田昭文(帝拳)         
最高試合    ポンサクレック・ウォンジョンカム vs 内藤大助
特別賞     吉井清(大阪帝拳ジム会長・故人)
        河合哲朗(オーキッドカワイジム会長・故人)
        津田博明(グリーンツダジム会長・故人)
        吉田勇作(JBC審判員・故人)
        徳山昌守(元WBC世界スーパー・フライ級王者)
        ジョー小泉(マッチメーカー、評論家)


2年連続で最優秀選手(MVP)に選ばれていた長谷川穂積の
名前がないのが寂しいが、今年は1試合だけ、しかもそれが凡戦
だったので仕方ない。ジム移籍を機に、来年は大活躍して欲しいものだ。

また、今年はダブル受賞というケースが多い。内藤がMVPと
最高試合、湯場が努力賞とKO賞、リナレスが技能賞とKO賞。
技能賞とKO賞を同時に受賞するというのは、もしかしたら
ボクサーにとっては最高の名誉かもしれない。

長谷川と並んで、王座を失ったばかりのイーグル・デーン・
ジュンラパンも賞から漏れてしまった。今年も世界王者がたくさん
いたので、選考には苦労したのではないだろうか。


ちなみに、アマチュア部門のMVPは、世界選手権銅メダリストの
川内将嗣。これは文句なしだろう。


なお、昨年までの受賞者(プロ部門)はこちら。

  最優秀・技能・最高試合   
  殊勲・敢闘・努力・KO・新鋭・特別 

海外の世界戦

2007年12月17日 | 海外試合(世界タイトル)
リナレス、バレロ(そして松田)以外の海外の世界戦結果。


15日。イギリスで行われたWBO世界暫定スーパー・フェザー級
タイトルマッチは、王者アレックス・アーサースティーブン・
フォスター
を小差判定に下して初防衛に成功。

15日。メキシコで行われたIBF世界ライト・フライ級タイトルマッチ。
王者ウリセス・ソリスが、来日経験もあるバート・バタワン
9ラウンドTKO勝ちで7度目の防衛。

16日。オーストラリアで行われたWBA世界ライト・ヘビー級
タイトルマッチは、元WBC世界スーパー・ミドル級暫定王者の
ダニー・グリーンスティペ・ドレイスを大差判定で破り王座を奪取
するとともに、2階級制覇を達成した。

リナレス、バレロ、松田(結果)

2007年12月16日 | 海外試合(世界タイトル)
WBC世界フェザー級王者・ホルヘ・リナレスは、1位の
ガマリエル・ディアスを8ラウンドTKOに下し初防衛。
なお、リナレスは4ラウンドと8ラウンドにダウンを奪っている。

基本的な能力の差は明白だったが、ディアスのねちっこい攻撃に
若干手を焼いた印象もある。おまけに4ラウンドに足首を痛めて
しまったリナレスは、その後の数ラウンドでは動きに精彩を欠いた。

それでもきっちり仕留めてしまう辺りはさすがだ。8ラウンド、
やや乱戦になりかけたところで炸裂した、見事な右フック。
回り込むと同時に微妙にポジションを変えて打つという、高度な
技術を見せた上での一撃で、ディアスにしてみれば、打とうとした
場所に相手はもうおらず、そして思わぬ角度からカウンターを
受けてしまったことになる。あれでは立てるはずもない。

足首の負傷とは別に、この日のリナレスにはやや力みが感じられた。
若いリナレスにとって、初防衛戦、そして敵地という条件下では、
多少浮き足立ってしまうのも無理はない。才能は折り紙付きであるものの、
世界戦はこれがわずか2回目なのだ。これから場数を踏んでいけば、
安定感も出てくるだろう。


WBA世界スーパー・フェザー級王者のエドウィン・バレロは、
ランク下位の挑戦者サイド・サバレタ相手に危なげなく3ラウンド
TKO勝ち。1ラウンドに軽いパンチでバランスを崩させてダウンを
奪った後も、小さいパンチを当てながらじわじわと距離を詰める、
理詰めのKO劇だった。

