ボクシングレヴュー

「TM」はタイトルマッチ、階級名につく「S」はスーパー、「L」はライトの略です。

東洋太平洋フライ級TM ワンミーチョーク・シンワンチャーvs亀田興毅

2005年08月21日 | 国内試合(日本・東洋タイトル)
亀田興毅が、東洋タイトルを獲得した。

これまで友人などに「亀田って強いの?」と聞かれても
「よく分からない」としか答えようがないほど手応えの
ない相手とばかり戦ってきたわけだが、こうやって
はっきりと答えの出る場所に立ち、そしてはっきりと
結果を出したのだから、それは評価せざるを得ない。

ワンミーチョークは、以前にも何度か日本のリングに上がっている。
正確な戦績は不明だが、中野博(当時の東洋太平洋フライ級王者)や
プロスパー松浦(後の日本スーパー・フライ級王者)にいずれも
KO負け。いわゆる「噛ませ犬」としての印象を残したものだが、
その後タイ国内王座を獲得し、さらに榎本信行を判定に下して
東洋太平洋王座に就いたのだから、それなりに実力をつけたのだろう。

しかしこの試合では、亀田の常軌を逸したプレッシャーに呑み込まれたのか、
かつての「噛ませ犬」に戻ってしまったかのような戦い振りだった。
だからといって、亀田の勝利にケチをつけるつもりは全くない。初めに
ダウンを奪った左ショートカウンターは見事だったし、初のタイトル戦だと
いうのに全く臆することのない度胸も素晴らしかった。

これまでその生意気さばかりがクローズアップされ、実際僕も毛嫌いしていた
亀田だが、冷静に考えてみれば、今時これほどひたむきに努力し、ギラギラと
「上」を目指す若者も珍しい。試合後のインタビューでは、イメージとは裏腹の
朴訥な人柄ものぞかせていたし、マスコミに踊らされていたのは何も一般人だけでは
なかったのかもしれないな、と自分の穿った目に少し反省もさせられた。

このままの勢いで世界まで突っ走るのも一つの方法かもしれないが、やはりまだ
攻めが正直すぎるように思う。本当に亀田が逸材であるなら、色んなタイプの
選手と対戦してキャリアを積み、満を持して世界挑戦させるべきなのではないかと
思うのだがどうだろうか。