ボクシングレヴュー

「TM」はタイトルマッチ、階級名につく「S」はスーパー、「L」はライトの略です。

放送がない・・・

2006年11月25日 | その他
前にこのブログでも書いた「ボクシング・グランプリ2007」の
対戦カードが全て決まった。中堅には、日本ウェルター級王者
大曲輝斉が出場するという。大曲にはずば抜けたパンチ力があり、
豪快なKOが期待できるので、興行を盛り上げるにはもってこいだ。

しかし残念ながら、恐らく宮城県では放送がないだろう。
ついでに言うなら、来月2日に迫った名城信男の初防衛戦の
放送もない。全く嫌になってしまう。

坂本、引退!

2006年11月24日 | その他
日本と東洋のライト級王座に就き、世界にも4度挑んだ
「平成のKOキング」坂本博之が、ジムのHP内で
引退を表明した。来年1月の試合が最後になるという。

2002年10月、佐竹政一の持つ東洋太平洋スーパー・ライト級
王座に挑んでTKO負けした後、悪化するヘルニアの手術のために
ブランクを作り、昨年5月に再起したものの再びTKO負け。
今年1月、遥か格下のタイ人相手とはいえ約3年半ぶりの勝利を収め、
6月にもKO勝ち。

腰の具合も落ち着き、いよいよ今後は徐々に対戦相手のレベルを
上げていくのだろうと勝手に思っていたので、この引退発表は唐突な
感じがした。しかし、見えないところでは、完治しない腰痛との戦いが
続いていたということなのだろう。


坂本は、ボクシングという分野においては、確かに世界チャンピオンには
なれなかった。しかし、もはやそんなことはどうでもいいと思えるほど、
坂本の存在感、人々に与えた影響、人々から受けた敬意の大きさは、
並みの世界チャンピオンを遥かに凌駕するものがあった。

「ボクシングは結果が全て」本当にそうだろうか。
「記録は永遠に残るが、記憶はいつか消えてしまう」本当にそうだろうか。
高い地位や多くの金。それらを得た人は「勝ち組」と呼ばれる。
世界チャンピオンになれず、巨額の富を築くことも出来なかった坂本は
「負け組」なのだろうか。

手段を選ばず、地位や金を得ることだけが目的化してしまっている
人たちがいる。そこにはその人なりの大義があるのかもしれない。
しかし、僕はどうしてもそんな人を尊敬する気にはなれない。
目に見えることも確かに大切だが、目に見えないことの方が実は
大事なのではないだろうか。

記録など単なる文字に過ぎない。それよりも、多くの人に語り継がれる
「記憶」こそが実は人間にとって重要であるような気がする。
むしろ、勝った負けたという事実の方が、長い目で見れば刹那的で
瑣末なことのように思えてくる。


全くもって取りとめのない文章になってしまった。
「坂本が引退」情報にすればたったそれだけだ。たったそれだけの
ことで、こんな取りとめのない文章が溢れてきてしまった。

一ボクサーとしての坂本のファイトスタイルは、実はそれほど
好きではなかったし、取り立てて熱心に応援していたわけでもない。
ただ、坂本博之というボクサーには、そんな人間ですら立ち止まらせる
何かがあった。見る人の心に何かを刻み込む、そんな類の男だった。
熱心なファンでなかった僕ですらこうなのだから、ファンの人たちの
心中は察するに余りある。

人は、心で生きている。心を動かされたことを、人は一生忘れない。



東洋太平洋L・ヘビー級王座決定戦 西澤ヨシノリvsマニカ・カトニヘレ

2006年11月21日 | 国内試合(日本・東洋タイトル)
相手の「質」はともかく、やはりこれは快挙と言えるのだろう。
日本ボクシング界初、40歳の王者の誕生だ。

カトニヘレは前日の計量で体重をオーバー、そして肝心の試合では
わずか1ラウンドでKO負けと、やる気のなさを批判されても
仕方のない体たらく。正直言って、西澤が勝つにしても僅差の
判定がいいところだろうと思っていたが、戦う前から両者の
意気込みに大きな差があったのだろう。

西澤はこれで、日本ミドル級、東洋スーパー・ミドル級に続いて
3つの階級でベルトを獲得したことになる。また、これが
節目の50戦目でもあった。日本の現役ボクサーで、プロキャリア
20年の選手とか、50戦もしている選手は他に吉野弘幸くらいしか
いないのではないだろうか(ただし吉野はここ2年半試合をしていない)。