サバレタもよく粘り、何発かはパンチを浴びせたが、試合の流れには
全く影響を与えなかった。バレロが放ったフィニッシュの左ショートフックは、
地味ではあるがインパクトは充分。レフェリーのストップは賢明だった。

相変わらずの強さ、そして敵地でも動じない冷静さも見せつけたバレロ。
リング上のインタビューでは、本場アメリカでスター選手らと拳を交えたい
という希望を改めて表明していた。


ルディ・ロペスと松田直樹の再戦は、リング上では「松田の
パンチによるロペスの負傷がひどくなった」という理由で
松田の8ラウンド終了TKO勝ちが告げられたが、ロペス陣営は
これに猛抗議。勝敗の行方は再協議に委ねられることになり、
現在までのところその結果はまだ出ていない。

激しい打ち合いとなった初戦とは打って変わって、お互いに
「絶対に勝たなければならない」という思いが強すぎたのか
慎重な展開に。前半をほぼ五分で乗り切った松田は大したものだが、
後半に入ってやや押され気味になってきたところでの試合ストップ。
また、5ラウンドに起こったロペスの出血は、その後のラウンドの
バッティングによって悪化した面があったので、この抗議にも
頷けるところだ。

なお、再協議によってこの試合が「負傷判定」になった場合は、
それまでの採点(1-2)により松田の負けということになる。

東洋太平洋ミドル級TM 佐藤幸治vs小松学 ほか

2007年12月15日 | 国内試合(日本・東洋タイトル)
佐藤が3ラウンドKOで、あっさりと2度目の防衛に成功した。

丁寧にジャブを突きながらプレッシャーをかけると、小松は
下がる一方。佐藤のパンチをよく見てはいたし、時折攻撃も
仕掛けるのだが、ジャッジにアピールするには物足りない。

そうこうしている内に3ラウンドを迎えた。打ち合いの中で
佐藤の左フックが当たり、それをきっかけに連打。ここは何とか
逃れた小松だったが、すぐにまた捕まり、ロープ際で倒されて
そのままカウントアウト。佐藤のKO勝ちが決まった。


もったりしたその動きは世界レベルとは程遠いが、東洋圏では
それなりの強さを発揮していくかもしれない。取りあえず、
日本王者の江口啓二との対戦を見てみたい。両者とも打ち合いが
好きなので、かなり激しい試合になるだろう。


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また、この日のセミファイナルには世界ランカーの西岡利晃が登場。
元東洋太平洋スーパー・バンタム級王者のペドリト・ローレンテ
9ラウンドKO勝ちを収めた。ローレンテとは約2年ぶりの再戦で、
初戦では西岡が判定で勝利している。

バンタム級で4度の世界挑戦に失敗した後、西岡は一つ上の
スーパー・バンタムに転級し、スタイルを少しづつ変化させてきた。
バンタム級時代は華麗でスピーディな動きが魅力だったが、
現在ではあまり派手な動きは見せない。ただし、相手のフェイント等に
対する反応はクイックで、スピードが落ちたというより、むしろ
無駄な動きを減らしているように思える。

攻撃面においても、階級を上げたせいか全体的に力強さが増し、
かつてはあまり好まなかった接近戦も厭わないようになった。
しかも、以前は左ストレートばかりが印象に残ったものだが、
今は左右ともにパンチが多彩になった。例えば内藤大助がそうで
あるように、見た目はやや地味になったが、総合力はアップ
しているのではないだろうか。

いい勝ち方をした西岡、そろそろ5度目の世界挑戦のチャンスが
やって来そうな気もするが、現在のスーパー・バンタム級王者は、
WBCがイスラエル・バスケス、WBAがセレスティノ・カバジェロ
両者とも時に安定感を欠くことはあるが、大変な強豪であることは
間違いない。西岡が多少強くなっていたとしても、やはり敵わない
のではないかという声が圧倒的だ。

しかし、それでも西岡には何とか世界を獲ってもらいたい。
慣れ親しんだスタイルを変えてまで「世界獲り」に賭けているのだ。
若く、きらびやかな才能を誇示していた頃の西岡より、個人的には
今の求道者のような西岡の方が好きだ。