梅之芝居日記

歌舞伎俳優の修行をはじめてから15年がたちました。
日々の舞台の記録、お芝居ばなし等、お楽しみ下さい。

何人座れるかな?

2009年06月19日 | 芝居
『角力場』の幕開き、私と京三郎さんの<町の女>が腰掛けている“床几”。
歌舞伎の色々な演目で見ることができる、ベンチシート…。

歌舞伎座では、床几は大道具ではなく、<楽屋番>さんの管轄。設置も撤収もメンテナンスも行います(赤い毛氈がかかっているのも同様ですよ)。作るのは別の業者さんだそうで。
横幅はどれもだいたい同じですが、縦幅(奥行き)は、演目や使い方によって変わることも。上に人が立ったり、ボリュームのある衣裳を着た役者が座る場合は、広めのものになることが多いですね。

まだ立役の頃、『俄獅子』の所作ダテで、床几の上でトンボを返るのを勉強させて頂きました。幅も広いものでしたし、より頑丈にできているものですので、絶対大丈夫なハズなのですが、ちょっと足場が高くなるだけでなんだか感覚が違う…。25日間、かなり緊張いたしました~。
昔の先輩がたは、普通の幅のでもヒョイッと返っていらしたと伺いました。すごいことですよ、本当に!

ちなみに今月のこの床几、後半で、脚がバラけてペシャンコになります。後見の方が操作するまで絶対大丈夫なハズなのですけれど、何かおきたら…と思うと、実はとても不安を感じながらお茶を飲んでいるのでございます。