本人は恐らく、「3度目の世界挑戦」を目標に頑張っているのだろう。
その道程は厳しいと言わざるを得ないが、体に支障がない限りは
やれるところまでやってもらいたいと思う。

牛若丸あきべぇvsシャムスル・ヒダヤット

2006年11月20日 | 国内試合(その他)
「亀田軍団」の一員として知られる日本ウェルター級1位の
牛若丸あきべぇが、インドネシア国内ランカーを1ラウンドでKO
いよいよ次は日本タイトルに挑むことになりそうだ。

新人王を獲った頃から見ているが、そのパワーは魅力的だ。
しかし王者の大曲輝斉も、これまた破格のパンチの持ち主。
24戦して17勝16KO、11連続KO中の大曲と、
11戦全勝10KO、10連続KOの牛若丸。
これはもう、「KO決着間違いなし」というやつだろう。

それにしてもこのリングネームはどうにかならないものか。
本名の「渡部信宣」の方が格好いいと思うが、亀田家に
弟子入りしたことも含め、アピールとしては大成功なのだろう。

海外の試合結果

2006年11月19日 | 海外試合(その他)
1月に川嶋勝重との再戦が決まっているWBC世界スーパー・
フライ級暫定王者のクリスチャン・ミハレスが、自国メキシコで
レイナルド・ロペス(コロンビア)に判定勝ちして初防衛に成功
しかしミハレスはバッティングで目をカットしたらしい。
川嶋戦は予定通り行われるのだろうか。

WBC世界フライ級王者ポンサクレック・ウォンジョンカムは、
同じくホームのタイでモネリシ・ムエキキ(南アフリカ)を
大差の判定に下して指名試合をクリア。これで16度目の防衛
ビッグマッチに参入せず、防衛回数に反比例して影が薄く
なりつつあるポンサクレックだが、未だ衰える気配はない。

過去1勝1敗、3度目の顔合わせとなったマニー・パッキャオと
エリック・モラレスの一戦は、フィリピンの至宝パッキャオが
前回同様、痛烈なKO勝ちを収めた。前回は10ラウンドだったが、
今回はわずか3ラウンドでの決着。パッキャオの相変わらずの
強さに驚嘆すると同時に、モラレスの落日を見る思いで寂しくなった。

日本Sライト級TM 木村登勇vs飯田幸司

2006年11月18日 | 国内試合(日本・東洋タイトル)
これが8度目の防衛戦となる、安定王者の木村。
この日は2ラウンドに2度のダウンを奪ったものの、
その後は硬さのほぐれた挑戦者の反撃に遭って大苦戦。
判定勝ちに留まり、5連続KO防衛はならなかった。

序盤の動きを見る限り、両者の力の差は明らかだった。
しかし木村は回を重ねるごとに疲労の色を深め、
もしかして練習不足なのでは?と思わせるほどの
失速ぶりだった。

「あまりに勝ち続けたボクサーは弱い」という言葉がある。
戦うモチベーションというものが薄れるせいだろう。
もういい加減、木村は上を狙うべきだ。東洋タイトル、
あるいは世界ランカーに挑んでもらいたい。

世界王者は何人?

2006年11月15日 | その他
先日、僕のホームページにある「日本のジム所属の歴代世界チャンピオン」
コーナーから、ルイシト小泉の名を外した。どうも不自然な気がしたからだ。
フィリピン人のルイシト(本名:ルイシト・エスピノサ)は、確かに一時期
日本のアベジムに所属していたが、必ずしも日本を活動の拠点にしていたわけ
ではない。主戦場はフィリピンやアメリカであり、デビューから現在までの
60戦の中で、日本のリングに上がったのはわずかに5度のみだ。


日本のジムが生んだ世界チャンピオンは、何人いるのだろう。そう考えた時、
扱いに困るのは外国人選手、いわゆる「輸入ボクサー」の存在だ。

現在、日本のジムに所属する世界チャンピオンは過去最多の7人であると
報道されているが、日本の帝拳ジムに所属し、今後は日本を活動の拠点に
すると表明したエドウィン・バレロ(ベネズエラ)を入れれば8人になる。
しかしバレロは日本のジムからデビューしたわけでもなく、また「日本の
選手」として世界タイトルマッチに出場したわけでもないから、ここは
外しておくのが適当ではないかと思われる。

