ボクシングレヴュー

「TM」はタイトルマッチ、階級名につく「S」はスーパー、「L」はライトの略です。

名古屋ボクシング月間

2001年11月04日 | 国内試合(日本・東洋タイトル)
僕が勝手にそう呼んでいるだけだが、名古屋は今「ボクシング月間」である。
名古屋を代表する4つのジムが、一ヶ月の間にそれぞれ興業を行うのだ。


まずは今日(11月4日)、元世界王者の畑中清詞氏が創立した畑中ジムが、
東洋太平洋フライ級王者、中野博の4度目の防衛戦を行う。
周囲からは「世界」を期待されつつも、王座に就いてからはイマイチ
パッとしない試合が続いている中野だけに、今回は勝つだけでなく、
その「内容」も問われる大事な一戦だ。

なお、セミファイナルでは同じく畑中ジムの期待の星、元日本スーパー・
フェザー級王者の杉田竜平のノンタイトル戦もある。こちらは相手が格下
なので、きっちりノックアウトして欲しいものだ。


少しおいて23日には、その畑中氏と薬師寺保栄氏を世界王者に育てた老舗、
松田ジムの大塚陽介が、空位の東洋太平洋ライト級王座決定戦に挑む。
本来一階級上のスーパー・ライト級で戦っていた選手なので、減量が
うまくいくかどうかは心配だが、充分に勝機はあると見る。

セミでは石原英康のノンタイトル戦や、菅原雅兼が何と世界ランカーで
過去に薬師寺とも対戦したことがあるクワテモク・ゴメスと戦うという
「冒険」カードもある。大金星に期待したい。


25日には、天熊丸木ジムの興業。世界挑戦に2度失敗して後がない
石井広三が、一階級下のバンタム級の世界ランカーで、世界挑戦経験もある
サオヒン・シリタイコンド-と、「世界ランカー3番勝負」の第1弾を行う。
石井はまだ世界ランクをキープしており、弱い選手を相手に試合を重ねる
方が無難なのだが、あえて危険を冒して世界ランカーと戦うというその
姿勢は大したものだし、実際に試合を組む会長も偉い。日本ではあまり
例のない事だ。ぜひ快勝して次につなげて欲しい。

また、この日は東洋太平洋ウェルター級タイトルマッチとして、
一度引き分けている王者のレブ・サンティリャンに、渡辺博が再挑戦する。
前回は確かに善戦し、形の上では引き分けたが、あれは明らかに王者が
勝っていた試合だった。いわゆる「地元判定」の色が濃かったように思う。
今回は王者が実力差を見せて明確にKO勝ちするのか、あるいは渡辺が
前回の雪辱を果たすのか。予想はやはり王者有利だが・・・。


そして最後に、厳密には「ボクシング月間」11月からは外れるのだが、
12月1日に緑ジムが東洋太平洋ヘビー級タイトルマッチを行う。
ウガンダからやってきて現在は緑ジムに在籍する「輸入ボクサー」、
オケロ・ピーターの2度目の防衛戦だ。東洋太平洋王者であると共に
今はWBCの世界ランキングで29位のピーターだが、これに勝てばさらに
ランクが上がるだろう。技術はなかなかいいものを持っているのだが、
体力と精神面ではまだまだ世界のトップには及ばない。世界のヘビー級の
壁は色んな意味で厚いが、めげずに頑張って欲しい。

ピーターには失礼だが、実はこの日の興業でそれよりも関心があるのは、
元世界王者、戸高秀樹のエキシビジョン・マッチだ。昨年10月に王座を
追われ、目を痛めて長期休業していた戸が、ついに再始動するのだ。
エキシビジョンというのは公式試合ではなく、公開スパーリングに近い
ものだが、とにかく彼の勇姿が再び見れると思うととても嬉しい。


というわけでこの一ヶ月は、名古屋で実に4つの東洋太平洋タイトルマッチが
行われるのだ。そしてそれ以外にも気になる試合が目白押し。
僕はまだ一度しかボクシングを生で観たことはないのだが、出来れば
この内のどれか一つでも見に行きたいと思っている。

実を言うと最後の緑ジムの興業は、僕の家から車で10分くらいの会場で
行われるのだ。だから行くとしたらそこだな。戸高選手も見たいし・・・。