梅之芝居日記

歌舞伎俳優の修行をはじめてから15年がたちました。
日々の舞台の記録、お芝居ばなし等、お楽しみ下さい。

今月のお役から

2009年06月23日 | 芝居
『角力場』の<町の女>で、私がかぶっている鬘の結い方は<お盥(おたらい)>と申します。
笄(こうがい)に、束ねた髪をうち違いに巻き付けたもので、年齢的には上の人のヘアスタイル。しかも、ちょいと洒落た感じなものなのだそうです。
というわけで、私の化粧も若作りはせず、眉なし。白足袋を履いておりますのも、あまり下世話にしないためでもあり、また、他の町の女役の3人が素足なので、印象がつきすぎないようにする気持ちもあります。

世話物の町人の女役の髪型ですと、他に<おばこ>とか<銀杏返し>、小ぶりな<島田>など。それぞれに、ふさわしい年齢がありますので、化粧の仕方はもちろんのこと、衣裳の色、柄、履物の鼻緒の色みなど、総合的におかしくないようにまとめなくてはなりませんが、まだまだ勉強不足ですので、自分だけではわかりかねております。先輩方や床山さん、衣裳さんに教えてもらいながら、<経験値>を上げている最中…。