とはいえ、どこからどこまでを「日本のジムの選手」と呼ぶかについて
明確な定義がない以上、これはしょせん主観的な判断に過ぎない。


かつて「東京三太」なる珍妙なリングネームで協栄ジム所属の選手として
日本で数戦を行い、後にWBC世界ライト級王座に就き10度もの防衛を
果たしたミゲル・アンヘル・ゴンサレス(メキシコ)や、仙台ジムに所属した
「佐藤健太」ことエリック・チャベス(元IBF世界ミニマム級王者、フィリピン)の
場合はどうか。ゴンサレスは日本を離れた後に世界王者になっているし、
チャベスが日本に来たのは王座を失った後だ。よって、やはり「日本が
生んだ世界王者」と言うには無理があるように思う。

逆に、ゴンサレスと同じく協栄ジムに所属した外国人ボクサーの中でも、
旧ソ連出身のユーリ・アルバチャコフオルズベク・ナザロフのように、
日本のジムからプロデビューし、日本のジムに所属したまま世界王者になった
場合には、「日本の世界王者」のリストに名が加えられていることが多い。
ハワイ生まれの日系アメリカ人、藤猛(本名:ポール・タケシ・フジイ)も
このケースに近く、日系であるということも手伝ってか日本のボクサーと
位置付けられている。


タイ人であるイーグル京和の場合は、タイでプロデビューし5試合を行った後、
日本人女性との結婚を機に来日。スカウトのような形ではなく、たまたま
入った角海老宝石ジムでプロボクサーとしての活動を再開、現在に至るまで
同ジムに所属している。ゆえに「輸入ボクサー」とは呼べない。いずれにせよ、
完全に日本を拠点としていることから、ほぼ「日本のボクサー」という扱いに
なっている。

輸入ボクサーという区分から外れたところで更に細かく言うなら、
徳山昌守は朝鮮籍であるが、日本で生まれ育ち日本のジムからデビューし、
日本のジムで世界王者になっているのだから、日本のボクサーと呼ぶことに
さほど違和感はない。これも主観に過ぎないのかもしれないが、むしろ
「北朝鮮のボクサー」と言う方が不自然な感じがする。


このように様々なケースがあるが、「日本のジムからデビュー」「日本で
世界王座を獲得」「日本に住み、活動の拠点としている」という3つの
条件のうち、2つまでをクリアしていれば、概ね日本のボクサーと呼ばれる
ことが多いようだ。

とはいえ、何度も書いているように、これには厳密な定義がないので、
バレロやルイシトを日本の選手としてリストアップする人がいても
何らおかしくはない。

取りあえず僕は、「日本のジム所属の歴代世界チャンピオン」の数を、
現時点では「54人」としておきたい。


*本文とは関係ないが、エリック・チャベスの戦績を調べていたら、
 日本の「ウチダ・ミキオ」なる選手との試合のところに
 「Non Sanctioned Fight(未認可試合)」という記述があった。
 また(BoxRecの戦績は必ずしも正確ではないが)、この試合と
 その前の試合との間に、ウチダには7年ものブランクがある。
 名古屋で行われた試合のようだが、これは一体どういうもの
 だったのだろうか。ちょっと気になった。

WBC世界バンタム級TM 長谷川穂積vsヘナロ・ガルシア

2006年11月13日 | 国内試合(世界タイトル)
ランキング1位の挑戦者から2度のダウンを奪い、3-0で王座防衛。
この結果だけを見れば圧勝であったかのような印象を持たれるかも
しれないが、実際には非常に危なっかしいというか、厳しい試合だった。

最終的にはおおむね5ポイントほどの差がついていたが、これは
2度のダウンと、ガルシアの減点(バッティングによるもの)が
なければチャラだったということになり、競った内容だったことが分かる。


入場時から、長谷川の表情は硬かった。リングイン後に軽くアップを
していたが、その動きにもどこかキレがない。

ゴングが鳴ると早速、ガルシアは得意分野である接近戦を仕掛ける。
長谷川もそれに応じる。それはそれでいいのだが、どうも長谷川には
力みがあり、いつものスピードが出ない。スピードはないと評されていた
ガルシアと、ほぼ同じスピード、危ういタイミングでパンチを振るう。
過剰に期待される「KO防衛」を意識しているのだろうか。

時折、長谷川はペースを変えようと足を使ってガルシアの突進を
かわそうとするが、肝心の手が出ず、クリンチになることも多い。
ガルシアのしつこい前進を持て余している、といった印象だ。

