ボクシングレヴュー

「TM」はタイトルマッチ、階級名につく「S」はスーパー、「L」はライトの略です。

フェザー級日本人頂上決戦

2007年12月07日 | その他
かねてより噂になっていたフェザー級の日本人頂上決戦が、
ついに実現する。日本王者の粟生隆寛と、東洋太平洋王者
榎洋之が、お互いのベルトと「世界挑戦権」をかけて戦うのだ。


この試合が決まったということ自体、両者にとっていい刺激に
なるはずだ。このころの2人は、勝つには勝つもののどうも
ピリっとしない試合が続いているが、その原因は恐らく、奇しくも
2人とも「モチベーション不足」であると思われるからだ。

デビュー当時から「世界を狙える逸材」と注目された粟生は、
日本タイトルの防衛戦では物足りない。一方、日本タイトルを獲り
東洋タイトルを獲り、そして世界ランカーに勝つという極めて
まっとうな「世界ロード」を歩んできた榎だが、肝心の世界挑戦の
チャンスが一向に巡ってこない。

どちらも上を目指しているし、勝ちたい気持ちは当然強いだろうが、
ここまで辿ってきたプロでの道のりを考えれば、あと一歩のところで
待たされ続けている榎の方が、精神的な飢餓感の面では上かもしれない。
それが試合で、いい方に出るか悪い方に出るかは分からないが・・・。


アマチュアで好成績を残してのプロ転向、お互い無敗、そして現在は
両者とも世界ランカー、という共通点はあるが、両者の戦い方、そして
キャラクターは大きく違っているように思う。

スピードや柔軟な動きに天性のセンスを感じさせる粟生は、闘志を
内に秘めて飄々としているタイプ。スピード感はないものの、
堅実なジャブといかにも硬そうなパンチが武器のは、ギラギラと
した目が印象的な、飢えた獣のような雰囲気を持つ。


見る前からワクワクするようなライバル対決。これこそが、
ボクシングファンにとっての一番の醍醐味であると言えるだろう。

試合は来年4月5日。3月にオープンする新施設「JCBホール」の、
格闘技としては初めての興行となる。