その中で4ラウンドにタイミングよくダウンを奪ったりもしたが、
ガルシアはまるでひるむところがなく、長谷川らしいテンポのいい
ボクシングを展開させてもらえない。前半のポイントはクリーンヒットの
差でほぼ長谷川が取っていたが、ペースを掌握するまでには至らない。

そして後半に入ってもガルシアのスタミナは落ちず、反対にしつこく
打たれたボディブローによって長谷川の動きが鈍くなってきた。
長谷川が不用意に右ストレートを被弾する場面が目立つ。一方、
8ラウンドにもダウンを奪われたガルシアは、逆転KOしか勝つ道が
ないと考えたのか、激しく追い上げる。

その8ラウンドにはバッティングで長谷川が右のまぶたをカット。
見た目にも苦しい展開になってきた。

最終ラウンド。後半追い上げられたものの、ポイントではまず長谷川が
リードしているだろう。このラウンド前半の長谷川はディフェンスに徹し、
ガルシアのパンチをスイスイと避けて観客を湧かせ、また終了間際には
激しく打ち合って再び場内を盛り上げた。別にここで打ち合う必要は
なかったわけだが、スカッとした試合を見せられなかったことに対する
ファンへのお詫びの気持ちもあったのだろうか。


結果は前述の通り、判定で長谷川が3度目の防衛に成功した。

長谷川は、序盤にガルシアの土俵で戦い過ぎて相手を調子に乗せてしまった。
その後はガルシアの泥臭い戦い方に巻き込まれて少しづつ余裕がなくなり、
最後まで見栄えのいい展開にはならなかった。そんな中でも勝利を収めたのは
さすがだが、やはり本来のスピード溢れる攻撃、これを生かしてペースを
握っておけば、もっと明白に勝利できたかもしれない。

ただ、最後までそれをさせなかった挑戦者の粘り強い攻撃も称えられる
べきだろう。試合前は不調を噂されたガルシアだが、リング上での動きを
見る限り、コンディションは全く問題なかったようだ。


KO狙いで力み返るパンチ、そして最終ラウンドの打ち合い。
そこには、ただ勝つだけではなく「いい試合を見せたい」という思いが
あったはずだ。その気持ちが裏目に出てしまったのが今回の試合だったと
思うが、それも日本ボクシング界のエースであることの自覚の現れであると
考えれば、長谷川を責める気にはなれない。

決して楽ではない展開の中で奪った2度のダウンのタイミング。長谷川の
才能はそこに凝縮されていた。僕は長谷川の才能溢れるボクシングを
見たいのであって、必ずしもKOを期待しているわけではない。

奇しくも試合前、ガルシアが「自分は機関車、長谷川はF1」と
例えてお互いの性能の違いを説明していたが、今回のリングはF1が
その性能をフルに発揮できる場にはならなかった。この試合で長谷川は、
決して能力の限界を露呈したわけではない。ただ、自分が走りやすい
場を作ること、つまり試合運びの能力の面では課題が見えた。

気の早い話だが、この試合後に挑戦状を出した徳山昌守と対戦したら
どうなるだろうか。個々の性能では長谷川が上だが、試合運びの能力、
これに非常に長けているのが徳山だ。長谷川が能力を出し切って徳山を
倒すか、あるいは徳山がその能力を封じ込めるのか。興味深いところだ。


WBC世界ミニマム級TM イーグル京和vsロレンソ・トレホ

2006年11月13日 | 国内試合(世界タイトル)
楽勝と思われた相手に2度もダウンを奪われ、わずか1ポイント差の
僅差判定勝ち。一体、イーグルはどうしたというのだろう。

序盤4ラウンドまでの動きは、さすがイーグル、と思わせるものだった。
ガードを下げ、少々危険なタイミングで打ち合うところに若干の不安も
感じさせはしたが、攻防ともにやはりイーグルが一枚上手、そんな印象
だった。4ラウンドには早々とダウンを奪い、KO防衛も時間の問題で
あるかのように思われた。

しかしそれ以降、イーグルの動きは精彩を欠き始める。不用意にトレホの
パンチを受ける。そして第6ラウンド、トレホの右フックをまともに浴び、
キャリア初のダウン。誰もが想像もしなかった光景だ。そして同じラウンド、
同じようなパンチを受けてまたしてもダウン。このダメージは深刻だ。
勘のいいイーグルが、あんな大振りのパンチを2度までも貰うとは・・・。

この絶体絶命のピンチを何とか凌ぎ切ったイーグルが、ここからその
類稀なる精神力を見せる。再三トレホの攻勢にさらされながらも得意の
カウンターをヒットさせ、何とか防衛に成功した。


この予想外の苦闘の原因は何だったのだろうか。イーグル自身は、右拳を
痛めて練習が思うように出来なかったことを理由として挙げていたが、
それだけの理由であの大振りを貰ってしまったとは考えられない。

楽勝と言われると気を抜いてしまう傾向はあるのかもしれない。
王座を獲得したアギーレ戦、あるいは前回のマヨール戦の時のような
集中力があれば、こんな苦戦はなかったのではないだろうか。

それともう一つ。激闘となったあのマヨール戦のダメージが、イーグルには
まだ残っていたのかもしれない。ふと心配になる。あまり考えたくない
ことだが、イーグルはもしかしてどこか体を痛めているのでは?

これだけ苦戦したにもかかわらず、試合後の会見では、イーグルは早くも
次の試合の希望を述べている。1階級上の亀田興毅や、WBA王者・
新井田豊との統一戦などのビッグマッチを望んでいるといった内容だった。
これは以前からイーグルが言っていたことではある。とにかく大きな
試合をして稼ぎたい、というのがその理由だ。

しかし、ビッグマッチに執着するのは、他にも理由があるのではないか。
ボクサーとしての自分に残された時間が少ないことを自覚しているためでは
ないのだろうか?

今回の防衛戦の不調は、そんな不安を感じさせた。これらの不安が杞憂に
終わることを切に望むばかりである。イーグルの素晴らしいボクシングを、
もっともっと見ていたいからだ。


ボクシングニュース

2006年11月09日 | その他
徳山の動向、続報

 WBC総会を機に、徳山の周辺が急激に動き出した。
 まずは現役続行がほぼ確定。問題は次戦の相手だが、長谷川、
 名城、暫定王者ミハレス、あるいは(来年1月のミハレスとの
 再戦で勝てば)川嶋、スーパー・フライ級1位のアルセらの
 名前が挙がっている。しかしアルセは人気選手だけに現実的には
 交渉が難しそうだし、名城やミハレス、川嶋との対戦に徳山本人は
 それほど乗り気でなさそう。したがって最有力候補は長谷川、
 ということになる。

 しかし長谷川も13日に防衛戦を控えており、まずはその結果を
 見てから、という姿勢のようだ。いずれにせよ、徳山が、あるいは
 ボクシングファンが望むビッグマッチが来年には見られそうだ。


イーグル、絶好調

 イーグルの調子はとにかく良さそうだ。相手のトレホは、
 前回イーグルが判定勝ちしたロデル・マヨールにKO負けしている
 ことからも、イーグルの楽勝が予想されている。しかしここまで
 順調だと、かえって不安になってくる。かつてイーグルは、今回同様
 楽勝と思われた相手との防衛戦で、肩を骨折し負傷TKOで王座を
 追われた苦い過去がある。あまり余裕を持ち過ぎると、何があるか
 分からない。もちろんイーグル自身がそれをよく知っているだろうが。
 
 ついでだが、イーグルに関してこんなエピソードも報道された。
 これだけ心強い「セコンド」がついていれば、負ける気はしないだろう。 


長谷川も好調をアピール

 一方、イーグルとダブル世界戦を行う長谷川も好調のようだ。
 それに比べ、挑戦者のガルシアは公開スパーリングでダウンを喫するなど
 不調が伝えられている。これもイーグル同様、長谷川の防衛は間違いないと
 いうようなムードが漂っているが、果たしてガルシアの実力はどれほどなのか。
 決して侮ってはならないと思う。

 専門誌によると、長谷川はいずれ海外進出したいという野望を持っているという。
 最近になって徳山戦が急浮上してきたので情勢は多少変わりそうだが、
 何はともあれ、この防衛戦に勝つことが第一の関門だ。


高山、子供番組に出演?

 最後はちょっと微笑ましいニュース。先日見事なボクシングでWBA暫定王座を
 獲得した高山だが、試合後のリングに子供たちを大勢上げて記念撮影をしていた
 のが印象に残った。世界王者に対してこんな言い方は失礼かもしれないが、
 高山というのはどこか可愛らしい風貌をしているし、番組に出れば子供たちにも
 人気が出るかもしれない。

WBA世界ミニマム級暫定王座決定戦 カルロス・メロvs高山勝成

2006年11月07日 | 国内試合(世界タイトル)
正直言って驚いた。高山がここまで強いとは思わなかった。
確かにメロが不甲斐なかったという面もあるが、まがりなりにも
世界1位である。それを圧倒したのだから、文句の付けようがない。
これで高山は、世界チャンピオンの称号に相応しい力の持ち主で
あることを世間に証明したと言っていいだろう。


1ラウンドから、とにかく高山が自信満々に攻める。KO勝ちが
わずかに2つしかないメロ相手だからこそ出来たことかもしれないが、
上々過ぎるほどの立ち上がりだ。対するメロは、明らかに動きが硬い。
ただし、力を込めて振ってくるパンチには、KO率以上の迫力を感じる。

意外にも、激しい打ち合いが続く。その中でも、高山は決して打ち負けて
いない。イーグル京和と対戦した時の高山は、手数では上回ったものの
パワーで押し切られてしまった印象がある。要するに「非力」という
イメージがあったのだが、その後に取り組んだ肉体改造の成果か、
今日は力強さが感じられる。2ラウンドには早くもメロをぐらつかせた。

その後のラウンドも、前半は互角に打ち合うメロだが、後半になると
必ず打ち負けてしまう。ペースは明らかに高山のものだ。特にボディが
効いているようだ。

手数の多さは従来のまま、パワーを増した高山の攻撃。メロとしても、
この変貌は恐らく想定外のことだったのだろう。ラウンドが進むにつれて
徐々に調子の出てきたメロだが、それでも高山に上を行かれてしまう。

5ラウンド、メロのパンチが当たってダウンしたように見えたが、
レフェリーの裁定はスリップ。あるいは6ラウンド、ガードの下がった
ところに左フックを浴びたりと、一瞬ヒヤッとする場面はあったが、
その後にまた攻め返し、高山の優勢は依然として変わらない。

それ以降のラウンドも一見すると似たような展開なのだが、少しづつ
高山が打ち勝つ時間が増えていく。怖いのはメロのカウンターだけ、
あとはいつ倒すか、というムードになってきた。

ところが9ラウンド、バッティングによって高山のまぶたから
激しい出血。残念ながらここで試合はストップされてKO勝ちは
ならなかったが、判定はフルマークで高山。まさに圧勝だった。


暫定王座とはいえ、これでWBCに続いてWBA王座も獲得。
日本ボクシング史上、同一階級でWBCとWBAの両方のベルトを
巻いたのは高山が4人目。そして現在日本にいる世界チャンピオンは、
史上最多の7人となった。

高山はまだ23歳。スピードと手数、フットワークといった元々の
能力に加え、パンチ力も増した。まだまだ成長の余地はあるだろう。

暫定王者となった高山は今後、正規王者の新井田豊との統一戦を
義務づけられている。以前は疑いなく新井田有利だと思っていたが、
今日の出来を見ると、どうなるか分からないという気がする。
新井田との対戦が延期になった時は残念に思ったが、これでむしろ、
両者があいまみえる日がこれまで以上に楽しみになった。

ボクシングニュース

2006年11月07日 | その他
徳山の進退、未だ定まらず

 一昨日から昨日にかけて「徳山、PRIDEに転向」という話が、
 ほぼ確定であるかのように報道された。しかしこれはごく一部の
 スポーツ紙が報じただけであり、僕は少し事態を静観するつもりでいた。
 そして昨日の夜遅くに出たこのニュース。やはりPRIDE行き報道は
 勇み足だったようだ。徳山は、自身のHPにもコメントをアップした。

 とはいえ、徳山はあくまで「現役中はPRIDE転向はない」と
 言っているのであって、このまま引退して他の格闘技へ転向する
 可能性はないとは言えない。ここ数日で様々な憶測がなされたが、
 結局は何も確定せず、徳山は煮え切らないままだ。

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 朝になって、徳山の今後に関する新しいニュースがあった。
 スポニチサンケイ、内容はそう変わらないが、トーンがまるで違う。
 スポニチはPRIDE転向を示唆していただけに、こういった
 ネガティブな雰囲気になるのも当然と言えば当然だが。

 相変わらず徳山本人の気持ちは固まっていない部分があるようだが、
 徳山の所属する金沢ジムでは、長谷川穂積とのビッグマッチ実現に向け
 いよいよ具体的に動く意向を明らかにしている。雨降って地固まると
 いうか、これを機にボクシングファン垂涎のカードが決まってくれたら
 嬉しい限りだ。
  

高橋良輔が東洋太平洋クルーザー級に挑戦

 昨年、日本人として初めて東洋太平洋ヘビー級王座に挑戦した(KO負け)
 高橋が、今度は1階級下のクルーザー級王座を狙うことになった。
 しかし高橋は本来がヘビー級の体格ではなく、むしろこのクルーザー級の方が
 本来の良さを出しやすいと思われる。


高山vsメロ、今日ゴング

 新井田豊の負傷により設けられた暫定王座の決定戦に臨む高山。
 他の報道では、視力が飛躍的にアップしたとか、パンチ力が増したとか
 いう話もあった。高山は元WBC王者ではあるが、以前にも書いた通り
 タナボタ的な王座奪取だった観は否めない。高山が本当に世界レベルの
 選手かどうかが問われるのが今回の試合、と言えるのかもしれない。

速報

2006年11月06日 | 海外試合(世界タイトル)
・WBC世界ウェルター級タイトルマッチ
 王者 カルロス・バルドミル(亜) vs 挑戦者 フロイド・メイウェザー(米)
 *メイウェザー、判定勝ち(3-0)で王座獲得

4階級制覇(WBCスーパー・フェザー級、WBCライト級、WBCスーパー・
ライト級、IBFウェルター級)のメイウェザーが、5本目のベルトを手にした。
メイウェザーと同じくアルツロ・ガッティ、ザブ・ジュダーといった強豪に
勝っているバルドミルだけに、メイウェザーの苦戦も予想されたが、蓋を開けてみれば
フルマークに近い圧勝だったようだ。さすが「現役最強」メイウェザーだ。


・IBF世界フェザー級タイトルマッチ
 王者 ロバート・ゲレロ(米) vs 挑戦者 オルランド・サリド(メキシコ)
 *サリド、判定勝ち(3-0)で王座獲得

IBFのフェザー級王者がまた変わった。これで3人続けて初防衛に失敗。
果たしてこのサリドは、長期政権を築くことが出来るだろうか。


・WBO世界ヘビー級タイトルマッチ
 王者 セルゲイ・リャコビッチ(ベラルーシ) vs 挑戦者 シャノン・ブリックス(米)
 *ブリッグス、12ラウンドTKO勝ちで王座獲得

旧ソ連勢がメジャー4団体を牛耳っていたヘビー級だが、その一角が早くも崩れた。
しかし、ブリッグスがまだ現役だったとは知らなかった。レノックス・ルイスに
挑戦して叩きのめされたのが98年。8年ぶり2度目の挑戦での王座獲得だった。
新チャンピオンには失礼だが、こんなロートルが頂点に立てるヘビー級の現状は
決して明るいとは言えない。


・WBA世界ライト級タイトルマッチ
 王者 ファン・ディアス(米) vs 挑戦者 フェルナンド・アングロ(エクアドル)
 *ディアス、判定勝ち(3-0)で5度目の防衛

ディアスってそんな強そうに見えないんだけど・・・それなりの強豪を相手にV5。
ビッグマッチに恵まれないディアスだが、防衛記録はちゃっかり伸ばしている。


・IBF世界スーパーフェザー級タイトルマッチ
 王者 ゲイリー・セントクレア(オーストラリア) vs 挑戦者 マルコム・クラッセン(南アフリカ)  
 *クラッセン、判定勝ち(2-1)で王座獲得

どちらの選手も全く知らないのでコメントのしようがない。
今週末は王座交代が非常に多かった。

東洋太平洋Sフェザー級TM 本望信人vs村上潤二

2006年11月04日 | 国内試合(日本・東洋タイトル)
世界ランクもWBAで2位まで上がり、いよいよ世界挑戦を
視野に捉えてきた熟練のテクニシャン、本望の初防衛戦。
なおこの試合は、小堀佑介の日本タイトルマッチの後、
この日のメインイベントとして行われた。小堀と本望は、
同じ角海老宝石ジムの所属選手である。

結果から言えば、負傷判定とはいえ本望が文句のない内容で勝った
のだが、何やらすっきりしない想いが残ったのも事実である。


1ラウンド、いつものようにガードを固めてコーナーを出ようと
する本望だが、どこか集中力を欠いているようにも見える。
そして試合開始から45秒、村上の左パンチを浴び大きく体勢を崩す。
ディフェンスの安定感に定評がある本望の、こんなシーンは滅多に
見られない。なおも積極的に攻める村上。いつも序盤は様子を見るのが
本望のやり方ではあるが、それにしても攻められ過ぎではないのか。

しかし、そこはさすがに本望。2ラウンドには体勢を立て直し、
ステップワークも冴えてきた。このステップこそが本望の生命線であり、
足のリズムが良くなれば、防御も攻撃も正確さを増してくるのだ。
自信たっぷりに攻め込んだ序盤が嘘のように、村上の表情が不安げに
なってくる。

にもかかわらず、胸騒ぎが収まらないのは何故だろう。この日の
本望が、いつになく好戦的だからだろうか。4ラウンドに放った
左フックが村上をぐらつかせたせいもあるだろうし、世界を意識して、
課題とされてきた攻撃力をアピールしようとしたのかもしれない。

力の入ったパンチを振り回す本望。これで攻防のバランスが崩れて
しまわないかと心配になる。事実、時おり村上のパンチを浴びる場面も
あったし、あわや相打ちか、というような危ういタイミングもあった。

7ラウンド、村上のパンチによりまぶたを切ってからは、その傾向が
一層強まった。パンチで切れたのだから、出血が原因で試合が止まれば
TKO負けになってしまう。攻め急ぎたくなるのも無理はないのだが・・・。
あくまで優勢なのは本望。しかし、安心して見ていられる展開ではない。

そして9ラウンド。今度はバッティングが起き、本望が大量に出血。
この傷が元で試合はストップ、負傷判定で本望が初防衛に成功した。


これで、実に6度目の負傷判定となった本望。一時は長期の休養を取り
手術までしたそうだが、現役でいる限り、皮膚の切り癖とは無縁で
いられないだろう。技術は折り紙つき、しかし攻撃力と切り癖は不安。
そういう本望の評価は、この試合では変わらないままだった。

現在のスーパー・フェザー級の王者は強豪揃いだ。WBCはマルコ・
アントニオ・バレラ
、WBAがエドウィン・バレロ。巨額のファイト
マネーを得るスーパースター、バレラへの挑戦は現実的に難しいから、
相手はバレロということになるのだろう。破格の攻撃力を持つバレロを
本望が巧みに空転させるシーンが見られたら痛快だが、バレロにしても
ただパンチがあるだけの選手ではない。何より、バレロのパンチで
目をカットしてしまえばそれで終わりだ。


しかしそれでも、本望が世界王者に挑む姿を一度は見てみたい。
間違いなく国内トップクラスのテクニシャンであり、ジムの移籍などで
少なからぬ苦労も味わってきた本望。それだけに、世界の舞台でも何とか
いい結果を出して欲しいと心から思う。


日本Sフェザー級TM 小堀佑介vs三上朗央

2006年11月04日 | 国内試合(日本・東洋タイトル)
エキサイティングな戦い振りと朴訥なキャラクターで人気が
上昇しつつある、小堀の2度目の防衛戦。この試合は本来、9月に
行われる予定だったが、小堀の負傷(左肩亜脱臼)により延期
されていた。


負傷の影響か、リングインした小堀はどこか不安げに見える。
案の定、序盤はどうにも調子が上がらない。小堀といえば左フックの
タイミングが抜群の選手で、本人もそれを一番の頼みの綱としている
節がある。その左フックを打つのに不安があれば、歯車が噛み合わない
のも当然と言えば当然だ。

一方、2ヶ月も待たされた形となった三上は上々の立ち上がりだ。
チャンピオンが精彩を欠いているのは、三上がサウスポーだからと
いうのもあるのかもしれない。

ただ、相変わらずバランスは悪いものの、ラウンドが進むにつれ
小堀が良くなってきた。三上の動きが読めてきたという面もあるし、
小堀が自らのペースに三上を引きずり込んだという面もあるだろう。
序盤はシャープなパンチを打っていた三上だが、大振りが目立つ
ようになっていった。ここまで大振りを繰り返してきた小堀に
付き合っている、ペースを合わせてしまっているといった印象だ。

試合は乱戦模様。バッティングも含め、三上の顔は傷だらけだ。
一方の小堀の顔は、目尻の小さな傷以外は綺麗なまま。割と打たれて
いた観のある小堀だが、それが見た目にはほとんど分からない。
微妙なところでパンチを外す勘の良さを持っているのだろうか。

結局、最終10ラウンドに三上の傷が深くなり試合はストップ、
負傷判定により小堀が勝利した。結果も内容もすっきりとは
しなかったが、小堀が今回も観客を沸かせる試合をしたのは確かだ。
決していい内容ではなかったが、調子が悪いなら悪いなりに、何とか
上手く凌ぎ切ったことは評価に値するだろう。